Switch Mode
Now you can use the translation tool for free for the first 200 chapters of each novel.

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 326

Please login or register to translate this post.

新年の宴と、翌日に催された会議が終わったのち、俺は直属の仲間たちを集め、この先の課題に対応するための会議を招集した。

集まったのは、元々魔境伯領において各種役職に任じられていた武官・文官たちと、騎士爵以上の役職に任じられている魔法士たち、総勢で50名にも及ぶ人数だった。

「各位には昨年末より、情報収集及び各種計画の策定、現地調査などで、多忙を極めた年末年始となったこと思う。だが、この春から我々は正式に敵地へ乗り込むことが決まっており、時間的な猶予はない。

毎度のことで大変申し訳なかったが、いよいよこれから、皆の行ってくれた準備を実施段階に移したい」

冒頭にそう言って皆を見渡した。

誰もが『何時もの事ですよ』そんな感じで平然としていた。

ですよね……、いつもの如くブラック労働で申し訳ない……

「個別には既に伝えていると思うが、大前提としてひとつ。

新領土と、カイル王国側の領土については、内政を切り離す。こちらはテイグーンを起点として、この先も我々を支える産業、農業・工業・鉱山開発、そして商業を盛り立てていく予定だ。

片や帝国側の領地については、当面の間は農業と畜産、そして防衛拠点の構築を中心に進めていく」

そう、俺にとって頭の痛い問題は、一気に領地が広大になり過ぎたことだ。

人口で言えば魔境伯領は、開戦直前で20,000名を切る状態だったのが、今や帝国側の新領地を除いても、旧ハストブルグ辺境伯領、旧キリアス子爵領、旧コーネル子爵領を足して90,000名近くにもなっている。

コーネル伯爵領に分割されたブルグの街など、旧辺境伯領の北部主要地域一帯を除いてもこの数字だ。

そしてここで問題になるのが、皇王国兵と帝国兵の移住者(捕虜)たちだった。

今の時点で、全員が兵士になるとは限らないが、現状で合計10,000名、彼らに従い移住してくる予定の者を含めれば、合計で20,000~30,000名となる。

こうなれば人口は軽く100,000人を超え、最大で約120,000にもなっていく。

しかもこの数字に、帝国側の領地の人口は含まれていない。

これらの土地の運用、人口と兵の管理が当面の大きな課題だ。

「旧王国領については、残留してくれた官吏、旧魔境伯領の官吏などを中心に、指揮系統を統合してミザリーに任せたい。行けそうか?」

「そうですね。元辺境伯領や元両子爵領は、以前から統治の枠組みがきちんとされているため、恐らくですが大きな混乱はないと思います。むしろ課題は、我々中枢部の処理能力と効率の向上にあると思います」

「必要に応じた行政府の増員と、統括官の登用は権限を一任するので、任せて大丈夫かな?」

「はい、タクヒールさまは、それよりも大きな懸念、どうかそちらに専念してください」

「ではレイモンド内務卿、新領土に関して状況の報告を」

「はっ、新領土については昨年より4つの観点で調査を進めてまいりました。

マスルールを中心とした部隊は、捕虜を含めた現地の帝国人の動向を。

ラファールを中心とした部隊は、現地の治安から帝国側の諜報網について。

バルトとカウルの偽装商人隊は、現地での物流と価格、今後の商取引の可能性に関する調査を。

エランとメアリー、サラたちは、我らの新拠点となる候補地と地勢の調査を。

先ずはそれぞれに発表をお願いします」

「では、現地の動向について報告します。

先ずは新たに編入される帝国領ですが、人口は帝国側からの報告を待つ形になりますが、凡そ20万から30万と推察されます。

民意については特に、旧ゴート辺境伯領が、両極端と言えるでしょう。

兵士として家族を送り出していた者たちは、未だに我らに強い敵愾心を抱いております。ですが、一般の領民については、圧政を敷いていた第一皇子側の陣営に対する反感も根強いようで、彼らを破った我らには好意的な部分もあります」

「マスルールさん、それ以外の土地ではどうですか?」

「特に強い敵愾心はないように思われますが、調査に当たった我ら自身が元帝国の人間だから、そういった理由も否めません。目玉の施策が伴うまでは緩やかな統治、我らの陣営に鞍替えした帝国人を前面に出し、体裁上は間接統治の形態を取ることが無難でしょう」

「では、こちらに鞍替えした帝国人たちはどうですか?」

「そうですね。以前より移住し、今回も従軍した兵たちや、帝国移住者連絡会に所属している者たちなら心配はございません。今回降伏した兵たちも、旧帝国領内の土地なら、王国側に住まうより安心して家族を呼び寄せるでしょう。我らも、基本的にその線で転向を促して参りましたので」

「信の置けそうな者はどうですか?」

「自らの意思で投降した鉄騎兵を中心とした、500名ほどが、信用に値する者たちと考えております。

爵位がなくても、元々それなりに騎士としての身分と矜持もあり、彼らを中核に据えて兵たちを統率させるのが、最善と考えています。

あと残留を希望する歩兵たちの多くは、エロール卿に救護された負傷兵たちですが、我々に恩義を感じている者も多く、ここも大丈夫かと」

「タクヒールさま、これは採るべき意見と思われます。如何でしょう、屯田兵から6名、その500名から6名の合計12名を新たに騎士爵に任じ、残余の者にもそれぞれ小隊や中隊を率いらせる形で新たに任じ、取りまとめさせるのが、よろしいかと思われます」

「そうだね、内務卿の意見を是とする。マスルールを責任者とし、帝国移住者連絡会には、それぞれの人選を任せたいと思う。頼めるかな?

同様に皇王国兵に関しても、グレンを中心に新たに参じた4,000名の指揮官クラスを任命して欲しい。

こちらは古参兵で何人かの騎士爵もいるし、上限を10名として彼らを中心に取りまとめれば良いだろう」

「はっ!」

「承知いたしました」

「では次にラファール、報告をお願いします」

「そうですね。治安に関してはここ数年、ケンプファー子爵が手綱をしっかり握っていたせいか、落ち着いていますね。逆に言えば、各土地の有力者はあちら側に取り込まれている。

そう考えるのが妥当でしょう。領民全体が間諜、極端に言えばそう考えて掛かる必要があると思います」

「だよね……、やりにくいよなぁ」

「タクヒールさま、我々も割り切る必要があると思われます。当面は冒頭でタクヒールさまが仰ったとおり、当面の間は農業と畜産、そして防衛拠点の構築にのみ専念すればよろしいかと。

因みにバルト、交易面ではどうですか?」

「商人たちも同様ですね。彼らも完全に向こう側です。ただ、商売に関しては純粋に利益を追求して応じてくるでしょうが、帝国側の意を受け、こちらが許容できるぎりぎりの範囲まで、値を釣り上げてくる可能性はあるでしょうね。常識的に考えれば、どう見ても帝国からの調達のほうが、価格は太刀打ちできませんから」

「ふふふっ、常識的に考えれば、ということだよね」

もちろん、俺とバルトには常識は通用しない。

それが分かっているから、俺たちは言葉に含みを持たせていた。

「ではバルト、彼らからの調達にはアレを試してみようか、最悪、此方は自前のルートで行く覚悟で」

「承知いたしました」

「それではこの懸念はタクヒールさまとバルトにお任せするとして、最後の課題、防衛拠点の建設についてエランからお願いします」

「はい。防衛拠点については、3つの前提で調査しました。

第一に、国境をカバーできる位置とすること。

第二に、十分な水の手が確保できる場所とすること。

最後に、広大な土地を確保できることです」

そう、当面の間は、有事の際には帝国側の領土の一部を残し、俺たちは撤退して王国側の領土に戻る。

その際に、各方面の撤退を支援し、最後まで帝国側へ牽制できるよう、突き出された匕首、これが新しい防衛拠点の意図するところだ。

ひとつ、長期間戦線を支える強固な防衛拠点にすること

ひとつ、防衛拠点内に、ある程度の生産能力を有すること

ひとつ、2万名の兵力と同数の領民を受け入れ可能な規模とすること

この三点を事前に命題として、エラン、メアリー、サシャには与えていた。

エランは会議室に大きく描かれた帝国側の地図を広げ、説明を続けた。

「帝国側の最前線は、ゴールトの街です。ここは国境から騎馬なら街道を抜け1日の距離です。

この街は、我らの新領土に突き出した、帝国側の匕首です。これに対抗する位置、国境から南西に20キル進んだ位置に城塞都市を建設し、それを起点に半円状に堤を構築し国境地帯を封鎖します」

エランはそう言うと、地図に重なるように、もう一枚の紙を貼った。

そこには、国境に連なってそびえる大山脈に端を発し、大きく蛇行しつつ流れる川が幾本も描かれており、西から東に延びる一際大きな川に合流していた。

そして、その大きな川の流域を境界線とし、その内側に半円が描かれていた。

「御覧の通り、王国領から帝国側に出た国境近辺は、不毛の草原地帯が広がっており、その殆どが空き地か、広大な牧草地です。何故なら、水の手がないからです。

ですが、僕が囲った半円内には、大小幾つかの川が存在し、それらは全て、この外縁の川へと合流しています。これらを活用し、高低差や、揚水水車を活用して半円内全体に大規模な灌漑用水路を構築します」

「なるほど! 面白いですね。不毛の地や牧草地であれば、元々の住民の数も少ない。なので、立ち退きなどでの軋轢も極力抑えることができるという訳ですね?」

「はい、レイモンドさまの仰る通り、帝国側にしてみれば、わざわざこの様な最辺境の地を開拓する価値もなかったでしょう。まして、これだけ大規模な灌漑用水網の建設ともなれば、莫大な時間を要します。

普通であれば……」

「確かに、普通であれば、ですね」

レイモンドの言葉に、居合わせた全員が笑っていた。

そう、俺たちは普通ではない。地魔法士と水魔法士、そして万単位の人足(作業従事者)がいれば、数十年かかるであろう大事業も、僅か数年で可能だろう。

半径20キルの半円状の耕作地……

(20㎞×20km×π)/2=628㎢

テイグーン一帯では一戸あたりの耕作地の広さは、休耕地を含めて4ha、そうすると……

単純に換算すると、15,700戸分か。

もちろん、単なる数字遊びにしかならないが……

それなりの農地を生み出すことが可能だろう。

「なるほど……、タクヒールさま、長期的に見て強固な生産拠点を構築することは、可能と思われます。

あとは、その頂点に置く防衛拠点の建設ですが、エランにはその点も考えがありますか?」

「はい、こちらについては、メアリーとサシャの意見も取り入れ、国境から真南には少し外れるのですが、少し西側には半円の外延部に流れる、川にせりだした台地があります。

この台地の上なら十分な広さもあり、ここに城塞都市を建設することを提案します」

「みんな、エランたちは王都で専門の教育を受け、学んだ専門家だ。

俺はその目を信じ、イシュタル防衛戦でその成果を遺憾なく発揮した、創意工夫を信じることにしたい。

基本方針はそれで良いと思う」

「では、タクヒールさまの仰せの通りに。

因みに、新しい都市の名は……、いかがされますか?」

「うん、名前は『クサナギ』としたい。

これは遠い異国の伝説で、長年に渡り人々を苦しめて来た大蛇を英傑が討った際、その尾から出てきた神剣の名だ。

そして、その地域の名に因み、この半円内の開拓地を『イズモ』と呼ぼうと思う」

「ほう、我々(カイル王国)を長年苦しめてきた大蛇(帝国)を討った英傑が、その尾(帝国領)から取り出した、難敵(第三皇子陣営)を薙ぎ払う神剣(不落の防衛拠点)という訳ですな。

素晴らしい、実に素晴らしい名前だと思います」

「オレハ、エイケツナンテ、スゴイヒトデハ……、アリマセンヨ……」

こうして、新しい城塞都市であるクサナギと、国境一帯の開発地区イズモの開発計画は、端緒に乗った。

だが、実際に動き出せるのは、第一皇子の身柄を返還し、俺たちが帝国から領土の割譲を受けた後になるだろう。

「みんな、それまでにやることはまだ沢山残されている。

先ずは、それまでにテイグーン一帯の再開発と、流通網の整備、特にあの工事は最優先で進めてほしい。

そして、春になれば一気に新領土の開発だ。返還する捕虜も含めて、労働力は十分に活用しないとね」

「応っ!」

俺たちはここから一気に動き出した。

新しい未来を切り拓いていくために。

いつもご覧いただきありがとうございます。

次回は『交渉のカード』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

Comment

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

Options

not work with dark mode
Reset