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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 316

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辺境伯からの手紙を読んだ翌日、俺は王都カイラールを出て、テイグーンに戻ることにした。

周辺四カ国との戦後交渉は、全て終わった訳でもなく、一部の国とはまだ詳細を詰めている途中だと聞いた。何よりも俺の領地ですべきことも山積している。

一応、数週間後に改めて王国内の全貴族と、戦功のあった者たちが招集される予定とされていたし、何より、このまま王都にいて、殿下の件でこれ以上面倒ごとに巻き込まれるのも嫌だったし……

そう判断し、早々にテイグーンへの帰路についた。

王都からテイグーンまで、もう行き来に慣れてしまった街道を抜け、やっとテイグーンの城門に到着した時、慌てた様子でミザリーが駆け寄って来た。

「タクヒールさま、申し訳ありません。急ぎお渡ししたい書状がございます」

「ん? ミザリー、誰からだい?」

「その……、事が事ですので……」

「……、分かった、急ぎ行政府に向かう」

ミザリーが敢えて言葉を濁したこと、俺を門の前に待ち受けて、真っ先に知らせてきたこと、これには相応の理由があると理解できた。

そして俺は、行政府の一室、領主執務室にて、その書状を受け取り、中身を開いた。

差出人は裏切り者となった、キリアス元子爵だ!

「ちっ! あの野郎。そんな事で恰好つけるんじゃねぇよ!」

書状を読み進めるうち、俺が思わず発してしまった言葉だ。

そこの中には、彼が闇に唆され落ちていった経緯と、その悔恨の言葉。

そして亡くなった者たちと、ハストブルグ辺境伯への詫びの言葉。

更に、開戦前に遡ったキリアス子爵本人と、妻との離縁状、縁戚への絶縁状が添えられていた。

そこに付して、キリアス家の残された者たち、彼らの未来を俺に託したいと記した言葉……

更に、闇に蠢動する者たちの情報、その拠点となっている隠れ家など、彼がこれまで知りえた範囲のことが記載されていた。

だが、最後が問題だった……

『私は自らの愚かさにより、人としての道、王国貴族としての道、武人としての道を踏み外した。

その責任を取るため、最後の忠義を示すために、自らを裁くつもりでおります。この国を脅かし、暗闇に蠢動する悪意を道連れに』

そう記載されていた。

「くそっ! 間に合わないかもしれないが、サザンゲート砦のダレク兄さんに早馬を!

事態を告げ、大至急地理に詳しいカッパー男爵を派遣してもらうように」

外で待つミザリーに聞こえるように叫ぶと、俺は立ち上がった。

慌てて部屋に入って来た彼女に向かい、更に続けた。

「あと関係者、ソリス伯爵、ゴーマン伯爵、クライツ、ボールド、ヘラルド男爵にも情報の共有を!

王都のクライン公爵にも早馬を送ること、忘れるなっ」

そう、これは俺一人で完結できる話ではない。

急ぎ関係者に情報を提供しておく必要があると判断した。

「ミザリー、今から俺の言う内容の手紙を複製して、それぞれの使者に持たせてやってくれ。

ただし、複製に関わるのは、俺の身内だけだ。情報は極秘扱いとしてくれ。今から手分けして対応を進めてほしい」

事態を察したのか、アン、クレア、ヨルティア、そしてユーカも集まっていた。

「アン、今からアイギスの団長の所に向かい、500騎で構わない、精鋭を率いてイシュタル側から北上してほしいと連絡を。ユーカは義父上のところに!

ラファール、バルト、クレア、ヨルティア、レイア、シャノンは俺と共に。テイグーンから脚の速い精鋭100騎を率い、コーネル子爵領に向かう。子爵には途中でこちらから使者を出す。急ぎ動くぞ!」

そう、キリアス子爵が自ら幕引きを行おうとしている心情は理解できる。

だが、もし討ち漏らした場合どうなる?

この先も彼らの陰謀が続くことになり、そして、彼の名誉は永遠に閉ざされる。

「あのエエ恰好しぃめ! 自ら出頭して縛に付いて刑を受ける代わりに、何故俺たちを頼らない!

忠義を示し死ぬとして、幕引きに失敗したら元も子もないだろうが!」

そう吐き捨てて、俺は走り出した。

彼の手紙には、狸爺と俺がずっと探っていた、不可解な出来事に対する、答えに近いものが記されていた。

・初代カイル王と闇の氏族との確執

・彼らが行ってきた貴族社会への歪な洗脳

・彼らの光の氏族、重力の氏族に対する策謀

・南部辺境貴族を弱体化させるための策謀の数々

・他国を扇動してカイル王国を一度滅ぼす企み

全ては500年も前から始まっていた……

そして彼らは、カイル王国を弱体化させる策謀を巡らし、敵対する貴族(氏族)の足を掬い、南部辺境地域へ魔手を伸ばしていた。

帝国の侵攻も、結局奴らが後ろで糸を引いていた!

前回の歴史も、今回の世界も全て、諸悪の根源は彼らにあった、そういう訳か……

俺が知る歴史の悪意、その一部、いや、その多くは、彼らによって紡ぎ出されていたのだ。

そして、これが終わりではない。

そして今回も結果的には、彼らの野心は打ち砕かれたが、彼らの力はまだ潰えていない。

家族を、仲間たちを、そしてこの国も守るためには、彼らと対峙し、打ち勝たなければならない。

俺はたちは急ぎ編成された軍を率いて、ガイアからディモスを抜け、コーネル子爵領へと入っていった。

元ヒヨリミ子爵領中央部から東側、ハストブルグ辺境伯との領境に連なる山々は、高さこそあまりないものの、急峻な岩山が延々と続き、幾つかの細い間道を除けば、完全に二つの領境を隔てる形になっていた。

その周辺一帯には農耕に適さぬ荒れた大地が広がり、人里も遠く離れていたため、この間道自体を知る者も少なく、その存在を知る者さえ、滅多に通ることがないものだと言われている。

もちろん、新領主としてこの地を治めることになったコーネル子爵も、この間道の存在を知らない。

だが今、この間道を迷うことなく進む、100騎あまりの男たちがいた。

彼らの目的地は、その先にある人が立ち入らない岩山の一角、洞窟の奥に築かれた、地下迷宮だった。

「それにしても閣下はどうして、この様な場所を?」

「ふん、前に一度連れてこられたことがあるからな。そうでなくてはこんな場所、辿り着けんわ。

それで、目印は各所に残して来ているのだろうな?」

「はっ! 抜かりなく……」

「そうか……」

短く答えたキリアスは、黙って後ろに続く部下たちをじっと見つめ、瞑目した。

『こんな所まで巻き込んで来てしまったか……、開戦前は1,400名いた部下たちも既に100騎。

ここまで付いて来てくれた忠義溢れる者たちだが、私の愚かさ故に、彼らには苦難の道を強いてしまった。だが彼らには大事な役目がある。私の首を取り、王国に帰参するという……』

「閣下、前方に何やら洞窟のようなものが見えます!」

「やっと到着したか。では80名はここに待機!

私は20名を引き連れ、内部に侵入する。良いか!

私が戻らぬ場合は、この入口で火を焚き、風魔法士によって内部を煙で満たして潜む者を燻り出せ!

出てきた者は、一人残らず有無を言わせず討ち取れ」

「閣下、私も是非、お連れください!」

そう言って最後まで彼に付き従うよう申し出てきたのは、ここまで従っていた2名の側近のうちひとり。

長年共に戦場を往来し、騎士爵を授けた者であった。

「ならん! アイヤールよ、其方には残った兵を指揮し、彼らの未来を繋ぐ役目がある!」

キリアスは、2人の側近にだけ、これまでの経緯の一部と、今後彼の考える事後の処理、それらを伝え託している。

そしてそのうち一人だけを伴い、中へと入ることは事前に言い含めていた。

「こんな私に……、これまでよく付いて来てくれた。暫くすれば魔境伯率いる軍勢も到着するだろう。

其方であれば魔境伯も顔をご存じだ。良いか、決して戦うでないぞ……、では、行かん!」

「かっ閣下っ!」

「アイヤール、すまんが後はお前に託す。私が本懐を成し遂げた暁には……、さらばだ!」

アイヤールは泣きながら、キリアスを見送った。

因みに同行するもう一人の側近は、彼が目的を果たした後、その首を取るという、これもまた過酷な任務を託している。

外に待機する80名は、ある程度の事情を察しているのか、皆一様に泣きながら、洞窟へと入る20名を見送っていた。

キリアスたちが侵入した岩山の洞窟、その中に密かに築かれた地下迷宮の一室では、周辺諸国を巻き込む陰謀を巡らした首謀者、4名の男たちが集っていた。

小さな燭台しかない、地下の薄暗い部屋の中では、周囲の様子もぼんやりとしか見えない。

そして彼らは一様に、深くフードを被り、顔すら判別できない状況の中、低く、小さな声で話し続けていた。

「それにしてもリュグナーよ、貴様の提案を基本的には同意する。汲むべき点もあると思う。

が、しかし、実行面での困難さは否めないぞ。既に戦は終わっているのだからな」

「そうですな、アゼル殿の仰る通り、奴の周囲は手練れが固めており中々隙がございません。

また、奴自身も相当の手練れと聞いています。その辺はどうお考えですか?」

「セルペンス、隙がなければ作れば良いだけのこと。手は幾らでもあるわ。

奴の守りが固くとも、奴の妻たちはどうだ? 奴の娘はどうだ?

我らの力があれば、屋敷の者たちをかどわかし、侵入することも容易だろう。一たび屋敷の中に入りさえすれば、その先は成功したも同然よ」

「ふぇっふぇっふぇっ、お主らはまだ、小僧憎しで、小事に拘りすぎておるの?

今の時点で奴を殺してどうなる? 戦は既に終わっておるのだぞ?」

「ですが、老師……」

「リュグナーよ、小僧を始末するのは変わりない。じゃが、それは最も効果的な時期に、じゃな。

それよりも今は、今後我らが祭り上げる者の去就について、考えを巡らせるべきではないかな?」

「異なことを……、王国内の傀儡共はもう……、それにあ奴は、今や我らの手の内に……」

「そちらではないわ、もっと大きな者じゃ。奴はいずれ、大火を巻き起こす火種となろう。

以前なら囲い込むことも難しかったが、今に至ってはその機会もあろう?

長き時を掛けて、我らが蒔いた種じゃからな。もっとも、本人にはその自覚はないであろうがな」

「では老師は……」

「何度も言っておるであろう、手は二重三重に打っておくものだと。我らの策はまだ潰えておらんわ。

長き時を経て打ち込んだ楔が、やっと実っておるのじゃ。新しき花を咲かせずにはおれんじゃろう?」

「では、北の戦場から拾ってきた傀儡の方は如何しますか? 傷もやっと快方に向かい動けるようになりましたが……、処分いたしますか?」

「せっかくセルペンスが戦場より引き上げて来たのじゃ。首は生かしたまま保存するの一番じゃろう?

必要な時、必要な相手に、いつでも差し出せるようにな。ふぇっふぇっふぇっ」

「老師の仰せのままに。

それにしても、ひとたび戦いが終われば、敵兵すら治療する奴らの甘さに乗じるとは、セルペンスも中々機転の利いた行動だったな。奴らの聖魔法士も、まさか敵軍の首魁を治療したとは、思ってもいないだろうて」

そう話していた時に、に小さくコトリ、と音がして、扉の外側から低い声がした。

「お話中、失礼いたします。たった今キリアス卿が帰還されました。如何いたしますか?

『酒肴の準備』は整っておりますが……」

「ほう? あ奴もまだ生きておったか?

どうやらこれで、生かしたまま保存する首が、もうひとつ増えたか。じゃが片方は……、どうやら塩漬けにせねばならんようじゃな」

「老師の仰る通り、あ奴めはもう、宿り木としての価値はございませんゆえ」

「そうですな、汚物はさっさと流してしまうのが一番かと……」

「リュグナー、アゼルよ、『酒肴の準備』ということじゃ。どうやら奴も参加したいのであろう」

その言葉を受け、アゼルが動き、燭台を容器で覆ったため、部屋の中はほぼ暗闇となった。

それを確認したセルペンスは、ドアを開け、先程報告してきた者に何かを告げた。

少しして、一人の男が部屋の中に招き入れられた。

キリアスは招き入れられた部屋に入り、暗闇のなか少し進むと、そこで再度燭台の覆いが外された。

薄暗い部屋の中は、かろうじて周囲が見渡せる状態だったが、彼は部屋の中央まで静かに進み、正面に向かって跪いた。

「キリアス、只今帰還いたしました。大役を果たせず、面目次第もございませぬ」

「ふぇっふぇっふぇっ、大魚を逸したのはこの三人も同様じゃ。そう恥じ入ることもなかろう」

深くフードを被った老人の話を受けて、キリアスは、改めてゆっくりと周りを見回した。

当然ながら、リュグナーとは面識がある。だが、この薄暗さでは顔すら判別しにくい。

部屋の中では、彼の正面に首魁の老人、左右に距離を置いて2人の男、そして……、入り口にひとり。

『ちっ、それぞれが俺を取り囲むように対角線上に立っているか。これではままならんな。

一人は恐らくアゼルという男だろう。だがもう一人いるということは、右と左、どちらがアゼルだ?

そして奴ら以外に、後ろの入口に居る男は、東、皇王国を担当していた男か?』

「それにしても、皆様がご無事で何よりです。我らはこの先、いかが動くべきでしょうか?

その指示を仰ぐべく、敗残の身ではありますが、帰参いたしました」

「ちょうど我らもその話をしていたところよ。これから魔境伯の領地を襲い、奴の身内を血祭りにあげる準備が、先程整ったところだからな」

彼の左手に立っていると思われるリュグナーが、声高に先ほど却下されたはずの計画を告げた。

『こ奴らは自身の身勝手な策謀により、この国を亡ぼすことしか考えていないのか?』

そう考え、キリアスは強い怒りを覚えた。

『この中で最も剣が使えるのは、恐らくリュグナー、ならば最初に奴を雷撃で封じ、それと同時に突進、首魁を切り下げて右へ転じ、続けざまに2人を斬り捨てて……、いけるか?』

そう考え、さりげない動作で左手をリュグナーの方角へ、そして右手はいつでも剣が抜けるよう、鞘に触れ、咄嗟に動けるよう少しだけ重心を落とした。

その時だった。

「がふっ!」

思わず声を上げたキリアスは、そこでの動きを封じられていた。

灼熱のような感覚が背中から胸に突き抜け、彼の胸からは細い槍先が鈍い色を放ち突き出ていた。

「んなっ! お前っ……」

キリアスが振り返った後ろには、彼の最後を看取るはずの部下が、冷たく、氷のような表情で自身に槍を突き刺していた。

「ははは、我らが犬を放し飼いにしておくとでも思ったか! 貴様にはこ奴が監視者として付いたのも知らず、我らの掌の上で踊っていたに過ぎんわ!

愚か者め」

部屋にはリュグナーの哄笑が響き渡った。

「くっ、俺は最後まで道化だったと言うことか……、だが……、せめて一太刀……」

キリアスは声にならない、祈りにも似た最後の声を上げた。

そして、このあと、最後の力を振り絞り、本懐を遂げるために、彼らの想像を越えた行動に出る。

いつもご覧いただきありがとうございます。

次回は『物言わぬ遺言』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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