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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 329

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フェアラート公国はいつもの日常を取り戻し、カイル王国での戦後処理も落ちついたらしい、そう聞いていたある日のことだった。

俺とハリムたちは魔境伯のご依頼で、カイル王国の王都、カイラールまで来ていた。

その日は、王国内で論功行賞が行われた翌日らしく、王都はお祭り騒ぎだった。

俺とハリムの二人は、そんな喧騒を横に見ながら、カイラールにあるソリス伯爵(今は侯爵)の屋敷へと入った。

俺たちを応接室で迎えてくれたのは、論功行賞にてウエストライツ公王となられた、魔境伯さまと姐さん、ラファールの旦那、そしてどことなく魔境伯と容貌の似た、もう一人の若い貴族様だった。

「ザハーク、ハリム、久しぶりだね。

実は今日、別件で来てもらったんだけど、論功行賞で予想外のことが色々あって……

まずはそちらから、話を進めたいと思う」

「はい、ご無沙汰しております。私も、魔境伯軍の軍旗とともに、戦場を駆けた日々のこと、いまでも最大最高の栄誉として、サラームの住民一同とともに、感謝の気持ちを胸に刻んでおります」

「ご無沙汰して、大変失礼いたしました。

何なりとご用命、ご命令いただければ、我らティア商会は皆、喜んで対応させていただきます」

「うん、ありがとう。これからも是非よろしく頼むよ。で、早速だけど先ずは軽いほう、今回新しく発生した依頼から話を進めようか。

二人とも、フェアラート公国内でダブついている穀物を、安価で買い占めるって……、可能かな?」

俺は思わずハリムと顔を見合わせた。

驚きはしたが、ちょっと嬉しかった。

「いや……、実は私も、ハリムらと語らって、今回いただいた褒賞を元手に、公国中から穀物の買取を進めているところでして……」

「ほう、それは?」

この時初めて、私の見知らぬお方が会話に加わってきた。

「はい、此度の戦乱では私もこの国に滞在中、できる範囲で情報を集めさせていただきました。

まず、カイル王国は四方から攻め寄せられ、特に西側と北側では、収穫の大部分を侵略軍に徴発されたため、この先穀物類が不足すると考えました。

次に、王国各地にて、これまでにない規模の軍が防衛戦に動きました。

となれば、兵站として相当量の穀物が消費された、そう考えるのが順当だと思います」

「なるほど……、タクヒールの言っていた通り、なかなか優秀だな。すまん、続けてくれ」

「はい、片や公国は内乱が起こったとはいえ、戦禍に見舞われた地域は至って限定的です。

今年も多くの実りがもたらされましたが、今度はそれを税として受け取る側、多くの大貴族たちが所領と財貨を没収されて取り潰されました。そのため穀物類は行き場を失い、いや、正確には国王陛下のもと、フェアリーに集中しました」

「そして、フェアリーに急激に集まった税は、市場に流れ、ダブついていると?」

「仰る通りです。安価で買い占め、必要とされている場所にそれなりの値で販売する。

これを魔境伯さまの利益としていただければ、恩返しの一環になるだろう。

そう思うに至り、勝手ながら準備を進めておりました」

「はははっ、魔境伯の利益か。もう立派にタクヒールの家臣じゃないか。

であれば、俺の他の話も進めやすいだろうな」

「我らサラームの住民全てが、魔境伯さまに恩義を感じ、新たな領主様としてお迎えする準備に奔走しております」

「ん? ちょっと待って!

ザハーク、俺がサラームの領主って誰から聞いた?」

俺には、何故ここで魔境伯さまが慌てているのか、不思議でならなかった。

どういことだ?

「サラームの民なら誰もが知っております。

なんせ、クリューゲル陛下が去られる際、自ら布告を出され、その旨を告げられましたので……」

「ははは……、もう全部お膳立てが済んでるんじゃん。あれこれ考えていた俺って一体……」

魔境伯さまは自嘲しながら、頭を抱えられていた。

その横で、姐さんがくすくす笑っていた。

「なら全部一気に話すか。

その穀物を、隣接するカイル王国の西部辺境に新しく領主として入る、ハストブルグ辺境公、ここに同席している俺の兄に売ってくれないか?

もちろん正式な取引として、真っ当な収益は確保した上でね」

やはりそうだったか。

魔境伯の容貌に、少し優雅さと精悍さを加えた感じだが、ご兄弟なら似てて当然だ。

「よろしく頼む。

これからは隣同士になる訳だし、交易の面でも優遇するので、先ずは穀物を最優先で取引したい。

ハリム、期待しているよ」

そう言って笑いながら手を差し伸べてこられたお方に対し、俺は一瞬固まっていた。

公爵さまが俺に?

一介の平民に握手を求めるなど、俺の常識ではあり得ないことだった。

『さすがは魔境伯さまの兄君だ。ご兄弟揃って規格外でいらっしゃる』

そう思うと俺は慌てて、手を取った。

「はい、こちらこそ願ってもない機会です。これからもどうぞよろしくお願いいたします」

この出会いが、サラームの街が交易都市として、過去にない発展を遂げる、大きな要因の一つとなるものだった。

旧魔境伯領との直接交易、ハストブルグ辺境公領との間での取引、そして何より、魔境伯領に倣った各種制度改革が、サラームを全く新しい街に生まれ変わらせる原動力となった。

「それでだ、クリューゲル陛下に対し、『余った穀物類はサラームを通して今後も買い付けたい』、そう記した書簡を預けるので、フェアリーまで届けてほしい。まぁ二人は、陛下と一緒に酒を酌み交わした仲でもあるしね」

そう言われて、魔境伯は笑われた。

俺とハリムは、口外を禁じられ封印していた記憶が蘇り、背中に流れ落ちる冷たい汗を感じたのは言うまでもない。

「それと、今回の戦役に関して俺個人から、改めてお礼だけど……、先ずはザハーク!」

お礼? いや、それは既に貰っているが……

そう思いつつ、名前を呼ばれると、背筋が引き締まる思いだった。

「サラームの街の総督として、街の統治、治安維持や防衛などを担ってくれないか?

総督という名目上、ザハークには騎士爵を預けるから、統治に役立ててほしい」

「はい……、はいぃぃっ?」

この時ばかりは、俺も驚きのあまり思わず、変な声をあげてしまった。

この俺が役人に?

それ以上にサラームの総督って、そんなもの勤まる訳がねぇ。俺は、裏の世界の住人だ。その過去は変えようもない。

本来なら臣下となる、願ってもないお話だったが、余りに想像以上のことで、俺は固まってしまった。

「ザハーク、観念しろ。俺もお前の能力は高く買っているんだ。ヨルティアさまも強く推薦してくれた。

こんな俺でも、どう転んだか分からないが貴族様だし、きっとお前も務まるさ」

「いや……、ラファールの旦那。それとこれとは……」

「お前らは散々俺のことを、貴族らしくねぇと酒の肴にしてきたんだ。今度は……、お前も俺の仲間入りさ」

旦那はそう言うと、嬉しそうに笑っている。

いやいや、そんなもの……、俺に務まる訳がねぇ!

「ザハーク、俺もお前のことを高く買っている。

今回の穀物のこともそうだし、商業都市として発展させるには、商売で鼻の利く男が上に立つことが大事だ。それに……、俺達には公国内に信頼できる者が少ない。

なーに、統治には俺の妻が鍛え上げた文官を何人か送るし、幾つか策も授けるからさ」

最後に魔境伯さまの言葉を受け、俺はただ頷くしかなかった。

『本当に俺なんかで……、いいんですかい?』

「あとハリム!

今回の戦役における諸々の活躍、それに対する個人的なお礼として、テイグーンを始めイシュタル、アイギス、ガイア、ディモスの五箇所に、ティア商会の支店をこちらで用意する。販売拠点として店舗ごと受け取ってほしい」

「そ……、そんな、いいんですかい?」

ハリムも望外な褒美をもらい、その言葉を言うのが精いっぱいで、あとはただ茫然としていた。

これが俺たちの始まりだった。

俺は早速、サラームに戻ると、配下の者を含め街中のゴロツキたちを集めた。

「お前たち、よく聞け!

俺は今回、この街の恩人である魔境伯、今はウエストライツ公王陛下となられたお方より、この街の代理総督を承った」

総督の前に『代理』を付けてもらったのは、俺が敢えて願い出たことだ。

万が一俺が何かやらかしたり、不都合があっても代理なら、いつでもすげ替えることができるし、公王さまに責任が及ぶことへの言い訳もできる。

「この旗を見ろ! 俺たちの旗だ!

魔境伯軍の軍旗からいただいた、サラーム総督府を示す、禿鷹の旗だ。

公王さまに願い出て意匠を借り、敢えて禿鷹と呼ぶことの許可もいただいた」

その時は全員がまだきょとんとしていた。

だが、意味を知れば奴らの様子も変わるだろう。

俺はそう思っていた。

「いいか! 俺たちはこれまで、死肉を漁るハゲタカとして、日の当たらない場所を生きてきた。

誰彼構わず弱みを見せた者たちを食い物にし、強欲に利を貪る人間、組織としてな。

だが、そんな俺でも思うことがあった。

公王さまから受けた恩を、真っ当な形で返したい。

その為に明るい日の下で、胸を張って生きていきたい。

行き場のないお前らに、居場所を作ってやりたい。共に胸を張って生きていくための場所をな!

貧民街や犯罪者の吹き溜まりをなくし、誰もが虐げられることもない、笑って過ごせる街で、な」

これは以前から、俺がずっと密かに抱きつつ、汚れていった過程でいつか、かすれてしまった本当の思いだ。

だが、あの貴族どもやかつての領主、あんな奴らの下では、そんな気すら起こらなかったが……

「これは、俺たち自身が過去の罪を背負い、その上で恩人たる公王さまのご意思に応える誓いの旗だ。

俺と共に新しい未来を生きる意志と、覚悟のある者は皆、公王さまが拾ってくださる。

この旗を誇りに思い、背負っていくと誓える者のみ、ここに残れ!

無い者は……、直ちにサラームを去れ! 新しく生まれ変わるサラームには、そんな輩は不要だ」

こうは言ったが、俺はここに集められた大多数の者たちが、サラームに残ることを分かっていた。

俺と同じく、奴らも魔境伯やその軍と共に行動し、変わっていったことを知っている。

彼らは今や、街のゴロツキから、魔境伯軍と協力して街を救った英雄だからだ。

街の住民たちから称賛され、照れながらどう応じれば良いか分からず、嬉しそうに困っていた奴らの姿を、俺は幾度となく見ていた。

その中で一部、青い顔をして震えていたのは、根っからの犯罪者たちだけだ。

奴らの素性を良く知る俺たちが、今度は奴らを捕縛する側に回る。これは奴らにとって悪夢だろう。

これを踏まえて、俺は組織を解体し、新しく生まれ変わらせた。

これもみな、公王さまから直々に知恵を授けられた結果だ。

【警備会社】

腕っぷしだけの男たちでも、使い道は十分にある。

いくら自分の街だとは言っても、他国の兵が駐留すると、色々と問題もある。

・遠く離れたこの地に兵士を派遣する困難さ

・公国内で無用の軋轢を生まないこと

・公国側の貴族への配慮

これらを考慮し、魔境伯さまの提案で設立された警備会社は、衛兵と治安維持を担い、街の防衛を一任された組織として誕生したものだ。

今は内乱時に発足させた自警団を母体にして、200名前後の組織だが、今後順次増強を図り、500名規模を目指している。

【自警団】

内乱時に見よう見真似で設立した自警団も、その多くは警備会社に移ったが、改めて街の有志を基に再結成し、引き続き運用を行って常時500人規模を目指す予定だ。

ただ、これについてはあまり急いではいない。

建設中の射的場が稼働し、クロスボウが街に浸透してから、順次募集を行う段取りにしている。

そういった指導も、俺たちは派遣された文官たちから受けていた。

【ヒール商会】

情報に通じた者、目端の利く者はここに配属した。

ハリムのティア商会とは競合せず、対をなす存在となっている。

・ゆくゆくは公国内全土に支店を持つ商会とする

・サラームに流入する物資の受け皿とする

・主にハストブルグ辺境公さまとの交易を行う

俺たちはフェアラート公国側に根をはり、兄君との交易がメインとなるので、旧魔境伯領との交易、現地での店舗展開を行うハリムとは、いい感じで協力しあって補完し合う関係だ。

そしてもう一つ! 公国内での情報を吸い上げる諜報機関として、ヒール商会は裏の顔を持っている。

この商会名は、魔境伯さまに強く願い出て、お名前をいただいた。この響きは、俺たちにとってうってつけだとも思っているし、やっとこれで、ハリムたちに並べた気がする。

【その他】

酒場や娼館など、女たちが働く組織も、ヨルティア様の案をいただいて、根本的に変えた。

ただ彼女たちを、売り物にしていた組織から守る側の組織に。

面白いことに、俺たちの組織が変わると、サラームにあった阿漕な店では、人手(女)が確保できなくなり、そういった店は全て潰れていった。

そして、新しく赴任してきた文官たちの指導のもと、サラームにはこれまでになかった、孤児院、施療院、託児所を兼ねた学校、そして受付所や射的場などが、次々と設立されていった。

当初はみな不思議顔だったが、先ずはテイグーンで行われる『研修』というものに、女性を中心に構成した志願者を送り出した。

『ザハーク、研修を受けるにも移動は長距離で、かつ期間は数ヶ月に渡る。なのでできれば参加者は志願制にしてほしい。もちろん、研修期間中も俸給は出すからね』

そう言って魔境伯さまは、参加者が集まるか心配されていた。

でもそれは、全く杞憂だったのは言うまでもない。

街からはあまりにも多くの希望者が殺到し、逆に絞り込むのが大変なぐらいだった。

街の皆も、大恩あるお方の治める領地、それを一目見たいと思っていたのだろう。

暫くすると、予想外に大部隊となった一行が、交易に出るハリムに導かれて旅立って行った。

数ヶ月後、見違えるようになった彼女たちが、順次帰還して新たに運用が開始されると、街の様相が、そして、街に住まう者たちの目が、大きく変わり始めた。

今やサラームは、重税や圧政で領民たちが苦しめられることのない街、貧民街や犯罪組織、裏町の存在しない街、これまでのフェアラート公国にはない、様々な特色を備えた、新しい街として生まれ変わりつつある。

これらも全て、あのお方のお陰だ。

「おっと、代理総督への報告を忘れるところでした。

先ほど警備本部から速報が入ってました。

穀物等の受け取りと代金の支払い、そして街の視察を兼ねて、エロール子爵一行が今日の午後に来られると、先触れがありました」

「そうか……、いつも大量の発注をいただき、ありがたいことだな。

エロール卿は、公王さまの兄上、ダレクさまの右腕であるお方だ。ご案内ともてなしの準備は、万事整えてあるだろうな?」

「ええ、もちろんでさぁ。街の皆にも商売上の悪い慣習は行わないよう、重々言い含めていますよ。

もっとも、王国との交流も増え、新しい改革も進んでいる今、既に過去のものとなりつつありますがね。

ご要望があれば酒場でも娼館でも、いつでもご案内できるよう、受け入れの準備は整えております」

「ははは、完璧だな。

まぁ、最後の部分を所望されるのは、山賊顔の貴族様ぐらいだろうが……」

俺はその方の顔を思い浮かべた。

「しかし……

またいつか、あの方とも思いっきり酒を酌み交わし、心ゆくまで騒ぎたいものだなぁ。

俺はこんな大役をいただいているが、時折、彼方を行き来している、ハリムたちを羨ましく思うことがある」

そう言って俺は、再び後ろを仰ぎ見た。

そこには、蒼穹に風を受けた旗、黒き禿鷹が力強く羽ばたいていた。

サラームは、禿鷹が風に乗り空を高く舞い上がるが如く、この先も大きく発展していく。

いつもご覧いただきありがとうございます。

次回は『北の国』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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