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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 312

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2月13日付けで活動報告(2巻予約開始)を更新しました。良かったらぜひ作者名のリンクよりご覧ください。2巻の表紙には団長とクレアが登場しています。

タクヒールらからの早馬を受け、カイル王国の王都カイラールでは、その内容に頭を悩ます者たちがいた。

彼らは、グリフォニア帝国との休戦交渉、捕虜(第一皇子含む)の返還交渉をまとめ上げると、当面の守備をゴウラス騎士団長に任せ、王都に戻っていた。

そこに、魔境伯がフェアリーから送った『公国内乱の終結と国境の安全確保』を告げる使者と、同時にフェアラート王が送った『今回の戦乱に関する謝罪、援軍への謝意と内乱終結に関し魔境伯の勲功第一、後日正式に賠償を含めた使者を送る』旨を告げる使者が訪れていたのだ。

使者の告げる内容に驚愕したカイル王は、今後の策を再検討するため、そのまま外務卿たるクライン公爵を王宮に留め、善後策を協議する必要に迫られていた。

「それにしても爺、この魔境伯の報告、そして公国の国王より遣わされた感状には、儂も目を疑ったわ」

「仰る通りですな。これでは、少々……」

「少々どころではないわ。国境の戦いに勝利し、公国側の関門を制圧した上で周辺区域を固め、国境近くの主要都市サラームを攻略、それだけで、もう十分な戦果というに……

王都決戦では僅か4,000の戦力で敵軍30,000を撃破し、内乱終結の戦功第一とされたと言うではないか」

「ふぉっふぉっふぉ、これではどちらの国の臣か、分からなくなってしまいそうですな。

陛下の心中、ご察し申し上げます。じゃが先方も道理の分かったお方、内乱鎮圧の褒賞も陛下を通じて送りたい、そう申されていることですしな」

「国内の戦いだけでも、報いるに困るほどの戦果を挙げておるというのに、この上更に……

もうこの期に及んで、周囲の者とのバランス云々言っておる事態は、完全に超越しておるわ。更に問題は、ここまでの戦果に見合った、褒章のしようがないぞ。

余はどうすべきと思うか?」

「陛下の仰る通り、この期に及んでは、どうしようもございませんな。

金貨、領地、それぞれ限度一杯まで引き上げるとして、後は『人』しかござらんでしょう」

「だが、あの頑固者は承諾するだろうか?」

「この爺の見たところ、殿下もまんざらではないご様子、難攻不落の城を落とすには、まず搦め手から、そういった喩えもございましょう。

この爺めが、あの者の妻たちに働きかけましょうぞ。

殿下を迎え入れる『器』を作るために」

「それであ奴が納得するか?」

「王族とは国益のため殉ずる定めです。王国の安寧は、ひいては魔境伯の安寧といえます。

魔境伯の功に報いるため、そして魔境伯を守り国内の無用な混乱を防ぐため、この点を理詰めで説いて、説得いたしましょう。それが分らんほど、愚かな方ではございますまい。

また、いかに殿下とはいえ、命令を無視し勝手に公国へ赴いた罪は大きゅうございます。処罰の一環として反論は許すまじ、そのような断固たる対応を、陛下にはお願いしたく思います」

「王国の安寧? なるほど! 降嫁に伴う持参金、義理とはいえ王族に連なる者となり、王位継承権第二位にある者の夫であれば、飛びぬけた褒章すら、周囲の嫉妬や羨望、負の感情の盾になりうるか!

流石は爺じゃの。クラリスは自ら進んで、負い目を背負ってしまった訳だしな」

「それでこそ、陛下の秘策もまかり通る道理が立つと思われます」

「ははは、愉快愉快、これで我らの思惑通り、事態は一気に解決すると言うものだな」

この時点で、この二人の思惑は既に決定的に破綻しているのだが、彼らはまだその事実を知らない。

彼らが受けた報告は、あくまでもフェアリーでの謁見が催された時点のものであったのだから……

「さて、大きな悩みが解決した上は、東、北、西についても、方針を定めねばなるまいな。

其方の存念はどうじゃ?」

「先ず大前提として、東では国境を越えた先、そこに広がる広大な大平原をハミッシュ辺境伯が占領し、暫定統治しております。皇王国には、戦時賠償として実効支配している土地の割譲、賠償金の支払いと、投降した敵国兵のうち、帰国を希望する者への身代金の支払い、そんなところでしょうか」

「で、その新領土の統治は如何する? 北もそれは同じ問題だが」

「そうですな。本来は辺境伯が4か所の国境を守備する任に当たっておりましたが、これまでは指揮する兵が侵攻軍の軍勢に及ばず、難儀な思いをさせておりましたからな」

「辺境伯領を拡大するか? 帝国と同規模程度に」

「ほっほっほ、それも結構ですが、それでは将来の災いの種を残しかねません。

辺境伯が全て、ハストブルグ、ハミッシュと同じ忠義の者とは限りませんでの。

それにもうひとつ、問題がございます」

「問題とは?」

「領地と勢力、それが王国内の序列を超えてしまいますぞ。身分的には侯爵待遇、じゃが、実力と領地は侯爵を超え、公爵すら凌ぐものになりましょう。陛下はこの二つの火種を、将来に渡って残すことになりまする」

「ではどうせよと?」

「辺境伯の地位は世襲となっておりますが、その上に辺境公を設けるのです。その辺境公は身分としては大臣と同様、爵位については公爵と同等と定めるのです。

辺境公は辺境にあり、新領地を中心とした広大な領域を領地とし、王国防衛の要とさせます」

「ふむ、それでは根本的解決にはならんと思うが?」

「故に大臣と同様、そう申し上げました。

今の辺境伯は世襲制で、地位が子孫に継続されますが、辺境公は一代限りで国王の任命制とするのです。

現在の当主が有能であっても、子の世代はそうとも限りますまい。そして辺境伯が辺境公の地位を兼任することは、武勲や功績に応じ可とする。そういった条件を付与いたします」

「なるほど、それは名案じゃの。そうすれば将来の危惧は回避できるという訳か。

だが、関門に守られた国境と異なり、辺境公は領地の大半が防備の弱い敵地、この課題はどうする?」

「はい、それも魔境伯領で帝国兵や皇王国兵に用いられている、屯田兵制度なるものを採用します。

平素は広大な農地を与え、農耕に従事させますが、戦時は自らの農地を守る兵として馳せ参じます。

その代わり、毎年領主から補助金を支給したり、税を減免するのです。言ってみれば彼らは、小さな領地の領主となれる訳です」

「ほう、面白い考え方じゃな」

「いやいや、これも魔境伯領の受け売りですわい」

「では、国境は辺境公に委ねることとし、論功行賞では金貨の褒章と所領の加増、それとは別に、一代限りの辺境公の地位とそれに伴う領地、そんなところか?」

「御意。今の時点で生存している辺境伯は一人のみ、そして、地位を受け継ぐ者が一人で、他はその任を全うできない家、廃絶となる家です。新規任命の場合は特に、問題となることはないでしょう」

「で、肝心の皇王国との賠償じゃが……」

「ハミッシュ辺境伯がその辺りは進めております。

先方は戦力の多くを失い、今や他方面の国境維持も危うい状態となり、新皇王は震え上がっていると聞いております。こちらの無理な要求も承諾せざるを得ないでしょうな。国が滅ぶよりはマシですからな」

そう言ってクライン公爵は、その要求案を提示した。

◆イストリア皇王国賠償案

ひとつ、賠償金は王国金貨百万枚相当とする。

ひとつ、辺境伯が実効支配している土地を割譲する。

ひとつ、これらの戦時賠償後、捕虜返還交渉に入る。

ひとつ、捕虜は予め定められた対価で返還する。

ひとつ、移住を希望する捕虜の家族は王国に送る。

捕虜を返して欲しければ、先ずは先に戦時賠償を完了させること、それを大前提として定めていたことだ。

それが定まらないうちは、交渉のテーブルにさえ付かないと言う、強気なものだった。

「ふむ、捕虜については以前の例に倣う、そんな感じか?」

「東の戦いで得た捕虜は、大した数ではございませんが、北では皇王国兵だけで9,000名あまりの捕虜を得ておりまする。そのうち4,000名は、魔境伯配下の者たちの功績によって……」

「ふむ、ここでもまた魔境伯か……、頭が痛いの」

「報告によると、この4,000名は戦いの最中、魔境伯が講じた説得に応じて下った者たちで、そのうち11人の魔法士を含んでおります。少なくとも彼らの半数以上は、特に魔法士のうち8名は帰国を望まぬだろう。

そんな報告も来ております」

「ふむ……、ではその者たちも、魔境伯に優先権を与えねばなるまいな。先例もあることだし、あの者には新領地の領民や兵も必要であろう?」

「はい、かの地なら潜在的な敵は帝国、かつての祖国に弓引くことにもなりませんし」

「では仔細は任せる。それで……、北は如何する?」

「軍務卿率いる軍勢は、ウロス王国の王都まで至っております。彼の国は早々に無条件降伏しました故。

陛下のご意思は奈辺にございましょうか?」

「ふむ、ピエット通商連合の手前、併合ともいかんじゃろう。これまでの我が国の方針もあるしな。

我が国と交流のある通商連合の二国からは、王族の助命嘆願と、王国の存続依頼も来ておるでの」

「そうですな。ですがウロス王国の兵は、捕虜となった500名を除きほぼ残っておりません。

これでは国を維持することも叶いますまい。

我らが陛下のご心中を慮り、周辺国の顔を立てつつ協議した原案がこちらでございます」

カイル王は、そう言って恭しく差し出された『ウロス王国分割統治案』と書かれた書状に目を通した。

◆ウロス王国分割統治案

ひとつ、今回の侵略国として責任を認め賠償を行う。

ひとつ、賠償の支払いにより王家の存続を認める。

ひとつ、賠償金はカイル王国金貨百万枚相当とする。

但し、ウロス王国独自の選択で賠償金に代え、領土を割譲して賠償に当てることも可とする。

その場合……

ひとつ、割譲はウロス王国全領土の三分の二とする。

ひとつ、今回割譲される領土は西側と中央とする。

ひとつ、割譲地の西側部分をカイル王国へ割譲する。

ひとつ、中央部分は通商連合国の委任統治とする。

現在、カイル王国で拘留されている捕虜は、いずれかが履行された後に返還されるものとして、新たに返還に関する対価は設けない。

これはカイル王国側で領土を奪い取るのではなく、賠償金の支払いか、領土の割譲かを選ばせることにポイントを置いたものだった。

奪ったのではなく、自主的に選ばれたものと体裁を作り、ちゃっかり通商連合にも領土を与えている。

しかも委任統治領は、緩衝地帯とするように、ウロス王国の残った領土と、カイル王国に割譲される領土の間に配している点も抜け目がない。

「ははは、流石狸め! 余の存念を聞くと言いながら、既に道筋は整えておるではないか。

しかもウロス王国は小国、単独では百万枚もの金貨など、到底払える訳がなかろう?

故に領土の割譲となる筋書きか。これで二つの隣国へも顔がたち、我らはついに海を得るわけだな」

「はい、そして我らは、友好国による壁も得ることができます。皇王国、ウロス王国とも、再侵攻を企図しても、我らが領土に入る前に、ピエット通商連合が委任統治する領域を通過せねばなりません」

「それでは我らに敵対する場合、通商連合国とも争うことになる。そう言う訳だな」

「御意」

「ははは、見事な狸っぷりよの。常に中立であるはずの通商連合国を味方にし、防壁とするとはな。

で、その次は我が国の課題じゃが……」

「北の辺境伯は、これまでは些か問題もありましたが、命を以て北方守備の役目を果たしてくれました。

これに報いる必要はございましょう。ですが……、既に兵力も人材も、その任を負うのは実質不可能です」

「ふむ、その辺りを考慮せねばならんな。では、残った一族には侯爵待遇を与え、優遇しつつ辺境守備からは解放する。そんな感じか?

因みに……、其方の申していた辺境公は如何する?」

「それに相当する功績を上げた者がおりましょう。彼をその任に充て、我が国の『海』を任せたく思いますが、いかがでしょうか?」

「良かろう。北にある氷の領地も空白と断じてよいであろう。これらを含め、差配の仕様もあろうて」

「はい、侯爵は戦死したそうですが、馬蹄に踏み荒らされ、カストロ大司教とともに、遺体の回収はできておりませぬ」

「ふむ……、無理もなかろう。さて、残った人事の懸案は、西じゃが……、爺はどう考えておる?」

「そうですな、これには思い切った対応を考えねばなりますまい。辺境公に相応しき人物、そして、空白となった侯爵領が二つ、更に辺境伯領、伯爵、子爵、男爵領など、まさに草刈り場となっております故……」

彼らの議論は、この後も夜明け近くまで続けられた。

そして、翌朝早朝、東のハミッシュ辺境伯、北のモーデル伯爵に使者が走った。

この結果は、数週間後に開催された、論功行賞にて反映されていく。

【追記】2/13日付けで活動報告を更新しました。

第二巻の4/20販売の情報が公式サイトに公開され、2/13日より予約が開始されました。

皆さまの応援、本当にありがとうございます。

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いつもご覧いただきありがとうございます。

次回は『二枚舌』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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