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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 328

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純白の生地に、黒く染め抜いた剣を握った鷹、今日もこの旗が風を受け、抜けるような青空のなかで雄々しくたなびいている。

俺は毎日、仕事前にこの旗を誇らしく見上げては、あの方に祈り感謝することを日課にしている。

この旗は、敢えて公王に願い授けていただいた、サラーム総督府を指し示す旗だ。

俺はこの旗を『禿鷹の旗』と呼び、後日サラームが禿鷹の商業都市と呼ばれる謂れとなったものである。

「元締め、今日も日課の参拝ですか? 精が出ますね」

「ああ、俺はこの旗こそ、俺たちにとって相応しい、最高の旗と思っている。

そして、こんな俺たちに機会を与えていただたお方を思い、日々感謝するのは当たり前だろうが。

それと……、まだ昔の癖が抜けないのか? 代理総督と呼べといつも言ってるだろうが」

「あ! そうでした。つい、昔の癖で……」

「そう言う警備会社の会頭が、なぜ朝からここにいる?」

あのお方の提案に基づき、俺は自身の組織を解体、再編して幾つかの『会社』というものを設立した。

そして、腕っ節と頭の回転、その二つを兼ね備えた側近のひとりを、俺は警備会社の会頭に任じていた。

「ははっ、代理総督殿と同じ思いでさぁ。ほら、他にも何人か来てますぜ」

そういうと、厳つい顔をした男たちが、ぞろぞろと旗を掲揚している広場に集まりつつあった。

奴らも俺がそれぞれ見込んで、何らかの役割を与えた者たちだった。

そう、俺たちはあのお方たち、そしてラファール殿のお陰で、新しい使命を得て、日の当たる表の世界に出る機会をいただいた。

それに感謝することと、新たな誓いを忘れないよう、俺たちの誇りとなるこの旗に、毎日参拝するのは当たり前のことだった。

俺はある日を境に、故あって当時の魔境伯に与することになった。

切っ掛けは、俺の崇拝する姐さん、ヨルティアさまとの、今思えば無礼極まりない出会いだったが……

あの時は本当に恐ろしかった。

全身の骨が軋み、まるで蛇に睨まれたカエルのように、俺は指一本動かすことができなかった。

敢えて俺たちの吹っ掛けた無理難題を受け、最初の約束を違えなかったヨルティアさまは、その後もハリムを通じて、俺たちに取引の機会をくれた。

俺は器の面でも姐さんに完敗したことを悟り、思いを新たにした。

今となっては、その機会をくれたハリムにも感謝している。

この国で勃発した内乱の際には、俺は多くの商人たちと、全く違う道を選んだ。

先ず大前提として、俺はこの国の貴族たちが大嫌いだ。

魔法士でない者を、人として見なさない様な奴らのやり口は、もともと気に入らなかった。

商売に勤しみ、まっとうに稼いだとしても、利益の殆どを税として奴らに持っていかれるだけだ。

そんなこの国の常識に不満を持っていたからこそ、奴らの手の及ばない裏の世界、そちらを牛耳ることに、俺は情熱を傾けてた。

偉そうにしている奴らから、阿漕な商売で金を巻き上げては溜飲を下げる、そんな金と欲に目が眩んだ毎日だった。

ところがある日、ハリムたちが面白い動きをしているとの情報を掴んだ。

外征の兆しと、サラームにも軍が集結しつつあるとき、奴らが何を考えているのか探るべく、街の一角にあるティア商会へと俺自ら足を運んだ。

そこで奴らは、何やら慌てた様子で密談していたようだったが……、その声は誰もいない店先まで丸聞こえだった。

『呆れた奴だ。密談ってのは、もっとこっそり、小声でやるものだろうが……』

そう思って、暫く店先で内容を聞いていた俺は、奴らの考えに驚かされた。

その時、まるで何かの啓示を受けたように、俺の心はある方向へと定まっていった。

もちろん強欲で浅ましい俺の根っこは、この時まだ何も変わっちゃいなかったが……

『大儲けの商機』

それも公国の商人共を出し抜けるほどの、でかいヤマだ。

『一世一代の博打』

賭け金はもちろん俺自身、破滅の可能性すらあるが、心は何故か躍った。

『溜飲を下げる機会』

それこそずっと気に入らなかった貴族どもに、一杯食わせてやる機会だ。

当初はこんな程度の動機にしか過ぎなかったと思う。

だが、ハリムたちと行動を共にして、俺の考えはある方向にどんどん変わっていった。

初めて訪れたテイグーンの豊かさと活気は、まるで別世界だった。

町はどこも清潔で、他の街なら必ずある貧民街や、犯罪者の巣窟となる裏町が一切なかった。

誰もが豊かで活気に満ちており、女子供たちすら笑顔で一生懸命働いている。

誰もが王国を、いや、魔境伯領を守ると言っては、使命に満ちた顔をしていた。

『こんな街、俺は見たことがない!』

俺は思わず呟いた。

魔境伯軍に同行する機会を得てからは、彼らの強さ、そして何より、俺たちが知らない新戦術には、驚かされるばかりだった。

ハリムと共に、行きがけの駄賃、いや、魔境伯の配慮だろうが、国境が封鎖されている間、俺たちは王国内で軍需物資の輸送という仕事をもらった。

そうして前線を行き来する傍ら、魔境伯が指揮する軍の強さを知り、改めて驚愕した。

『こんな軍、俺は見たことがない!』

唖然として、ただ驚くしかなかった。

あの公国が誇る、最強と名高い魔法兵団すら、いとも簡単に壊滅させたのだ!

俺は自分の選択が間違っていなかったことを、改めて再認識した。

そして、信頼できるに足る仲間と呼べる人との出会いもあった。

相手は貴族様だから、仲間と呼んでは無礼極まりない話かもしれないが、旦那は敢えてそうしろと言う。

俺たちと同じ目線で語らう旦那には、俺の中で貴族というものの常識がひっくり返った。

『こんなにも気持ちのいい男、俺は見たことがない!』

心から溢れた、素直な気持ちだった。

改めて、旦那のような面白い男を登用し、重用されてる魔境伯の度量の大きさに驚かされた。

一介の、しかもどちらかというと、弱小で新興勢力のティア商会にも、特に目を掛けてくれている。

その時ばかりは、ハリムが少し羨ましかった。

『このお方なら、俺も……』

そんな甘っちょろい夢を見てしまい、思わず自嘲したもんだ。

俺の勘は見事に当たり、魔境伯軍はまさに破竹の勢いで勝利し、公国軍を王国内から一掃した。

この傍ら、旦那が俺たちに与えてくれた任務で、奴らの物資を押収し、金儲けの機会にも恵まれた。

『ははは、ざまぁ見ろ!』

俺は敗走する奴らの背に、これまでの思いを込めて言い放っていた。

遂に俺たちは、あの偉そうな貴族たちに対して、留飲を下げることができた。

『これで俺の思いも晴れ、そして十分過ぎるほど金儲けもできた』

そう思っていた折、旦那から新たに諜報の任を受け、俺たちはサラームに戻っていった。

だがそこは……、そこは酷い有様だった。

敗残兵たちが流入し、奴らは街で横暴の限りを尽くしていた。

商人たちは商品を無理やり奪われ、女たちは各所で兵たちによって暗がりに引き込まれていた。

『俺たちの街を無茶苦茶にしやがって……、絶対に許さねぇ』

そう思って俺は、直ちに行動を開始した。

街の有力者と話を付け、魔境伯領にあった【自警団】というものを真似た、組織を作った。

もちろん団員の中心となったのは、俺の配下のゴロツキどもだ。

ただ、あんなゴロツキどもでも、俺と同じ気持ちだったのだろう。

店先で商人を庇い、兵士たちに袋叩きにされても、ただ黙って耐える奴もいた。

路地裏に引き摺り込まれた娘を助け、こっそり兵士たちを袋叩きにした奴もいた。

奴らも必死に、この街を守り続けてくれた。

俺は奴らを守るため、魔境伯に手紙を送った。

魔境伯は、それに対し直ちに応えてくれて、サラームに兵を派遣してくれた。

ここでも俺は、ラファールの旦那の智謀と、魔境伯軍の強さに驚かされた。

俺は指示された通り、作戦に協力しただけだったが、旦那たちの読みはことごとく当たっていた。

『かくも一方的な完全勝利』

ここまでとは予想だにしていなかった。

しかも、解放者である魔境伯は、街の住民に対し開口一番に詫びたのだ!

「この度はこの街を開放するため、また、フェアラート国王の援軍依頼に則って行動したこととはいえ、この街を戦禍に巻き込んでしまったこと、深くお詫びします。

街の修復に関し、こちらでもできる限り協力させていただきます。対価をお支払いするので、人足の手配をお願いできますか?」

『こんな貴族、他にいるだろうか?』

俺は知らない。いや見たことも聞いたこともねぇ!

しかも、兵たちの狼藉を厳しく取り締まり、解放者である兵たちは皆、街の復興に勤しむ俺たちに、進んで手を貸してくれた。

『こんな軍、見たことがない!』

これは俺の言葉ではない。街の皆が驚き、そして言った言葉だ。

俺にはもう、いつしかそれが当たり前のことになっていた。

「物資の調達や個人の買い物は、真っ当な対価で行いたいと思います。ただ、不慣れな俺たちに対し、この街の慣習である段階を踏んだ交渉だけは、どうか勘弁してほしいです」

この魔境伯の言葉に対して、俺たちは思わず笑ってしまった。

無理もねぇ、この街での買い物は、全て交渉ありきだ。露天商でさえ、最初は吹っ掛けた値段を話し、客を窺う。そのため、本当の売価に辿り着くには、それなりの手順が必要だ。

この話を聞いて、俺たちは直ちに動いた。

その場にいた街の有力者と共に、街全体の商売人たちに厳しく通達を出した。

『恩知らずの輩は商売人の風上にも置けねぇ』

そんな思いだったが、それは杞憂に終わった。

解放者であるだけでなく、一切の暴行を働かず、進んで街の復興を手伝う兵士たちに、街の住民たちは感謝の気持ちを目に見える形で示していた。

「兄さんがたは、解放軍の方かい? なら話は別だ。どうかこの料金にさせてくれないか?」

「ん? お代かい? そんなの気にしないでくれや。ありがとうな」

「お、兄さんたち、良かったら俺から一杯奢らせてくれよ」

そんな声が街の至る所で飛び交い、多くの商店は販売品を解放軍の兵たちに限り、自発的に原価以下の代金で商品を売るようになっていた。

そう、誰もがこの時に思っていた。

『どうかこの街を占領したままでいてほしい』

『どうせならこの街、魔境伯の治める領地になってくれれば……』

そんな思いは街の誰もが願う、共通の思いだった。

その後俺たちは、フェアリーに向かう魔境伯軍や首切り伯爵の兵站を任され、サリムと共に配下を集めて補給部隊として志願した。

そしてあの、フェアリーでの魔境伯軍の見事な勝利!

あまりのあっけなさに、もう言葉が出てこなかった。

驚き呆ける俺たちに、魔境伯はフェアリーでの交易品の買い付けを依頼してくださった。

それに応えるため、俺たちは全力で、いや、頑張り過ぎて運びきれないほどの商品を買い集めた。

余りの多さに、魔境伯を苦笑させるぐらいの量を……

そんな俺たちを見かねたのか、魔境伯はフェアリーからの船便に、俺たちと物資を同乗させてくれた。

しかも、労をねぎらうと言われ、道中の酒まで下賜してくれたのだ!

話の分かる御仁は、俺も大好きだ。

早速ハリムたちと酒盛りを始めたが、もちろんラファールの旦那も誘った。

だが途中から、旦那が妙にしおらしくなった。

『まさか船の揺れでもう酔ったのか? あの酒好きで強い旦那が?』

そんな疑問もあったが、途中で酒盛りに参加してきた『兄さん』が、なかなかイケる口だったこともあり、俺たちは気にせず盛り上がった。

だが、サラームに戻った時、俺たちは卒倒しそうになった。

あの『兄さん』が、実は国王陛下と知ったからだ。

俺たちはそんなことも露知らず、船では国王陛下と肩を組み、軽口をたたき続けていた……

「旦那、勘弁してくださいよ……」

俺は驚愕の余り言葉を失ったし、ハリムも、そう言うのが精いっぱいだった。

俺たちは皆、あの恐ろしい首切り伯爵に、首を切られてサラームに晒されるであろう未来を想像した。

もうお先真っ暗だ、絶望しそうな気分だった。

「昨日のことは陛下もいたくお喜びだった。お前たちと酒を酌み交わし、民の声が聞けた、とな」

その言葉で、ふと横を見ると、何と! あの首切り伯爵がいつの間にか隣に居た。

「あの場にいたのは、ただの酒好きで軍規破りの常習犯、問題児である近衛兵のひとり、そういうことだ。まさか近衛兵団の恥を公にもできまい。

なので何も無かった、ということになる。

お前たちもゆめゆめ、口外せぬようにな」

あの伯爵が、見たこともない照れた笑顔でそれを言ったとき、俺たちはただ無言で、だが凄い勢いで首を縦に振り続けた。

俺たちは生き返る思いだったのは言うまでもない。

その後『兄さん』は、サラームを発つとき、兄さんらしい粋な計らいをしてくれた。

なんと!

サラームの街を魔境伯に預け、飛び地として魔境伯領とする旨、フェアラート国王として布告されたのだ!

これに街の住民はこぞって大喜びし、街中が大歓声に包まれていた。

俺自身、ハリムと抱き合いながら、飛び上がって喜んだのは言うまでもない。

だが、これが俺たちにとって、まだ始まりに過ぎなかったこと、その時点では俺たちが知る由もなかった。

いつもご覧いただきありがとうございます。

今回は「いつか語られることになうだろう」のいつかを、間話として記載しました。

思うままに書き進めていたところ、一万字を超えてしまい……

止むを得ず前後編と二話に分割させていただきました。ご容赦いただければ幸いです。

次回は『後編 禿鷹の誓い』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

ここだけの話、個人的に好きな小説に敬意を表し、「ガイエ」の旗、サラームを「ガイエの都市」(※お察しください)としたかったのですが、色々問題もあると思いとどまり、他にもネットで調べると、実は「ガイエル」が正解だという記載もあったので、日本語を採用し、「禿鷹の旗」に落ち着かせました。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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