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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 311

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活動報告の更新に伴い、後書きに追記いたしました。

王都フェアリーから陸路を進んだ兵たちの合流を待つには、まだ1日以上の余裕があった。

水上を進んだ俺たちは流れに乗って、馬の休息すら必要もなく、夜間も寝ているだけで進んだのだから。

それを待つ合間を利用して、俺たちは200名の精鋭、魔法士たちと共に、フェアラート公国の魔境、俺たちが『湿原の魔境』と呼んでいる地に、足を踏み入れた。

それにあたって、念のため外縁部に築いた拠点には、500名の兵を残してある。

正直言って200名は、魔物の討伐なら心もとない数だが、今回は事情が異なる。

狙った獲物を狩るためには、逆に許容範囲の最大数だ。

これ以上随行が増えると、統制された、かつ臨機応変な作戦行動が厳しくなる。

「殿下、この先三つのことを必ず守ってください。

ひとつ、絶対に突出せず、左右の連携を考えること。

ひとつ、迂闊に魔物に斬り掛からないこと。

ひとつ、道中はご自身の安全を最優先すること」

そう、魔物はどこから襲ってくるか分からない。

次に、ここの魔物には毒の体液を持つものもいる。

役割分担と連携、これがここでは不可欠だ。

「分かりました」

「はい、言質は取りましたよ。

約束が守れなければ、殿下がどれだけ駄々をこねようと、その場で関門を経由して王都に連れ帰ります。

サラームにすら戻りませんよ。良いですね?」

「はい……」

元々この姫様は、腕試しがしたくて仕方ないのだ。

これまでの戦いでも前線に出ることはあっても、最前線には絶対に出させていない。

そのため戦場では、自慢の剣も振るいようがなかったのだから。

魔境の中に進むと、前回と同様にまず巨大なカエルが襲って来た。奴らは毒を撒き散らすため、クレアたちに任せて火魔法で焼き払うなど、できる限り魔法で対処を行い、奥地へと分け入っていった。

そして、前回クリムトを討伐したあの大きな池に到着すると、大急ぎで魔物ホイホイの設置に掛かった。

その時……

「魔物らしき集団が池以外の全方位から接近中です!

その数……、100前後、早いです!」

「全軍! 池には近づかないように留意しつつ円形陣に展開! 左右の連携を忘れるな!」

シャノンの警報と、団長の反応、兵士たちの行動がほぼ同時だった。

だが、襲撃してきた魔物の数は予想以上で、円形陣の一角が崩れた。

クリムトではなく、巨大な陸生の蛇が、その太い尾で兵士たちを薙ぎ払ったからだ。

咄嗟に陣の内側に居た、フェアラート王が崩れた部分に飛び出す。その横には、同じく抜剣した殿下も。

更に二人の左右には、カーラとシグルが駆け寄り、左右を固めた。

二人の突出した剣士の腕前は見事としか言えず、剣の達人同士だけが見せる阿吽の呼吸で、お互いをカバーしながら魔物たちを薙ぎ払う。

「タクヒールさま、水中から、来ます!」

「バルト、カウル、任せたぞ!」

俺はそう言って、魔物を挑発するため、水面に向かって投げ槍を放った。

挑発に乗った魔物が、水面から飛び出し、罠の先に立つ俺に向かって襲い掛かる。

そこに、樹上に控えていた彼らが、その巨大な鰐に似た魔物目掛けて巨石を落とす。

不気味な音と共に、頭蓋骨が粉砕されたグランチは沈黙した。流れ出た血は、魔物ホイホイに新たな獲物を誘引する。

その後も魔物の襲撃は続き、闘いは延々と続いた。

前回と比べると、桁違いに忙しいが、幸い打撲などの軽症者はいるものの、死者や重篤な負傷者は今のところいない。

「タクヒールさま、来ました! 森の奥から独特の音がします。前回と同じです!」

「前衛! 無理に受け止めるな、円陣を開いてクリムトを中に!」

基本的に全体の指揮は団長に任せている。

指揮者は戦闘に参加せず、常に全方位を見渡し、状況に応じた指示を出さなくてはならないからだ。

「クレア! 奴が現れたらクローラと共に、炎の壁を作り、こちらに誘導を!

マルスとダンケは二人を援護してやってくれ!」

そう叫ぶと、俺は傍に居るヨルティアに目配せをした。彼女にはそれだけで十分だ。

円陣が開いた箇所に炎の壁ができると、凄まじい叫び声を発して、クリムトが俺目掛けて突進してきた。

そして……、見えない壁、いや、急激に増した自身の重みで身動きできなくなり、しきりに体を揺らして抵抗を始めた。

「バルト、カウル!」

俺の合図で巨石がクリムトの頭部目掛けて降り注ぐ。

巨石の一撃、続く第二撃、背筋の凍るような、断末魔の声を上げてクリムトは絶命した。

だが、その後も魔物の襲撃は終わらなかった。

「左手より新手! こちらに真っすぐ向かって来ます!」

「左翼は陣形を固めろ! 無理に支えようとせず、後方からの火魔法士の援護を仰げ!

マルス、ダンケ、二人は左翼の援護を!」

「右翼、退路方向にも動きがあります!」

「くっ、次から次へと……、タクヒールさま、ヨルティアさまを右翼の支援にお借りします!」

正に魔物たちの猛攻、そんな状態だった。

団長は臨機応変に魔法士たちの配置を変え、対処していく……

俺たちは間断のない魔物たちの攻撃に晒され、徐々に消耗していった。

もちろん、死者や重傷者はいないものの、戦闘で負傷する者たちも徐々に増えていった。

後方に控えていた聖魔法士も、各所に移動しながら応急処置を施している。

ここに至って俺たちは、異常に多い魔物たちと、間断のない襲撃に違和感を感じ始めていた。

「団長、キリがないですね」

「ですね、そろそろ十分でしょう」

団長の言葉で俺は決断した。

目的は達したし、これ以上の長居は無用だ。

「全軍、陣形を維持したまま拠点まで撤退する。団長は引き続き撤退の指揮をお願いします」

俺がそう言った頃には、既に六匹目のグランチ、三匹目のクリムトを倒していた。

だが俺は、永遠に続くのではと思われるこの状況に、ある危機感を抱いていた。

そのため、余力のあるうちに撤退を決断し、円形陣を維持したまま、魔境の外縁部へと移動を開始した。

円形陣の最後尾は、マルスとダンケに守られた、4人の剣士たち。

俺たちを追う魔物は、そこであるものは業火に焼かれ、あるものは強烈な斬撃で切り裂かれていた。

「拠点の予備隊に連絡、これより魔境の出口付近を半包囲し、俺たちを追って魔境より出た魔物たちを殲滅する!」

周到な準備の下、配置された兵たちは、俺たちの脱出後、魔境から出た魔物を殲滅していった。

そして魔境の外縁部に出て数時間後、やっと一息つくことができた。

「ふぅ……、今回は多くの成果もありましたが、散々でしたね。やはり魔境は恐ろしいと、改めて認識しましたよ」

「そうですな。場所は違うとはいえ、慣れた我々でもこの様です。正直、かなり危険な状況だったと思います」

「これも団長のお陰です。的確な指揮をありがとうございます。今回も死亡者が出なくて幸いでした」

「もしかすると、関門戦で流れた血の匂いが、未だに魔物を刺激しており、奴らを奥地から呼び集めていたのかもしれません。あの波状攻撃は我々でも危い、そう思うことが何度もありましたよ」

「ですね、俺が迂闊でした……」

そんな二人の反省をよそに、二人の剣士はお互いの健闘を称えあっていた。

「私、魔境は初めてでしたが、陛下の隣で戦うのは、すごく安心感がありましたわ」

「ははは、それは此方の台詞です。お見事でした」

まぁ、俺たちにとって幸いだったのは、クリムトが三体討伐できたことだ。

フェアラート王に一体、クラリス殿下に一体、そして俺たちに一体と、公平に分配することができた。

なお、他の魔物については、素材や魔石を全て俺たちに預けられた。

こうして無事、目的も達せられたので、俺たちはサラームにて祝杯を上げ、本場のスパイス料理に舌鼓を打った。

そして、酒宴は明日の出立に備えて夜半にお開きとなり、解散した。

はずだった……

翌日、カイラールに向けて出発する際、事件の第二幕が上がった。

しかも、特大級の……

サラームの街を出るとき、俺はわざわざ見送りに来られた、フェアラート王に改めて挨拶した。

「これまで大変お世話になりました。

私も王都に戻り、その後は領内の再建と開発に力を尽くす所存です。お目に掛かることは、これで最後になるかもしれませんが、陛下もご壮健で」

「こちらこそ世話になった。そうだな……、魔境伯とは少なくともあと二回、会えることが確定していると思っているがな。それも、そう遠くない日に」

「なんか、お話が凄く具体的に聞こえるんですが……」

「もちろんだとも!

一度目は余が、正式に求婚するためカイラールを訪問した折に。当然、王都に駆け付けてくれるのだろう?

二度目は卿が、我らの婚儀に参加するため、来賓としてフェアリーに参った時にな」

「へっ? 求婚? 婚儀? ……、我らって?」

「もちろん、私と、クリーゲル陛下ですわ」

そういって横槍を入れたのは、いつの間にか俺の隣にいた、クラリス殿下であった。

しかもその言葉と同時に、国王側に移動し、二人は仲睦まじく並んでいる。

「は? 二人は……、いつの間に?」

「私は生まれて初めて、理想の女性に出会えたのだ。宮廷や茶会に居座る淑女など問題外だ。

政治の道具にされ、古臭いしきたりだの余計な面倒を抱え込むことは、御免被りたいと思っていたが……

同じ剣の道に生き、共に切磋琢磨できる女性などと、まさか巡り会えるとは思っていなかった」

そりゃあ……

お互いそっち方面では突出してるし、話も合うでしょうよ。いい意味でも、悪い意味でも……

「私も今まで、心が揺らぐ男性などお会いしたことがありませんでした。政治の道具にされるのも癪でしたし、姫というだけで傅いてくる男など、魅力の欠片もありませんでした。

まぁ正直に言えば一人、私を蹴飛ばすぐらいの方はおりましたが、いくら気持ちが揺らいでも、その方は既に子持ちの奥方持ち。親友の夫に割り込むのも気が引けて……、コホン、まぁ、そういうことですの」

ってか、二人はいつの間に?

あと、何やら凄く不穏な言動も、含まれていた気もしますが?

というか昨晩、あの後二人で会ってましたね?

「あの……、不躾な質問ですが昨夜お二人は?

まさか……」

俺は『お楽しみでしたね?』の言葉を言いかけて、なんとか自制した。

確かに昨晩は、殿下自ら『労をねぎらう』とのお達しで、最近お付きになったユーカやカーラなどは、祝宴が終わったあと、身辺警護や身の回りの世話から外されていた。

殿下の側に居たのは、王都から付いてきた昔からのお付きだけだ。

その隙を突いて、このじゃじゃ馬は寝所を抜け出したのか?

ってか、お姫様のすることじゃないぞ……

「ははは、会って互いの夢を語らっただけよ」

「想像されていることは分かりますが、陛下は紳士でしたよ。昨夜は互いに身分を忘れ、庶民の酒場や私の知らない世界をエスコートしてくださいましたわ。

私、昨夜は初めてのことで、すごく楽しかったです」

「シラナイセカイ……、サクヤハ、ハジメテ、ダッタノデスネ?」

「王として庶民の暮らしぶりを身を以て知ることも大事だからな、また次はフェアリーの街を案内しよう」

「まぁ、それは楽しみですこと」

「……」

殿下の言動は、すっかり柔和な、女性そのもの言葉になっていた。

時折俺に対する、あからさまな女言葉ではなく、目をキラキラさせながら話している。

『そっちの方が、驚きなんですけど……』

しかも、俺の言葉はそっちのけで、こうも堂々と二人の世界に入られると、もうこっちの方が馬鹿らしくなって来た。

「殿下、カイラールで陛下への報告、この後のご対処はご自身でお願いしますよ。

私はこの件、知らなかったことにさせていただきます。変に関わって陛下の逆鱗に触れたくありませんからね、くれぐれもお願いしますよ」

「まぁ、魔境伯はてっきり私たちの味方だと思っていましたのに……」

「すまんが、これは王としてではなく、其方の友として頼む。カイル王への仲立ちと、クラリス殿の立場を守ってはもらえないか?

フェアリーに戻れば、急ぎ使者を整え、求婚の件をカイル王にお知らせするつもりだ。

そして国内が落ち着けば必ず、私自身が王に、彼女をもらい受けるようお願いに上がる所存ゆえ……」

そう言って二人は、手を握り合ってじっとこちらを見つめている。

何故だ? これでは俺が意地悪しているみたいじゃないか……

「……、分かりましたよ。私も協力させていただきますが、今後は必ず、筋を通してくださいね。

特に、陛下へのお話は……、私も援護しますので、段取りを間違えないよう、くれぐれもお願いしますよ」

呆れつつもそう言って俺は折れた。

いや、自分の保身なんてどうでも良かったが、新たな不安に襲われていたからだ。

『俺はまた、またやらかしまったのか?

自身と家族、仲間たちの身を守るため動いていたとはいえ、殿下やフェアラート公国の運命を、歴史を大きく変えてしまったのではないか?

成り行き上引き受けたが、こんな爆弾発言、そもそも何て報告すりゃぁいいんだ?』

「タクヒール殿、クラリス殿のこと宜しく頼む。このサラームの街ととともに、末永く……」

そう言って頭を下げたフェアラート国王に見送られながら、俺たちは出立し帰路に就いた。

俺自身は、大きく頭を抱えながら……

実はこのことに関して、タクヒール自身も知らない歴史の流れがあった。

それは前回の歴史で、カイル王国が滅びに瀕したとき、カイル王は隣国、当時は弟に国王の座を譲り、宰相として公国の内政を取り仕切っていた元第一王子のクリーゲルを頼るように遺言していた。

そして後日クリーゲルは、クライン公爵に伴われて隣国へ逃れた、カイル王国の王女と王子、すなわちクラリスと出会うことが定められていた。

この一連の出来事で、異なる流れに進もうとしていた歴史が、一部は同じ結末となるように強引に、少し違った形で帳尻を合わせて来た結果であることを、当事者たちは知る由もない。

一方、タクヒールたちについては、既に歴史が抗らえないほどに改編が進み、もはや帳尻どころではなくなっていた。

そのためこれ以降、全く異なる流れに分岐し、新しい歴史が幕を開けることになる。

【追記】2/13日付けで活動報告を更新しました。

第二巻の情報が公開され、2/13日より予約が開始されました。

皆さまの応援、本当にありがとうございます。

——————————————–

いつもご覧いただきありがとうございます。

ずっと長い間、戦いとそれにまつわるお話が続きましたが、こちらでひと段落となります。

次回からは『大きすぎる功績』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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