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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 321

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話は少し前に遡る。

それは論功行賞が行われる前日のことだった。

論功行賞のため、王都に集った者たちのうち、密かに王宮の一室に招かれた者たちがいた。

その旨を誰に告げることも禁じられて……

そこに居合わせたのは、ゴーマン伯爵、ソリス伯爵、ソリス子爵、コーネル子爵、そしてファルムス軍の三男爵たち、そして何故か、ダレクの妻、フローラであった。

タクヒールを除いた南部戦線の主要貴族だが、それなら何故、魔境伯が呼ばれていないのか、誰もがそれを怪訝に思っていた。

「ふぉっふぉっふぉっ、陛下、皆集まりましてございます」

クライン公爵が発言すると、カイル王は無言で頷いた。

彼ら以外にその場に居合わせたのは、カイル王、外務卿たるクライン公爵、内務卿の三名だった。

どうやらダレクとフローラだけは先に呼ばれ、何かを密談していたようだが……

「皆には急遽集まってもらい手間を掛けた。実は事前に相談と、内諾を得ておきたい話があってな。

今回の論功行賞で、陛下は南部辺境の領地を大きく再編成したいとお考えなのじゃ」

「それは……」

「もちろん、皆には負担を掛けるのは重々承知じゃ。じゃが先ずは陛下と儂が、帝国と行った交渉の顛末、そして陛下の思いを聞いてほしい。無論、交渉の結果と対応の一部は既に魔境伯にも伝えておる話じゃ。実はな……」

そう言った前置きの上で、外務卿は彼らの考えていること、そして、その思いを実現するための手段を語り始めた。

「なっ!」

「デアルカ……」

「そんな……」

「それでは……、魔境伯は……」

想いを告げられた夫々の反応は様々だったが、一様に驚愕し言葉を失っていた。

「今、王国西部の国境は空白地帯となり、国境守備を担うだけの力量、人望を持つ者は周辺におらん。

そこで事前にソリス子爵とフローラ殿には話を付け、西部国境の辺境公となってもらう旨、先んじて承諾してもらった」

「では、ソリス子爵領は? いや、それ以前にハストブルグ辺境伯領は如何なさる御所存ですか?」

ソリス伯爵は、この件に関し当事者である息子、ソリス子爵が黙って聞き流しているのに、違和感を感じつつ、敢えてこの点について質問した。

「内乱前のハストブルグ辺境伯の旧領で、中央より南部分、ちょうどブルグの街より先は、キリアス子爵領とともに、魔境伯の新領地として預ける。そこでじゃ、コーネル伯爵」

「伯爵?」

「そなたの領地、旧領部分と元ヒヨリミ子爵領を魔境伯に渡してほしい。代わりにブルグを含む、辺境伯領の北側と、内乱時に辺境伯が得た新領地、ソリス子爵の得た領地などを繋ぎ合わせ、新しく伯爵領としたい」

その提案は、驚くべきものであった。広さだけなら、今のコーネル子爵領の優に倍を超え、かつ、ブルグを始め人口の多い街を幾つも内包している。

「なぜ私めに?」

「この横に長い領地は、将来に渡ってこの国の防衛線となる。むろん其方らが生きている間は、無用の長物となるがな。これを大地を友とし、多くの地魔法士を抱える其方に預けたい」

「なかなか、即答しづらい話ですが、我らにとって否と言う不都合な点は全くございませんな」

「続いてゴーマン侯爵、其方についてじゃ。

今回の武勲にて、其方には新たに男爵領程度の領地を遣わす。そして、帝国内の新領地にも子爵領を用意すること、このことだけは魔境伯には内諾も得ている」

「この件については、余からも補足しておこう。

帝国側の領地には、先の内乱で継承権を奪われた、息子か娘、どちらかを充てるがよい。身の立つ場所としてやるが良かろう。

これは亡き我が友(ハストブルグ辺境伯)の願いでもあったことじゃ。

そこはもう王国の土地ではない故、王国の法に縛られることも無かろう」

「なっ……、そのような……、有難うございます! 謹んで……、謹んで、お受けさせていただきます」

この言葉を受け、ゴーマン伯爵は深く平伏したまま、肩を震わせていた。

「さて、後回しになったがソリス侯爵、自慢の息子二人が……、そなたも感無量であろう?

其方にも男爵領規模の領地を新たに追加し、帝国領内にも飛び地として、子爵領程度の領地を用意する」

「これは……、望外のご配慮、誠にありがとうございます」

「さて、クライツ男爵、ボールド男爵、ヘラルド男爵よ。今回子爵となる其方らに相談じゃ。

こちらとしてはそろそろ、ファルムス家の再興を考えておる。故に一先ず、帝国内の新領に、伯爵領相応の土地を用意した。

一人はそこで、ファルムスの家名を復活させてもらいたい。むろん、子爵の家名も存続を認める。

一人は新たに、ハストブルグ辺境公の片腕として、西部辺境域で公を支えてほしい。

最後の一人は、3男爵家の旧領を取りまとめ、その一部は旧ハストブルグ辺境伯領の一部と再編成する。

それぞれが、今後伯爵領として立つ程度の、領地の広さは確保するつもりじゃ」

「なんと!」

「それでは我らは……」

「あ、ありがとうござます!」

3名は机に突っ伏して、それぞれが号泣していた。

長年の思い、主家の再興が叶うのだから、無理もない。

「これで形が整いましたな。

ハストブルグ辺境公には、実戦経験豊富な2名の子爵が両翼を支え、新たな領地経営と国境防備に当たり、両国の懸け橋となる重責を担う。

ソリス魔境公を支える者たちは、より力を大きくし、公は新領地の開発に邁進できますな」

「ほっほっほ、内務卿の仰る通り、新しき未来、真に楽しみなことじゃて」

「ふむ、クライン公爵の言葉、皆は前向きな気持ちで了承した、そう考えて良いな?」

「はっ!」

最後のカイル王の言葉に皆が平伏した。

そして……、翌日に行われた論功行賞に至る。

「余から改めて皆に問いたい!」

国王陛下は再び立ち上がると、大きな声を発した。

「今から申す功績に、其方らはどう報いるのが相応しいと思うか? 考えのある者は遠慮なく申すがよい」

そう言うと陛下は、論功行賞式典に参列した者たちを睥睨する。

「10年も前から来る有事に備え、数々の妨害に屈せず道を貫き通した、忠義なる者の功績や如何に!」

『えっと、それは……、誰のことだろう?

俺は忠義などではなく、家族を、仲間を、そして自分を守りたかっただけだし……』

「此度の四か国からの侵攻を予期し、万全の迎撃態勢を提案した上で構築した、智者の功績や如何に!」

『予期したのは帝国のジークハルトだし……、迎撃準備全体を指揮したのは……、狸爺だよな?

俺は南部と西部の戦線の準備をしただけだ』

「魔法騎士団の結成を提案し、彼らを招集し鍛え、実戦で活躍させた、周到なる者の功績や如何に!」

『提案したのは俺だけど、招集にはユーカとクリシアが活躍し、彼らを鍛えたのは団長だし、戦場で指揮したのは殿下だよな?』

「東部戦線にて策を残し、圧倒的に不利な状況を覆し完全勝利をもたらした、巧者の功績や如何に!」

『罠を作ったのは俺の指示だけど、それを活用して勝利したのは、ハミッシュ辺境公だよな?』

「北部戦線にて策を巡らし、戦わずして四千名もの捕虜を得るという、深謀なる者の功績や如何に!」

『そりゃぁ……、兄さんだろう。そうなるよう配慮して戦いを仕向けたのだから』

「南部戦線にて3倍以上の敵軍を完全に撃破し、一万以上の兵を捕虜とした、強者の功績や如何に!」

『これは勿論、アレクシスだ。……、違うの?』

「周到な策により侵攻軍の首魁を捕らえ、広大な領地と莫大な賠償金を得た、賢者の功績や如何に!」

『捕らえたのは団長だし、交渉で得たのは狸爺。その認識で間違い無いかと……』

「西部戦線において我が娘の窮地を救い、数万の敵軍を一撃で完全撃破した、勇者の功績は如何に!」

『それはもしかして、ゴルドのことでは? 窮地の殿下を助けて、指揮権を預かって水攻めを献策したし』

「公国遠征で国境を奪還するだけでなく、反乱軍を撃破し勲功第一とされた、覇者の功績は如何に!」

『これは俺もちょっと、身に覚えがあるけど、覇者ではないし、それは言い過ぎだろう』

「配下となる優秀な人材を登用して適所に配置、それぞれに武勲を立てさせるよう対応し、王者の風格を持つ者に対し、相応しいと思われる褒賞に覚えがある者は答えて見よ」

『スゴイデスネ~、ダレデスカ、ソレ?

忠義なる者、智者、周到なる者、巧者、深謀なる者、強者、賢者、勇者、覇者……、止めは王者の風格。

そんな賛辞のオンパレード……、言われた方が恥ずかしいのでは?』

俺は小さく呟いた。

「侯爵か? 公爵か? 辺境公か? 全く足らんわ!

余は次代の王配として、わが娘の夫にその者を迎えるつもりであったが……、その夢は潰えた。

例えそれが成ったとしても、それでも足らんわ!」

「スイマセン、デモソレハ、オレノセイデハナイデスヨ」

「余はここに、彼の者の忠義と、類まれなる武勲に対し、辺境公最上位として定めた魔境公に任じ、王族に次ぐ地位を与えるものとする。

それだけではない! 領内の自治と完全なる自由裁量権を与え、王族に等しい待遇、公王として迎えることを決意した。

異論がある者は、彼に対し相応しい褒賞と待遇を新たに提示し、余に申してみよ! 直答を許す!」

そう言うと、陛下は今まで見たこともない様な気迫溢れる顔で、居並ぶ一堂を見渡した。

周りの者たちは陛下の気迫に完全に飲まれ、物音ひとつ立てず静まり帰っている。

「彼の者には、旧ハストブルグ辺境伯領の大半と、その与力、2名の侯爵と3名の子爵、そして今回新たに貴族として任じられる者たちを率い、割譲された帝国領とを合わせ、我らが兄弟国となる公国、魔境公国を興してもらう。

この国は、公王自らもカイル王国に籍は置きつつ、独立した営みを認め、我が国にとっては南の防人として、大いにその価値を示す存在になろう!」

「はぁぁぁぁぁぁっ? 公国? 公王? あの……、何も聞いてませんけど……」

「異議なし!」

真っ先に声を上げたのは、何を隠そうハストブルグ辺境公、兄だった。

「素晴らしいお考えじゃ!」

次いで賞賛の声を上げたのは、モーデル辺境公だった。

「陛下のご英断に敬意を!」

いや……、ハミッシュ辺境公まで……、ってか、国境を守る重鎮である三公が揃って……

「我ら王都騎士団、陛下のご意思に対し全面的に賛同いたします」

ゴウラス騎士団長……、でもほら、他の軍団長も……

「我らも大賛成です!」

ホフマン軍団長、ちょっと声が大きいです。

「公王陛下、おめでとうございます」

いや……、シュルツ軍団長、陛下は止めてください。ってかこれで、王都騎士団はコンプしちゃった……

「我ら貴族一同、謹んでお喜び申し上げます」

クレイ伯爵、その他ユーカの学友のお父上一同で、頭を下げられても……

「我ら国政を担う職務の者全て、賛成致します」

あの……、大臣方、皆さんに跪かれても困るんですけど……

「我ら一同、改めて公王陛下に忠誠を!」

いや、ゴーマン侯爵、義父上がそう言うから、南部辺境諸侯全員が一斉に跪いているではないですか……

「タクヒールさま、我ら一層の忠勤を励みまする」

いや団長、団長の言葉に合わせて、仲間たちや妻たちも、一斉に跪いて……

「我ら古き流れを持つ氏族、謹んでお喜び申し上げます」

トールハスト侯爵、あなたそんなキャラでしたっけ?

俺をよく知る人から始まった声に続き、次々に声を上げる者が増え、その輪が広がっていく。

賛成の声は、更に居並ぶ全ての貴族たちに波及し、大きく広がり続けていった。

それはまるで、何か暖かい、光の輪が広がるような錯覚すらあった。

あれ……、なんだ、この不思議な感覚は?

そう言えば、この場にいるアン、ミザリー、ローザ、クレア、ヨルティアは、前回の人生最後の時も居てくれたよな……

状況や内容、その他の人物こそ全く違うが、これってどこか、前回の歴史の最後に似ていないか?

俺が処刑された秋と、少し季節はずれるが同じ20歳の年に……

まさか今回もここでエンディングとなり、俺がまた最初に戻るという、そんな無情な話は……、ないよね?

「ほっほっほ、魔境伯、いや公王陛下、観念なされませ」

俺の心配をよそに、狸爺と陛下は、会心の笑みで笑ってるし……

もしかしてこれって、殿下の時の仕返しですか?

ドッキリですか?

ドッキリですよね?

きっとそうですよね?

これがかつて、陛下がいつか果たすと言っていた、俺に対する約束、初代カイル王の遺言を果たすという道なのか?

「さて、新たなる公王よ、ここに至ってはもう戻れんぞ。覚悟を決めてもらおうかの。

おおっ、そうじゃ! 大事なことを忘れておったわ。新しき公国の国名を何とする?」

『いや、そんな、突然言われてもほら、こんな話はゆっくりと考えるもので……。普通なら、内々に根回しとか、国内の調整とかあるでしょう?』

俺は下を向いて、小さく呟いたが……

なんと返して良いか言葉が出てこない。

「悩む必要はなかろう。そもそもこの国の名『カイル』とて、幼子が気軽に初代カイル王を呼びやすくするため、名付けられたという秘話もあるぐらいだからな。国とは名ではない、その在り様よ」

『いや、そんな王国の秘事、別に今聞きたくないですし……。しかもそれって、気軽にさらっと話しちゃっても良い話ですか? ってか、本当にどうしよう……』

俺は焦った。そして思いっきり動揺していた。

新しい国の名前……

『ローエングラ……』いや、それはダメだ。響きは最高だけど、似合わない。

そして、それを使ってはいけない気がする。

『ニシダ公国』いや、それは一番ない。響きも悪い。

世の中のニシダさんには申し訳ないが……

カッパーとか咄嗟に思い付く様な、オチと笑いを含んだナイスなセンスなんて、俺にはない。

ニシダ……、西田? 西(WEST)、田(ricefield)?

「ウエスト……、ウエスト、ライス……、フィールド?」

「おおっ! ウエストライツ! 良い響きではないか!」

「いえ、ライス……フィールド」

「よし決まりじゃな! ウエストライツ魔境公国! 大臣! 直ちに公文書にそう記載せよ!」

「あの……、ライスフィールド……」

もう諦めるしかなかった。

ってか、もうひとつ気になることがあるんですけど。

魔境公国公王、それって長くてめっちゃ言いにくいですよね?

短くして短縮読みとか……、したりしませんよね? 最初と最後の文字だけ取って呼ぶとか……

俺は世界中から討伐される者、そんなフラグなんて要りませんからね?

どう足掻いても俺はこの世界で、どうやらラスボス扱いの呼称になってしまいそうだ。

父の蕪男爵、芋男爵を笑ったバチが今頃ですか?

カイル王国の分国、ウエストライツ魔境公国が、この日誕生した。

栄えある新しい国名は、些細な行き違いで定まってしまったが、その事情を知る者は一人しかいない。

また後年、ウエストライツ魔境公国と、公王率いる精強無比の軍勢と敵対した者たちは、公王タクヒールを指し『魔王』と呼び恐れたという。

その魔王自体は、極端に自己肯定が低く、日ごろの言動や振る舞いも、一介の貴族(以下)の、気安いものだったと言われる。

公王や魔王と呼称されるには不似合いな、自らの功績にも謙虚な王であったととも言われるが、後世に伝わる歴史書には、そのような記載はなく、伝承が残るのみであった。

こうして新しい未来は、タクヒールらしいオチのついた、済し崩しで始まり、これより新たな歩みを進めることになる。

いつもご覧いただきありがとうございます。

今回の終わりは、なんとなく、エンディングっぽくなってしまいましたが、申し訳ありません。

こらからももう少し、お付き合いください。

次回は『論功行賞 未来を担う者』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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