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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 309

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俺たちが王都フェアリーに入った翌日に行われた謁見は、以前に俺が特使として訪れた際の謁見とは、全く様相が違っていた。

だがそれも当然である。

フェアラート公国では結局、6割以上の貴族たちが反乱に参加し、その多くが有力貴族たちだった。

しかも、国内各地に点在する国王派や、中立を決め込み領地に逼塞していた者たちも、先日の戦いで国王派が勝利したとて、昨日の今日で王都に駆け付けることなど、無理な話だ。

そのため、謁見の間を埋めていたのは、かつて居た大勢の貴族たちに代わり、少数の国王派貴族と、軍服を着た近衛師団の者たちが大半を占めており、華やかさとはかけ離れた、何とも言えないものものしさがあった。

そして今の俺の立ち位置は、公国にとって特使でもなく賓客でもない。団長やラファールたちが王都で大きく喧伝した結果、その立場は大きく変わっていた。

正式に国王の依頼を受け、公国の窮地を救った英雄、そして、例え反乱分子の所業とはいえ、公国としては国として詫びねばならない、相手国を代表するいわば重要人物だ。

謁見の間に入場したあと、跪くことなく立礼のみ行った俺に対し、国王はわざわざ玉座を降りて迎えた。

「ソリス魔境伯よ、この国を代表する者として礼を言わせてもらう。また此度の反乱に関して、貴国には多大なる迷惑をお掛けした。其方にはカイル王に宛てた、謝罪と感謝を記した書状を託したい。

そして、我らの窮地を救ってくれた英雄に、友として礼を述べたい。反乱軍を一撃のもとに葬った、其方らの武勇は、この国に永く語り継がれることとなろう」

「私共はただ、我らが王と陛下のご友誼に応え、助力させていただいたまで。身に余る光栄なことですが、これも陛下のご威光の賜物と存じます」

「我らが感謝の気持ち、そして迷惑をお掛けした対価、それらも其方に託したい。フレイム、仔細を」

指名されたフレイム伯爵が、黄金の盆に乗せた目録のような物を持って進み出た。

「我が国の不平貴族共が、カイル王国を侵略し貴国の大地を土足で踏み荒らしたこと、真に許すまじき所業として、今後、賠償に関わる内容を協議する使者を、改めて王国に遣わします。

先ずは差し当たり、見舞金と王弟、王妹殿下の滞在費をお受け取りいただきたい」

~目録~

フェラート公国は、カイル王国に当面の見舞金として、以下の公国金貨を託すものとする。

ひとつ、カイル王国への見舞金として、金貨100万枚

ひとつ、従軍した者への見舞金として、金貨30万枚

ひとつ、王国の領民への見舞金として、金貨10万枚

ひとつ、王弟、王妹の王都滞在費として、金貨10万枚

また、フェラート公国は、遠征派遣軍に対する軍費として、以下を支給するものとする。

ひとつ、魔境伯への軍費として、金貨10万枚

ひとつ、従軍した兵一人当たり金貨10枚、計8万枚

ひとつ、その他の諸経費として、金貨2万枚

これら全て、正式な交渉に先立ち支払うものとする。

なお、公国はこの先王国に対し、異心の無いことを示す証として、両国の国境に存在する公国側関門は、その管理をカイル王国側に委ねるものとする。

「これ以上の遠征派遣軍に対する褒賞は、カイル王を差し置いて勝手に其方に送る訳にはいかんのでな。

この先、カイル王の承諾のもと、正式な賠償と其方への恩賞を支払う用意があるゆえ、軍費については遠慮なく受け取ってくれるとありがたい。本来は労をねぎらうため、ゆっくりもてなしたいものだが」

そう言ってフェアラート国王は笑った。

たしかに、外交儀礼上で使者に贈られる土産や、ちょっとした褒美ならともかく、恩賞となると筋目を通す必要がある。勝手に恩賞として朝廷から官位を受け、兄頼朝の不興を買った義経の事例もあることだし。

遠征軍に支払う軍費、その名目なら、差し当たり問題ないだろう、ということか?

まぁ、軍費10万枚と見舞金の金貨8万枚は手を付けずに、一旦は王国に差し出した方がいいかな?

俺たちは当面、その他諸経費でなんとかなる。

公国側の関門に備蓄されていた物資も、回収できるものは全ていただいたし。

「はっ! 陛下のお心遣い、確かに受け取りました。改めてお礼申し上げます。

我らの国はまだ、各国との戦いによる戦禍から回復しておりません故、この場を辞したのち、帰国の途に就かせていただきますこと、ご容赦いただければ幸いです」

俺は色々考えを巡らした後、短くそう答えた。

国内だけでなく、領内でもやらなくてはならないことが、まだ山のようにあるし。

謁見の後、帰路はフェアラート王が手配してくれた船に乗り、サラームの近郊まで一気に戻る形だ。

ただ、全軍が乗船するには船の用意が間に合わないため、俺に同行したのは魔境騎士団から選抜した者と、俺の依頼で王都フェアリーにて多大な買い付けを行った、ティア商会の面々だ。

俺にとっては、ずっと昔、日本にいた頃以来の船旅だ。

出発してからはずっと、舷側に立って周囲の風景を観察したり、船の構造を見分していた。

「団長、この水上輸送力、そして水軍などについても戦力として侮れませんね」

「そうですな、王国内にも大河はありますが、国内に出口(海)がありませんからね。水運もあまり整備されておりませんが、あのように酒を飲んでいるだけで、戦地まで兵を運べる力は、脅威ですね」

そう言って団長は、船首で酒盛りを始めた一団を見て笑った。

団長も、この船の軍事転用や商用化に関心を示し、俺と行動を共にしていた。

そして団長が言った一団、いわずと知れた近衛兵団の兵卒に扮した国王と、そんな事情を知らず、酒盛りを楽しむ男たちだった。

「ははは、船旅とはいえ先は長い。そう思って飲酒を許可したのは不味かったでしょうかね」

「軍律に縛られた我ら兵士はともかく、ティア商会の者達を労うことは必要でしょうし、まぁ……、一人だけ軍律に縛られない男も居ますが」

そう言って団長は、何故か蒼い顔をして杯を傾けるラファールを見て笑った。

そう、もともとは俺が許可したのを良いことに、ハリムたちと、彼に同行していたザハークらが、ラファールを誘って始めた酒盛りだった。

そこに、予想外の闖入者が紛れ込んだのだ。

「ははは、兄さん、良い飲みっぷりじゃねぇか!

ラファール殿にも負けないぐらい、見てて気持ちがいいぜ。ささ、もう一杯!」

「そうだな、船の上で飲む酒は、陸とは違って良いもんだな」

「ははっ! 船だと酔いが回ったのか、それともただ揺れてるだけなのか、分からないからな」

「それにしともラファールの旦那、今日はやけに大人しいじゃねぇか?

まさか船の揺れに、もう酔っちまったのかい?」

「そうだな、ラファール殿、まだ先は長いぞ。俺からの酒も一杯、是非飲んでくれ」

「なんだ? 兄さん、ラファール旦那と知り合いかい? このお方は貴族様なんかにしておくには勿体ないぐらいの、俺たちでも気兼ねなく一緒に飲める、奇特な……、いや、貴重なお方なんだぜ」

「そうだな、兄さんがイケる口と言うのも合点がいったわ。それにしても兄さんは、酒と女、どっちの仲間だい?」

「まぁ……、しいて言えば両方だな。前にも一度、王都の宿屋で朝まで飲み明かしたことがある」

「ははは、兄さん! 娼館で朝まで飲んで遊ぶって、あんたも中々好きだな」

そう言って男の一人が気安く『兄さん』と呼ばれた男の肩を叩いた。

彼らにとっては、朝まで飲める宿屋=娼館だから、そう思うのも無理はない。

「あっ! お前っ何を! 無礼……」

そう言って慌てるラファールを、周りの男たちが笑った。

「おいおい、日頃は身分なんざ関係ねぇよ、そう言っていた旦那がどうしちまった?

それとも何かい? この兄さんが実は、旦那と同じ貴族さま、又はどこぞの御曹司とでも言うのかい?」

「まぁこの国の貴族たちは、みな偉そうで身分を嵩に着ている、いけ好かない奴らばかりだ。

俺たちに話し掛けること、まして一緒に酒を飲むなんて、絶対にあり得ない話だけどな」

「ははは、確かにな。だが兄さんは、よく見りゃ高貴そうなお顔をしていらっしゃるぜ。

因みにこっちの貴族さまは、全く貴族らしくねぇけどな」

「ははは、違ぇねぇ」

酔いと揺れで酒の回った彼らは、『兄さん』やラファールをネタに、盛り上がっていた。

もちろん、その男が雲の上の存在、彼らの国王であることなど知る由もない。ひとりを除いて……

それを少し離れた、俺たちの近くから、その様子を苦虫を嚙んだような顔で、見つめる男がいた。

「フレイム伯爵、陛下はいつもああなんですか?」

「ええ、近衛師団にいらした時は、よく新兵と共に酒を飲んでましたよ。相伴に付き合わされる我らは、いつも気が気でなりませんでした。今のラファール殿のように……」

「いやいや、傭兵の私が言うのもご無礼極まりない話ですが、昨晩の事といい、面白いお方ですね。

なんでも噂に聞いた話ですが、帝国の第三皇子も似たようなものらしいですよ。戦地では兵たちと同じ食事を食べて酒を酌み交わすとか……、なので兵士の士気は高く、結束は固いと」

「団長、そうなんですか?」

「はい、そんな噂を聞いたからこそ、タクヒールさまに救われる前は、帝国に渡り第三皇子に仕官を、そう考えていましたからね」

「まぁ、今回も一部上層部はともかく、近衛兵団第二軍が揺るがなかったこと、我らが策に使えたことも、こんな些細なことの積み重ねがあったからですが……

陛下は、いや当時は第一王子殿下でしたが、酒の席で兵たちから不満や不公正、不条理な行いの話を聞いては、将として常に改革を行われ、近衛師団にはびこる悪弊は一掃されました」

「なるほど、陛下に対する近衛師団の結束力と忠誠は、そこから生まれたという訳ですね?」

「男爵、仰る通りなのですが、ひとたび国王となられた今は、悪癖としか言いようがありません」

それって、まるで水戸黄門や遠山の金さん、暴れん坊将軍……、ちょっと例えが古過ぎるか?

現代風にいえば動画サイトで見たことのある、社長が平社員に扮して共に働くドッキリみたいなアレか?

確かに、事情と正体を知っている者には、相当きつい話だな。

フレイム伯爵は、苦笑しつつも、どこかもう諦めた様子だった。

俺個人は、かつて日本で見たような情報もあり、そんな王がいても面白いと思うんだけど……

大前提として、俺のなかに身分制度に縛られない、現代の記憶が強く刻まれているためだろう。

そんな関係者の様々な思いをよそに、船旅は順調に進み、俺たちは目的地に到着すると、船着き場を守る留守役の兵たちと合流し、サラームへと足を進めた。

もちろん、殿下には事情を知らせる先触れを真っ先に送って……

だがそこで、大事件の第一幕が上がることになる。

いつもご覧いただきありがとうございます。

次回は『第一幕』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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