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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 320

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論功行賞の場は、ますます熱気を帯び、その後発表される勲功認定と褒賞について、会場に居る者全てが、固唾を飲んで見守っていた。

だが、誰からも評価が高いと予想された当事者ほど、まるで他人事のように落ち着き、軽口を叩き合っていた。

「タクヒール、あ、いや、失礼いたしました。魔境伯閣下はこの度の論功行賞で、非常に多くの者を推薦されたと聞いていますが……、ぶっちゃけ何人ぐらい推薦したんだ?」

「ダレクさまっ、言葉の最後が……」

「ふん、細かい奴だなぁ。俺はこの堅苦しいエロールを筆頭に、各隊隊長から3人だが……」

「えっ! ダレクさま……、あ、あなたと言うお人は……」

「気持ち悪いな。いちいち涙ぐむんじゃねぇよ。

お前の部隊は、蓋をするという一見地味な役割を完璧に果たしたんだ。だからこそ、完全勝利であり、より多くの者たちが進んで捕虜になったのだろう?」

確かに、今回のイシュタル戦では、アレクシスや兄の武功に目が行きがちだが、エロールの活躍は非常に大きかった。

エロールは魔境との境にある山岳部付近を全て押さえると、その侵入路には、帝国兵に偽装した部隊を要所に配置していた。

そのため、侵攻した別働隊を一兵も逃さず、逆に伝令として侵入した兵も全てを捕縛し、完全に情報を封鎖していた。

これは元々彼自身の出身地であり、詳細な地形に精通していたことも大きい。

それによりアイギス方面の第一皇子は、最後までイシュタル側の敗北に気付かずにいた。

そして更に、捕虜に対するエロールやその部隊の温情ある対応、敵軍の負傷者へのいたわりや介護に、帝国兵たちは涙を流して感謝し、彼らがその後、逃亡した兵たちへの呼びかけに積極的に協力してくれた。

その結果、多くの血を流さず、投降する兵たちが続出していた。

この武勲は非常に大きなものだと、俺自身も思う。

「俺も同意見ですね。ところで兄さん、我らが望んだことではありませんが、兄さんは今ハストブルグ辺境伯の名跡を継いでいます。

正式な任命はこの後ですが、事実上俺と兄さんは同格ですよ」

「そうだな……、喜ぶべき昇進じゃないが、やっとお前に追いつけたな。

まぁ、今日でまた突き放されるんだろうけどな」

「兄さんもひとつ、階位を上げて辺境公でしたっけ? 恐らくそれは確実でしょう。

俺はもう、上がっても限界がありますしね」

「ははは、そうだな。公爵の上って、もう王族になるしかないよな?」

「アヤウク、ナリカケマシタケドネ……」

俺はあの騒動の最後クラリス殿下が呼び出された時、陛下と狸爺の企みを知った。

俺の知らないところで進んでいた話に、驚愕したのは言うまでもない。

「これより各方面における戦いの論功行賞行う!」

この声が響き渡り、俺と兄との雑談は中断された。

一気に会場がシンと静まり返る。

「なお、今回は対象者が多岐に渡るため、対象者全てを御前に呼び出したのち、勲功認定を発表する。

陛下のお言葉も、全員に対するものであること、各位には予め了承していただきたい。

それでは先ず、東部戦線! 名を呼ばれた者は御前に進むように。

ハミッシュ辺境伯、……、バウナー男爵」

そうだよな、いちいちやっていれば、時間がかかって仕方ないよな。

「……、最後に、ソリス魔境伯!」

「へ?」

俺は思わず変な声を出してしまい、周りの貴族たちの失笑を買ってしまった。兄なんか、腹を抱えて必死に笑いを堪えている。

慌てて前に出て御前で跪いたが、その時点でもまだ『何故呼ばれた?』と言う疑問は消えなかった。

「東部方面、論功第一位、ハミッシュ辺境伯、辺境伯は功績により辺境公となり、東の新領土を与える。

なお新たに領有する土地は、一部を麾下の貴族に預けることも可能だ。褒賞、金貨50万枚!」

「おおおっ!」

大きなどよめきが起こった。

「続いて第二位、……」

でもやっぱり場違いだよな? 俺は今回、東では何もしていない。

しいて言えば、魔法士の訓練をイシュタルで行ったぐらいだ。

「第三位、ソリス魔境伯!」

「は?」

「コホン、魔境伯はこの度、ハミッシュ辺境伯より、論功一位が妥当なりと強く推挙があった。

其方の残した水攻めの戦術、魔法士を活用した戦術が、形勢を逆転させ勝利に結びついたとな。

爵位については、別件もあるため、改めて後程申し渡すが、勲功第三位、金貨10万枚を遣わす」

あれって……、テイグーンの関門を真似て作った仕掛けですよね?

でも。俺のしたことって、それだけですよ?

そう考えているうちに発表は終わり、陛下が話し始めた。

「皆、今回は大変よくやってくれた。東部戦線が真っ先に勝利し、安定したからこそ、王都騎士団は各方面に駆け付けることができたといえる。この功績は大きい。ご苦労であった」

「続いて、北部戦線! モーデル伯爵、クレイ伯爵、ホフマン軍団長、……」

なんか、ちょっと腑に落ちないが……、とり急ぎ後でハミッシュ辺境公にはお礼をいっておこう。

俺は元の位置に戻りかけた時だった。

「……、ソリス子爵、そして……、ソリス魔境伯!」

「はぁ?」

またやってしまった……。俺は大笑いする兄に引っ張られ、再び御前へと進み出た。

陛下ですら、笑いを堪えている顔をしている。

「北部方面、論功第一位、モーデル伯爵、伯爵は功績により軍務卿の任を後進に譲り、王国の北の要として辺境公となり、旧ウロス王国の新領土を与える。

なお新たに領有する土地は、一部を麾下の貴族に預けることも可能だ。褒賞、金貨50万枚!」

「なんとっ!」

再び大きなどよめきが起こった。

モーデル伯爵は公爵待遇、即ち二段飛びの昇格だった。

正確には、大臣職たる軍務卿の任にあるので、1.5段飛びというところか。

「続いて第二位、クレイ伯爵、……」

でもやっぱり場違いだよな? 俺は今回、北では何もしていない。

しいて言えば、魔法士の訓練をイシュタルで行ったぐらいだ。

「第三位、ソリス子爵! 膠着した戦線を一気に決着させた騎兵の運用、真に見事であった。

今後、各辺境騎士団の範を示したこと、高く評価すべき事柄である。

爵位については、別件もあるため、改めて後程申し渡すが、勲功第三位、金貨10万枚を遣わす」

「続いて第四位、ホフマン軍団長、……」

さすが兄さんだな。クリストフも言っていたが、団長とタメを張る騎馬戦術、用兵は当然の評価だろう。

でもやっぱり……、なんで俺はここに居るんだ?

「勲功第五位、ソリス魔境伯!」

「……」

「最終局面にて、敵兵力の戦意を喪失させ、4,000名を戦わずして投降に導いた戦術、誠に見事であった。

よって勲功第五位、金貨4万枚を遣わすが、爵位については、別件もあるため、改めて後程申し渡す」

内務局の言葉は事実だけど、事実ではない。

正直言って、ここまでの結果を期して行った作戦でもなく、結果が残ったのはあくまでも巡り合わせ、そしてアウラや元皇王国の者たちの真摯な呼びかけのお陰でしかない。

「北部戦線は臨時編成ながら、統率されよく戦い頑強に持ちこたえた。王国同士の兵が相討つ中、最終局面まで耐えたその戦術、見事であった。王国が初めて持つ海への出口、これからも頼んだぞ」

陛下の最後の言葉、そこには俺も胸が躍った。

海があれば海産物が手に入る! 他国ならまだしも俺のよく知るモーデル伯爵、いや辺境公が領有するとなれば、気軽に遊びに行くことも、商隊の出入りだって格段に便利になる。

「続いて西部戦線、クラリス殿下、シュルツ軍団長、ソリス魔境伯、……」

まぁ今度は呼ばれるだろうと思っていた。

最後にちょっと手を出したぐらいだから、孤軍奮闘した殿下、シュルツ軍団長に続き、三位ぐらいかな?

「西部方面、論功第一位、ソリス魔境伯! 絶体絶命の窮地を救い、殿下と王国の民を救った功績は高く評価されるべきである。

また、事前に防衛拠点や戦術を構築し、迎撃の準備を万端に整えた手腕は誠に見事、賞すべきことである。

爵位については、別件もあるため、改めて後程申し渡すが、勲功第1位、金貨50万枚を遣わす」

『あれっ? 三位じゃないんですか? ちなみに辺境公は誰が?』

「西部戦線は、断絶となった貴族も多く、改めて恩賞を含めて領地を再編成するが、新辺境公については辺境伯の旧領に加え、アクアラート侯爵領及び伯爵領を加え、子爵領、男爵領の一部を繋ぎ、相応の所領を用意する」

「それは……」

感嘆とも不安とも取れないどよめきが、会場全体に起こった。

確かに、領地としては今のハストブルグ辺境伯領の二倍程度、かなり大きなものとなるが、新領土を含まない以前のカイル王国の土地、その前提で見れば、この領地だけが突出した大領となる。

しかも、敢えて誰が務めるのか、この場で言わない意味って何だ?

「続いて勲功第二位、クラリス殿下! ……

勲功第三位、シュルツ軍団長、……、勲功第四位、……、以上とする!」

俺は考え込むあまり、その先をよく聞いていなかった。

勲功第十一位まで続いていた気がするが、後半の八名は殿下を讃えながら泣いていた気がするけど……

「西部戦線を戦いし者たちよ。公国の魔法兵団に対し、真によく戦い抜いた。不退転の決意で王国を守り抜いた其方たちを、余は誇りに思う。そして魔境伯、改めて感謝する」

「では最後に南部戦線、ハストブルグ辺境伯名代フローラ、ソリス魔境伯、ゴーマン伯爵、ソリス伯爵、ソリス子爵、コーネル子爵、ボールド男爵、ヘラルド男爵、クライツ男爵、御前へ!」

俺たちが御前に勢揃いすると、一瞬だけ沈黙が訪れた。そして、陛下がゆっくりと口を開いた。

「皆の者、余も皆と同じ気持ちじゃ。本来此処の先頭におらねばならん者、余の盟友を失った。

この悲しみは計り知れん。じゃが……、我らは前に進まねばならん。辺境伯の想いに応えるためにも」

沈痛な表情で語る陛下の言葉に、皆が下を向いて静かに聞き入っていた。

俺自身、浮かんだ涙で視界がぼやけた。兄も、父も、そしてゴーマン伯爵は特に、呻きを漏らして男泣きしている。

俺や兄と同様、父やゴーマン伯爵を重用し、配下として育ててきたのは辺境伯だった。

「この論功は、亡きハストブルグ辺境伯に敬意を表し、そして、断腸の思いを込めて余自身が伝える」

そう言うと陛下は、わざわざ立ち上がり、静かに、そして厳かに話し始めた。

「論功第一位、ソリス魔境伯、其方の活躍があってこそ、この国は救われた。思えば七年前、其方が初めて予に相見えた時には既に、其方の孤独な戦いは始まっておったのだな。

今回の勝利に、其方の弛まぬ努力と将来を見据えた戦略眼に敬意を表し、勲功第一位として金貨100万枚、そして、割譲された帝国領の全ての差配を任せる。正確には一度全てを其方に与え、其方の権限で麾下の者たちへの配分も可能とする。

今後、各地の辺境公たちとも語らい、王国の安寧を支える要となってくれ」

「な、なんと!」

「余りにも……」

「いや……、それは」

会場が一気にざわついた。

まぁ、無理もないけど。俺自身は内々に一部を知らされていたから、さして動揺はなかったけど……

「余りに突出した褒賞に、驚きや不満の声もあろう、だが、各辺境公に託した褒賞は全て、新領地の開発と防衛線の構築、それを見込んだものじゃ。恐らくそれでも足らんぐらい、難儀することもあろう。

まして、周囲は全て敵となる南の新領地は、最も危険で、最も過酷な最前線となろう」

そう言って陛下は、遠くを見るような目をされた。まるでそれらの土地を見ているかのごとく……

そこにクライン外務卿も言葉を加えた。

「諸侯にはもう一点、申し添えておこうかの。

この人事は、講和条件にも反映されておるのじゃ。

帝国としてはかつてない戦時賠償に応じる代わり、新領地を魔境伯に与え、戦時賠償の半額は新領地の開発に使うこと、これらを指定してきおった。

恐らく帝国が考えているのは3点……

・無敗の魔境伯を鉄壁の要塞の外に引きずり出すこと

・過分な報酬で不和を誘い、魔境伯を孤立させること

・善政と開発に実績ある魔境伯に、民を託したいこと

誰でも分かることじゃて。儂らは敢えてその思惑に乗った。魔境伯を、そしてここに集う一同を信じて」

陛下や狸爺の言葉に、一堂は沈黙した。

それは、裸で敵地に乗り込むことに等しい、それぐらいに危険なことで、どんな理由を付けても、帝国側は最も危険な男を、最も討ちやすい位置に誘い込んだことに他ならない。

「さて、続けようかの。

勲功第二位、ソリス子爵! 今回の勝利に其方の功績もまた欠かすことはできんじゃろう。

イシュタルでの活躍、誠に見事であった。勲功第二位として金貨30万枚を遣わす。

また、これよりハストブルグ辺境伯の名跡を継ぎ、ハストブルグ辺境公を名乗るが良い。

其方の名誉は、わが友の名誉でもある。妻と共に、新しき辺境公として、王国を支えるように」

「はっ! 畏まりました」

「はい、もったいないお言葉でございます」

ん? おかしいな。気のせいかもしれないが、兄と俺、辺境公が二人にならないか?

もっとも陛下は、兄には明確に辺境公と伝えているが、俺には『各地の辺境公と語らい』だけで、個人の地位は明言していない。

どういうことだ?

「勲功第三位は同列で三名とする。

ゴーマン伯爵、ソリス伯爵、コーネル子爵、を勲功第三位とし、各々金貨10万枚を遣わすものとする。

奇しくも皆、魔境伯にとっては父、義父、叔父の立場、新領地で苦闘する伯を助けてやって欲しい。

それぞれ伯爵位の者は侯爵に、子爵位の者は伯爵として昇爵させる」

「はっ!」

三人は、まるで揃えたように同時に、大きな声で返答し、深く頭を下げていた。

「勲功第四位、旧ファルムス伯爵の名誉を受け継ぐ、三名の男爵たちよ。

敬愛する将を失うこと、其方らには二度の無念を味わわせてしまったな。余としても改めて詫びたい。

そして、これよりは新しき道を進んでもらいたい。勲功第四位、三名には合計金貨10万枚を遣わす。

配分は、新たな役目に応じ、其方らで決めると良かろう。三名とも、今後は子爵となり、なお一層励むことを期待しておるぞ」

「陛下のお言葉、今は亡きわが主君にもお伝えしたく存じます」

「お言葉、感謝に堪えません」

「亡きファルムス伯爵の意思を継ぎ、邁進いたします」

三者三様の答えだった。

ん? 所で何だ? 新たな役目って?

「さて、ここからが余が贈る、最大の論功行賞よ。関係者には既に余自ら話し、了解を得たことじゃが……

先ず先の発表で空席であった西部国境の辺境公、これを新しきハストブルグ辺境公、其方に託す。

王国の西の護りを託したい」

「はっ!」

「そして、これより重大な知らせを皆に行いたい」

何だその、根回ししました感満載の言葉は?

俺、何も聞いてませんけど?

さっきの件も含め、何で兄さんは平然としている? もしかして、事前に知っていたのか?

なんか俺一人、蚊帳の外に置かれている気がするんですけど……

いつもご覧いただきありがとうございます。

次回は『論功行賞 新しき未来』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

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2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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