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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 327

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年が明けて、行事もひと段落したころ、俺は魔境騎士団を率いてサザンゲート要塞方面に遠征していた。

同行しているのは、ヨルティア、ヴァイス騎士団長、クライツ子爵、ボールド子爵、エラン、メアリー、サシャ、バルトと、魔境騎士団のうち1,000騎だ。

アイギスを出て魔境を抜けた進軍は、演習を兼ねた行動だったが、目的は別に2つあった。

魔境を抜け、サザンゲート要塞を越えた先、大山脈の切れ目である国境まで進んだ俺たちは、そこで一度行軍を止め、小休止を取った。

「団長、どうかな? このルートを通れば、国境まで格段に早くなる。これがこの先、俺たちの切り札になると思うんだけど」

「そうですね。一直線に進めば、こんなに早く辿り着けるとは……、ですが、これは諸刃の剣とも言えますね。他にも幾つか課題もあるようですが……」

「うん、その辺りはエランに任せようと思う。団長も気付いたことが有れば、エランに伝えてあげてほしい」

「承知しました。そして、その策こそ、これからの大芝居に繋がるのですね?」

「まぁ期間限定ですが、国内外の耳目を此方に惹きつけることができれば……、どうだ? エラン」

「そうですね。もう一方の崖も見る必要がありますが、石材などは工夫すれば現地調達できそうですね。

ただ、あちら側までほぼ2キル、その長さが難点ですが……、取り敢えずの暫定なら行けます」

「それは凄い! 因みに、暫定ってどんなレベルだい?」

「最低戦力なら、大部分は土壁の壁一枚になります。石で囲えるのは門周りのみかと。

後、厚みも関門と同程度となり、高さも足りません。工事も継続する必要がありますが、それでも隠蔽と封鎖、2つの目的は達成できると思います」

「それだけ出来れば十分だけど、少し派手にいけると思う。戦力はそれなりに回す予定だし」

「そうですか、では……、少し距離は伸びますが、向こう側の蓋を優先して作り、その後で内側を作り込みましょう。そうすれば、何かと都合が良いかもしれません」

「その辺りはエランに任せるよ。

サシャ、メアリー、ここの難点は水場だ。そのため、両陣営とも砦や関門を、本当の国境に築くことができなかった。ハストブルグ辺境伯ですら、渋々少し内側の今の位置に要塞を築くしかなかったからね。

なんとかそこだけは、確保できるよう探って見てほしい」

そう、今のサザンゲート要塞は国境線より2キルほどカイル王国側にある。

何故か? それには理由が二つあった。

一つ目は、ここに全く水場がないからだ。

やむを得ず、井戸が発見できた後方にサザンゲート要塞を建設せざるを得なかった。

二つ目は、無用に帝国側を刺激してしまうからだ。

互いに国境を挟んで睨みあっている前で、おちおち工事なんてできるはずがなかった。

帝国もみすみす黙って指を加えて見ている筈もなく、万が一建設中に襲撃されたら一巻の終わりだ。

そのため辺境伯も、その前段階である井戸の試掘すらままならなかった。

一つ目に関し、雨水を集めたり他の場所から輸送して対応することもできるが、それでは支える人数にも限りがある。下手をすると万単位の軍勢が駐屯するのに、それでは厳しい。

ただ、二つ目に関しては、今となっては問題ではなくなった。

「今回は、大義名分のもと、帝国側からも事前に了解を得ていますからね」

「ここの国境が国境で無くなった日から、通過し放題になっちゃいますもんね。人も……、魔物も……」

エランの言葉に、サシャも応じた。

「そうですね。両陣営で駐屯していた国境警備部隊も、第一皇子の返還と領土の割譲が済めば、帝国側は関所を廃し、兵も引いてしまいますからね。我らとて、この先は常時、この地を完全に抑えるとなると、常時千名単位の兵を警備に張り付かせねばなりません。だからこそ、関門建設の大義名分ですな」

そう、サシャの言っていた懸念を回避するため、団長のいった言い訳が成り立つ。

これがエランの言う、大義名分だった。

「それで、だ。今回は関門の建設にあたり、ひとつ解決しておきたい疑問があるんだ。そのためにクライツ子爵、ボールド子爵、二人には少し意見を聞きたいと思ってここ迄来てもらったんだよね」

俺から突然バトンを振られた二人は、少し不思議に思った顔になっていた。

「サザンゲートの要塞戦では、帝国軍のバリスタは初弾から有効弾が出ていたのは本当かな?」

「はい、その数は決して多いとは言えませんが……、ただ、風魔法士の誘導がないなか、百近いバリスタの一斉攻撃でも、正直言って初弾から有効弾が出るとは思ってもいませんでした」

「だよね。これはアイギスでも同じだ。数打てばもちろん当たる。でも、そんな簡単なもんじゃない」

そう、熟練の弓箭兵たちならまだしも、大型のバリスタによる初撃で、100基による確率的な分布であっても、そうそう狙った位置には当たらないだろう。

なのに帝国軍は確率こそ低いが、初弾から当ててきている。アイギス戦でもそうだった。

このカラクリに俺は頭を悩ましていた。

「公王の仰る通りです」

「何か気になったことはあったかい? サザンゲート平原は遮る木々もなく、敵軍の動向はつぶさに観測できたと思う。何でも思い当たることがあれば何でも言って欲しい」

「あの……」

これまで黙っていたボールド子爵が、自信なさげに口を開いた。

「全く関係ないかもしれませんが、戦いの前に不審な者たちが確認されています。

一つ目は、まだ戦いが始まるかなり前ですが、商人の一行が防壁の前に立って、各所で三角の模型を覗き込んでいたと……。衛兵が調べたところ、移動のために日没までの時間を確認していたと申しており、怪しい点は無かったのですが……」

「……、三角形? まさか……、な。いや、先に二つ目以降があれば話してほしい」

「はい、二つ目は、バリスタの攻撃が始まる前、何やら長い紐を結わえた棒を持った兵が、最前列で動いておりました。我らも200メルにて一斉攻撃と指示されておりましたので、手を出しませんでしたが……」

三角形……、そして紐に棒……

これの意味するところは、ひとつの推測に帰結する。

「数学か……。してやられたな……」

俺は思わず呟いた。

思い返してみると、アイギス攻防戦で鹵獲した帝国軍のバリスタも、射角が固定されていた。いや、正しくは予め照準がセットされていた。

帝国軍は周到に攻略の準備を進めていた……、そう言うことではないのか?

彼らは……

『予め秘匿されているはずの城壁の高さを知っていた!』

この世界でも高さを測る方法は幾らでもある。

三角関数の知識があるのかはわからないが、無くても縮図を使った方法や、予め45度の両辺を持つ直角二等辺三角形の道具を使えば……、測定できる!

『距離を測定する術を知っていた!』

三角測量、または、予め一定距離を測るための測定棒などを使用していたのか?

ある程度正確な距離を測定し、そこに合わせてバリスタを展開していたとしたら……

高さと距離、これが事前に分かれば、戦の前に射程を調整し、狙いを固定したバリスタを用意できる。

予め似た状況を作り、そこで訓練や調整を行なっていたとしたらどうだ?

戦場では、正しい距離で水平に設置し、照準器などで目標を合わせて運用すれば、かなり正確な射撃ができるのではないか?

100台の一斉発射なら、確率的に有効弾も出やすい。

「俺はこの世界の知恵、戦いに勝つための知恵、生き残るための知恵を……、甘く見ていたということか」

そう呟くと、自嘲せずにはいられなかった。

「タクヒールさま?」

ヨルティアの言葉で俺は我に返った。

ならば、此方もその想定で動くしかない。

「エラン、今後前線となる場所に防壁を構築するときは、分からないよう、高さに変化をもたせてほしい。例えば中央部は高さ30メル、両端に行くほど低くなり最後は20メルとか、各所でランダムに高さを変えるとかって、できるか?」

「……、はい、大丈夫です」

「ここの関門ではまずそれを試す。本番はクサナギの防壁だ。

そしてまずは、帝国側の壁から工事を進めてほしい。先ずは土壁を、少し帝国側に飛び出した形で。

俺から帝国側には事前に話を付けておく。

防壁の内側、本来の国境だった最も狭い位置、ここで内側にせり出した岩山を、石材として確保するんだ。

できるか?」

「はい、問題ありません」

「この工事は、王都に願い出て招集する、地魔法士の三分の一を割り当てる。そして旧辺境伯領、旧キリアス子爵領からも大々的に人足を集める。

今は農閑期だから集まるだろう。メアリーと二人で派手にやって構わない」

「それでは? 本格的に?」

「帝国側は蓋としてそれなりに行う。

サシャが水の手を発見できれば、王国側にももう一本防壁を通し、第二段階で要塞化工事に入る。

ただこれは、夏以降になると思うけど」

「承知いたしました。帝国、王国の耳目を集めさせていただきます」

「本命となるあちらは、アストール、ライラ、マスルールを中心に進める。招集した地魔法士の残り三分の二を向こうに振り分けたい。団長、工事期間中、魔境騎士団は主に護衛を務めてもらいたいので、割り振りをお願いしたい」

「承知いたしました。タクヒールさま戦略、狐退治の第一歩ですね」

「ええ、交渉で有利になるカードを揃えること、そして万が一のことを考えても、あれは不可欠です。

ラファールは麾下の兵を率いて間諜対策を。もっとも、蓋ができれば向こう側は封鎖できるので、主にこちら側かな」

「了解しました」

こうして、帝国に対する策の第一弾、二つの大規模工事は、年が明けて早々に着工された。

一方を秘匿したまま……

いつもご覧いただきありがとうございます。

次回は『間話 禿鷹の旗 前編』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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