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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 336

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旧国境に設けられた関門周辺の天幕では、帝国と王国との間で条約の締結がなされ、それぞれの担当者は実務作業に忙殺されていた。

この過程のひとつとして、第三皇子は、本人が『最も不愉快でできればしたくないこと』、そう言っていた対面を行わなければならなかった。

そして遂にその時が来た。

「グロリアスよ、此度は大きな失策であったな。

しかしこれも、其方が望んだ戦だ。信賞必罰は我ら武門に生きる者にとって当然のこと」

第三皇子は、大きな天幕に設けられた広間の、一段高いところから、第一皇子を見下ろして鷹揚に言った。

第一皇子は、その屈辱に耐えながら、青い顔で震えている。

「……、グラートよ。正式に皇位を継承するまでは、立場は対等のはずだ。

だが、今は敢えてこの恥辱を受け入れよう」

その様子を見て、グラートは冷笑した。

『ふん、対等なのは形式上だけの話であろう。

軍備や政治的にも、そして人望でも、もはや雲泥の差となっていること、こ奴は気付いておらぬのか?

相変わらず尊大な奴だな。少しは性根を入れ替えたかと、淡い期待した俺が愚かだったか?』

そう思ったが、勝者としての余裕、懐の広さを見せなければならない。

この場には、中立派や日和見を決め込んでいた者たちも列席しているのだから。

「其方もさぞ不自由な生活であったことだろう。同じく今日戻って参った彼らと同様にな。

これより帝都でゆっくり羽を伸ばし、傷付いた翼を癒し、戦没した兵たちの御霊を弔うがよかろう」

その言葉に応じ、虜囚となっていた第一皇子派の貴族、ハーリー公爵を始め11名の上位貴族たちが広間へと招き入れられた。

「先ずは我らが、無事に帝国に戻れるよう労をかけたことに関し、礼を言わねばならんだろう。

それなりに痛い代償を支払わされたようだがな。そしてお前たちも皆、この場で礼を述べるがよかろう」

そう言って、彼の後ろに並んだ彼の親派 (シンパ)たち、同様にカイル王国の虜囚となっていた者たちを促した。

グロリアス自身、虜囚となった間は、彼らと面会することすら叶わず、ただ息災でいると聞かされていただけであった。

「我らは帝国の名誉を損ないました。このように生き恥を晒し、帝国に多大な迷惑をお掛けしたこと、心よりお詫びいたします。そして、グラート殿下の温情に縋り、敢えて申し上げます。

どうか、再戦の機会を! 我らに、名誉を回復する機会を何卒!」

「やめよ! 見苦しいぞ!」

そう彼らを叱りつけて制したのは、グラートではなくグロリアスっだった。

そしてその様子をグラートは冷めた目で見ていた。

「我らは既に、再戦を望む武力も財力も失っておるわ!

グラート自身がこの度は所領を失い、我らは自身の所領を失っておらん。その意味が分からんのか!」

(もっとも、奴が失ったそれも、元々は我らの陣営に属する領地、実質奴は何も力を失っておらんが)

「はっ、ま、誠に失礼いたしました」

そう言って、全員が床に膝を付き、平伏して非礼を詫びた。

『見え透いているな……』

グラートはそう小さく呟いた。声にならないほどに。

彼には、事前にジークハルトから忠言されていたことがあった。

『万が一、グロリアス殿下が、ただ状況を理解せず、再戦と自身の失地回復を見苦しく叫ぶだけなら、逆に放置していても今後の障りにならないでしょう。そのこと自体がご自身を貶める形になりますし……、この先誰も支持しないでしょう』

奴自身にこのような振る舞いはなかった。

その臣下にはあったが……

『ですが、殊更卑屈に振舞ったり、分別を弁えたような振る舞いをした場合、これはこの先、形振り構わずあがき始める前兆です。まっとうな手段では敵わぬこと、それを理解した証と言えるでしょう。

かの御仁は、絶対に本心からそういった行動をされるお方ではないので……』

正に奴の今の行動が、正にそれではないか!

グロリアスはまだ帝位を諦めていない。

そのことを瞬時に悟ったハーリーは、老獪にも自身が見苦しく振舞うことで、殊更その意図を隠そうとしている。まぁそんな所か?

奴自身は、矜持の高さから役者になりきれていないが……

「まぁ良い。俺も何かと忙しい。先ずは半年ぶりに再会したのであろう。

敵地と言えどこの天幕の中は帝国領である。遠慮なく互いの無事を祝い、旧交を温めなおすがいい」

(どうせ、陰謀を巡らす会合となるのであろうがな。その辺りはあの狐が何とかするだろう)

「重ねて、其方には心より礼を申す。今後は、新しき帝国のために、尽力したいと……、思う」

そう言って深く頭を下げると、第一皇子ら一行は会見の間を辞し、彼らにとっては今や針の筵である、帝都や各自の所領へと旅立っていった。

彼ら自身、この時点では返還された捕虜の数、そして彼ら自身も含めて、失った莫大な財貨の大きさをまだ知らない。

詳細を知り、真に蒼褪めるのはまだ先のことである。

第三皇子グラートは、最も不愉快な対面式を終え、大きなため息をついていた。

この後は、場所を変えて彼が望んでいた対面がある。

以前より興味を持ち、配下の狐ですら並々ならぬ興味と関心を示していた男と、非公式の対面が。

彼の心は、既にそちらへの興味に満たされていた。

帝国の皇位継承者である二人が、互いの無事と友誼を確認しあっていた頃、タクヒールは懸案事項の確認のため、捕虜家族の受け入れと、その確認に奔走するクレアやヨルティアの元を訪れていた。

「クレア、ヨルティア、お疲れ様。こっち(商人対応)は落ち着いたけど、そちらはどうかな?」

「そうですね。今回は信頼できる子たちを100名ほど連れてきています。先ずは確実に間違いのないと思われる呼び寄せ家族を優先して、対応を進めていますが、こちらは順調です」

「ん? どうして間違いがないだろうと判断できるんだい?」

「帝国から渡されたリストには、それぞれ印が付けられていましたので……」

そう言ってクレアは苦笑して見せた。

実際に渡されたリストを見ると、〇、▲とそれぞれ記されていた。

「ははは、ジークハルト殿も、前回は悉く見破られて懲りたのだろうな?

今回は本人の意に反して、偽物を紛れ込ませることに嫌気がさしたのかもしれない。

まぁ、その印自体が安心させる罠の可能性もあるけどね」

「はい、その前提で私たちも動いています」

「所でこの先、確認を進める上で『たまたま間違いであった』家族はどうなさいますか?」

そう言うと、ヨルティアは▲印のついたリストを俺に見せてきた。

「総数はどれぐらいだい?」

「500家族ほど居ますが……

まぁ全てが間違いであるとは限りませんが、明らかに捕虜の家族ではない者たちは、返還しますか?」

「うーん……、今回返還される捕虜の名前と照合して、そこにも該当や可能性がない場合に限り、本人たちにその意思を問おうか。戦死した兵の遺族で、帝国側に身寄りもなく暮らしに困っている者たちなら、俺たちは喜んで受け入れる。

ただし、一定期間登録カードは、正当な呼び寄せ家族と異なり、D群、一時滞在者と同様にしておこう」

そう、俺たちは帝国側の領地に住まう者たちについて、新たに数種類の登録カードを用意していた。

(A群)

①ウエストライツ公国の出身者で、魔境伯領に登録のある者たち

②ウエストライツ公国の出身者で、上記以外で登録のある者たち

(B群)

③公国以外で、カイル王国の出身者たち

④帝国軍の捕虜で、移住を希望した者とその家族

(C群)

⑤今回割譲された領地の住民で、もともと帝国側の領民たち

(D群)

⑥新たに、帝国側の新領土に移住を希望する帝国の者たち

⑦帝国側の人間で、新たに工事や事業に携わる一時滞在者たち

これらの種分けによって、旧国境の関門通過や、各都市での往来などについて、『暫定的な一時措置』という前提で、差を設けていた。

関門など各所の検問、旧魔境伯領の受付所などで、当面の間は対応が区別される。

もちろん、それぞれの出身区域でなら何の格差もないが、公国内で旧国境の行き来、帝国領から公国への行き来にはチェックが入る。

ここでは、家族の確認だけでなく、全員の情報を登録し、ひとりひとり登録札の金属プレートを渡すところまで、一気に進めている。

人数が人数だし、経験豊富な彼女たちでも、おそらくは半日仕事で、当分は慌ただしさが続くだろう。

「了解しました。ではそのように対処します。

後日送られてくる、『帝国側でも確認が取れない家族』についても同様でよろしいですか?」

「うん、それでお願い。あと忙しいなか、人手を借りるのは本当に申し訳ないけど……」

「あ、そうでしたね。こちらは大丈夫です。何よりも大切なことですから」

「ごめん、クレア」

そう言って忙しなく動き回る彼女たちの戦場を後にした。

この後俺には、望まぬ対面が待っていた。

そのためにも、ちょととした小細工は行っている。

「さて……、少し早いけど、声を掛けて向かうとするか……」

そう呟いて俺は、重い足を前へと進めていた。

いつもご覧いただきありがとうございます。

次回は『望まれた対面』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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