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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 325

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新年の宴の翌日、テイグーンの迎賓館の一室、フェアラート国王より拝領した、巨大な深紅の絨毯が敷き詰められた一室では、主要者を集めた会議が執り行われていた。

タクヒールの招集に応じて参加するのは、ハストブルグ辺境公の名代として、新年の宴に参加していた辺境公夫人フローラ、ウエストライツ魔境公国に属する者たちの、ゴーマン侯爵、ソリス侯爵、クライツ子爵、ボールド子爵、ヴァイス子爵、バウナー子爵に加え、タクヒール直属の配下で準貴族以上の地位にある者たち、そしてカイル王国側に属することになったコーネル伯爵、及び今回特別に招き入れた1名だ。

「今日お集りいただいた皆さんには、遠路ご足労いただいたこと、各位が内政と復興にお忙しい中、お時間をいただけたことに、先ずはお礼申し上げます。

今日の議題は二点、帝国の新領地における方針と、鹵獲物の分配について改めて議論の場と、お知らせをしたく思っています」

そう、イシュタル防衛戦に関しては、兄率いる辺境騎士団、そしてハストブルグ辺境伯軍騎馬隊、ヘラルド、クライツ、ボールド子爵らの選抜騎馬隊の助力があってこそ、完全勝利することができた。

なのでその点を考慮して、鹵獲品などの分配も行わなくてはならない。

「ではミザリー、捕虜返還に関わる身代金、そして鹵獲品の分配案について報告してほしい」

「はい、先ずは全体数から報告させていただきます。

帝国軍の捕虜の総数は11,700名、そのうち返還対象となる捕虜は、鉄騎兵500名、歩兵5,200名です。

それに加え、ハーリー公爵などの貴族個別の身代金を含め、返還費用の総額は王国金貨50万枚相当です」

そう、第一皇子の陣営には公爵を始め身分の高い貴族も多く、その身代金だけで19万枚にもなっていた。

「続いて鹵獲品について申し上げます。

捕獲した軍用に足る軍馬の総数は約8,000頭、すぐさま転用可能な武具は15,000、防具は12,000名分です」

これらはあくまでも、修繕不要かちょっとした修繕で使用可能な物を指している。

軍馬に関しても、深く傷つき、農耕馬や輸送用程度にしか使えない可能性が高いものは含めていない。

「これらを戦功や従軍数、従軍日数などを考慮し、割り振らせていただきました。

先ずはこちらの想定を発表しますが、ご意見やご異論のある場合は仰ってください」

◆身代金総額(500,000枚)

ソリス魔境公    260,000枚

ハストブルグ辺境公  80,000枚

ゴーマン侯爵     50,000枚

ソリス侯爵      50,000枚

コーネル伯爵     40,000枚

ファルムス連合軍   20,000枚

◆軍馬総数(8,000頭)

ソリス魔境公     5,300頭

ハストブルグ辺境公   800頭

ゴーマン侯爵      600頭

ソリス侯爵       600頭

コーネル伯爵      500頭

ファルムス連合軍    200頭

◆武具総数(15,000人分)

ソリス魔境公     7,700相当

ハストブルグ辺境公  2,800相当

ゴーマン侯爵     1,500相当

ソリス侯爵      1,500相当

コーネル伯爵     1,200相当

ファルムス連合軍    600相当

◆防具総数(12,000人分)

ソリス魔境公     6,300相当

ハストブルグ辺境公  2,200相当

ゴーマン侯爵     1,200相当

ソリス侯爵      1,200相当

コーネル伯爵     1,000相当

ファルムス連合軍    600相当

「今ミザリーが申し上げた配分に対し、ご意見や異論があれば遠慮なくお願いしたい。

我々も再検討の余地はあると思っていますので。

いかがでしょう?」

「あの……、少しもらい過ぎと思うのですけれど。ダレクさまは最終局面で参陣したに過ぎませんし……」

「デアルな。フローラさまの仰った通り、我らは公王の準備された土俵で戦ったに過ぎぬ」

「そうだな。ゴーマン卿のいう通り、今回の戦功は戦略面、戦術面ともに公王に属するものだろう」

「辺境公夫人、そして両侯爵とも、ありがとうございます。他の皆様も同意見でしょうか?」

俺の質問に、居並ぶ諸将は皆、黙って頷いていた。

「ありがたいお気持ちは頂戴するとして、分配に関しては先の通りにしようと考えています。

個人的な考えとして、今後は諸将にも力を蓄えていただきたい。そう考えています。

後に述べる理由により、近い将来、公国として2万の戦力、これは最低限必要になるでしょう。

なので、今回の配分はその地固め、そう思っていただきたいです。では、ヴァイス子爵、頼む」

団長は貼り出された大きな地図を指し示しながら、説明を始めた。

「はい、理由については私から申し上げます。新領土に関する懸念は、大きく三点ございます。

ひとつ、守るに難く攻め易い、いわば死地です。

ひとつ、主要な街、要衝は全て帝国領にあります。

ひとつ、帝国領の飛び地、この地の存在です」

「確かに、新領土は国境から先で左右に大きく横に広がり、逆に縦は短い。我らに不利な地勢である上に、この飛び地、我らの喉元に突き付けられた匕首デアルな」

「ゴーマン閣下のご指摘通り、このように、新領土は帝都側への奥行きが浅く、大きく横腹を晒した形となります。これでは左右を移動するより早く、ゴールトから旧国境に攻め寄せることができてしまいます。

事あるとき、容易く分断され各個撃破されることでしょう」

そう、ここが最も頭の痛い話だ。

難攻不落の要塞に立てこもり、不敗を誇っていた俺たちは、敵軍が攻めやすい場所に、いわば誘い出された形になる。

「そのため防衛の方針として、事ある際には旧国境近くまで戦略的後退を行い、防衛陣を敷きます。

また、そのための防衛陣地を新たに構築します」

「それはそれで、口惜しい話ではありますな」

「新領地をお任せするクライツ子爵のお言葉は、もっともな話です。

そのため、先ずは時を稼ぐこと、これを第一の目標とし、アイギスの防壁のように、時間を掛けてこの防衛陣地を広げていくことが公王のご存念です。

因みにクライツ子爵には、敵の飛び地を牽制していただくこの位置に、配置させていただくことを検討しております」

そう、新領地で唯一、自領の経営に専念できるのはファルムス伯爵領を受け継ぐ、クライツ子爵だけだ。

団長、アレクシスには、それぞれ公国内での役割がある。ソリス、ゴーマン両侯爵も今は旧領側に重きを置いてもらう必要がある。

「以上の理由で、新領地については、現状では大まかな配置を暫定で決めるだけとします。

現在、各地に人を遣って地域の実情を調査しています。クライツ子爵以外の所領は、もう少しお待ちいただきたい」

「承知しました。では我らが新領地への入植を含め、開発を開始するのは……、まだ先になりそうですな? ただ、帝国の手前、暫く放置する訳にもいきますまい」

父の指摘も正しい。

「そこで皆さん、先ほどの分配資金の話に戻るが、ここで一人諸将に紹介したい人物がいます。

新たにウエストライツ魔境公国の内務卿に就任した者を紹介します。

レイモンド・エスティア男爵!」

諸将が居並ぶ席から外れ、壁際にそっと置かれた椅子に座っていた、ひとりの男が起立した。

「初めてお目に掛かる方も多いと存じますので、改めてご挨拶させていただきます。

以前まで、ソリス侯爵家にて家宰の任を務めておりました、エスティア・レイモンドと申します。

この度、公王陛下のお引き立てにより、新領地の開発、内政を担う内務卿を拝命いたしました。

どうぞよろしくお願いいたします」

そう、新領地経営に当たって、俺の切り札がレイモンドだ。

本来なら、この職にミザリーを充てることも考えていた。だが、カイル王国側の領地だけでも、旧コーネル子爵領、旧キリアス子爵領、旧ハストブルグ辺境伯領の大部分が、俺の領地に追加される。

正直、そちらだけでも手一杯になるはずだ。

まして、彼女もいずれは身ごもり、子供を育てることにもなるだろう。妊娠中や育児の最中に、この激務は到底無理だ。

そしてもう一つの理由、ひとたび国としての体面を持つ以上、国家の主要職が国王の夫人で独占されている状況は、好ましくない前例となる。

次代の国王の妻たちが、彼女たちのように優秀とは限らないからだ。

妻という立場だけで国政に参加させると、政は崩壊する。

そう考えた俺は、論功行賞の少し前から一計を案じていた。

エスティア・レイモンド騎士爵を、ソリス伯爵(当時の父)から勲功の申請をさせて、魔境伯及びソリス子爵(当時の兄)から推薦を出していた。

まぁ彼を出すことに、父はちょと渋ったが……

『レイモンドの器は正に王佐の才です。タクヒール、彼を引き立ててくれてありがとう。

こちらはこの四年で内政も安定し、彼の育てた文官たちも居ます。彼の夢を、叶えてあげたいわ』

この母の一撃で父は沈黙した。

「私が公王陛下に提案させていただいたのは、大きく二つです。

先ずは皆様に於かれましては、今回の論功行賞や本日の会議で得られた資金は、新領土以外の開発に注いでいただきたく思います。新領土はいつでも切り離せるぐらいに」

「だが……、それでは後日、新領土の開発に手が回らなくなるぞ?」

「ええ、ソリス侯爵のお話通り、そうなるでしょう。いや、それで構いません。

本格的に皆様が新領土の開発に着手される際に、足らなくなった資金は、融資という形で貸付けます。

この融資の為の、公庫を新たに設けたく思っています」

「その場合、融資を受ければ利息を払う必要もあるのではないか?」

「仰る通りです。ですが皆様は、利息を受け取れる立場にもなれるのです。

この公庫は主に、公王が今回得られた報奨金の一部を使い設立しますが、皆様を始め、魔境公国の民であれば誰でも出資可能です。そして、出資額と利回りに応じた利息を毎年受け取れます」

そう、これが俺とレイモンドが頭を突き合わせて考えた、新しい金融システムだ。

預金こそできないが、投資と融資が行える銀行のような組織、魔境公国がバックに付いている投資会社を立ち上げる。

俺自身、テイグーン開発の初期段階は、プランはあっても資金がなく、資金繰りに悩みながら、綱渡りを続けていた。だが、もしそういった組織があれば……、そう考えたこともあった。

幸い俺は、当時のハストブルグ辺境伯、カイル国王からの資金援助があったため、開発に邁進できたのだが、これはあくまでも偶然の産物だ。

「今回の戦役で、公王陛下の得られた資金は王国金貨に換算して総額206万2千枚です。

ここから今回の戦費、従軍した者への臨時褒賞、移住者への支援金などを除くと、約160万枚となります。このうち100万枚を、この公庫の設立資金といたします」

「ふむ……、その利回りとやら、想定ではどれぐらいデアルか?」

「はい、これもどれだけの資金が投資されるか、案件ごとに利子をどう設定するかで変動しますが、平均して一年で五分程度は見込んでおります。金貨五万枚の投資なら、10年で二万五千枚を想定しています。

何より大事なのは、帝国との条約により金貨100万枚相当の開発投資が、予め決まっていることです」

「はははっ、我らは予めこの公庫に出資することで、将来支払うべき利息も、利回りで十分に相殺されるということか! 面白い話でデアルな。儂は取り急ぎ先程分配のあった身代金、金貨5万枚を出資したいと思う」

「あの……、私は今回、戦略上カイル王国に属する立場となっていますが……、参加できますか?」

「コーネル伯爵家は、所属は変わりますが、同じくハストブルグ辺境伯の旗下で共に戦った家です。

例外としても問題ないとの内諾を、公王陛下よりいただいております」

「あの……、多分ダレクさまも、参加したいと仰ると思うのですが……」

きっとそうだろうな。兄さんは新しいものや物珍しいものには目がない。

『何で俺には話してくれないんだよ』

目を輝かせてそう言って来るに違いなかった。

「はい、そちらも想定しております。それはハストブルグ辺境公旗下となられた、ヘラルド子爵も同様ですので、両子爵にはその旨を、ヘラルド子爵にもお伝えいただけると幸いです」

「だが、これでは公王に利はあるのでしょうか? 我らが言うのもおかしな話ですが、いささか大盤振る舞いが過ぎるような感を受けますが」

「ははっ、コーネル伯爵のご指摘はもっともなお話です。

正直言います。この仕組みだけでは私に実利はありません。正直言って初年度は『行ってこい』、右から左もしくはマイナスです。数年間は恐らくそうでしょう。

ですが利はありますよ。魔境公国に属する貴族、民たちが富めば、それは国としての利益になって大きく返って来ます。はっきり言って私は狡いですよ。その分皆さんには領地を豊かにするよう、しっかり働いていただこうと考えている訳ですから」

「わははは、デアルな。ここまで段取りを整えていただいた我らは、期待に応えて働かねばならんわ。魔境公国、公王を支える一柱たらんために。各々方もよろしいな?」

「応っ!」

ゴーマン侯爵の問いかけに、会議室の全員が賛成の意を告げる、大きな声が響き渡った。

この日生まれた、投資銀行という概念は、後にウエストライツ魔境公国、特に元魔境伯領では、数多くの領民たちが参加することになる。

何故なら、彼らも十分過ぎる戦功褒賞を得ていたからだ。

彼らは皆、臨時報酬を投資に回し、更なる収益の確保だけでなく、新しい国に貢献することを自負として、こぞって参加し始めた。

かくして、かつて帝国領であった新領地の開発には、最終的に150万枚もの資金が用意されることになった。そしてこの資金が回転すれば、多くの人たちが恩恵を受けることになる。

これで俺は、内政面で足元を固めるミザリー、新領地を固めるレイモンドと、ジークハルトに対抗すべき龍虎を手に入れたことになる。

この先起こる、人と人が殺しあう戦争ではなく、経済という場での戦いを勝ち抜くための、軍師と潤沢な資金、各領主の協力を取り付けたことになった。

◆収支

論功行賞         金貨1,640,000枚

フェアラート公国遠征褒賞 金貨 160,000枚

捕虜返還分配(帝国)   金貨 260,000枚

捕虜返還分配(皇王国)  金貨  50,000枚

辺境騎士団設立費     金貨 100,000枚

遠征褒賞(第三軍、他配分)金貨▲ 48,000枚

戦後褒賞(臨時賞与)   金貨▲380,000枚

その他戦費等       金貨▲ 82,000枚

戦死者見舞金(王国負担) 金貨    0枚

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金貨1,700,000枚

◆戦後褒賞(臨時賞与)

西部遠征派遣軍      金貨38枚*2,000人

従軍兵士(武装自警団含む)金貨30枚*3,800人

移住者支援(帝国・皇王国)金貨15枚*10,000人

魔境伯領民/一戸当たり  金貨 5枚*8,000戸

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金貨 380,000枚

◆建国資金

総予算          金貨1,600,000枚

うち独自予算      金貨 600,000枚

うち投資銀行預入額   金貨1,000,000枚

辺境騎士団設立費     金貨 100,000枚

追加公募投資       金貨 500,000枚

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金貨2,200,000枚

+α裏資金(闇の氏族分配)金貨 320,000枚

いつもご覧いただきありがとうございます。

次回は『新都市建設計画』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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