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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 420

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北部戦線は大規模な戦いののち、再び膠着状態に陥っていた。

アレクシスとグレンがそれぞれロングボウ騎兵を率い、帝国軍と第二軍の救援に駆け付けた時には、ヴィレ王国軍もリュート王国軍もいつの間にか軍を引いていた。

そのため二手に分かれていた特火兵団は、戦場を大きく迂回して再合流すると、今度はイストリア正統教国軍に包囲されていた第三軍の救援に向かった。

だがそれも不発に終わり、彼らが戦場に現れたタイミングで敵軍もまた軍を引いた。

「総司令官、このまま追撃して攻勢に出ますか?」

「いや、我らも一度引こう。マルスさんの第三軍は思った以上に疲弊しているし、他の軍も負傷者の後送などで手一杯だろう。それに……」

アレクシスはグレンに対し明確に答えなかったが、先の戦いのあとのヴィレ王国軍とリュート王国軍の動きに不安を感じていた。

これまではそれぞれが独立して動き、戦場での立ち回りによっては各個撃破の可能性も十分あった。

だが今は、その二国が合流して二万近い軍勢となり軍としてまとまった動きを見せ始めていたからだ。

彼らが一つの集団として優秀な指揮官の下で動き出せば、アレクシスの方でも分散した軍を糾合し正面決戦を臨まなくてはならなくなる。

もしこのような形で戦えば損害も大きく、慣れぬ味方(帝国軍)との連携に不安がある上、今の時点で味方が被った損害も無視できない大きさだったからだ。

本陣に戻り被害報告を受けたアレクシスは、大きなため息を吐くとともに、自身の用兵が余りにも不甲斐なかったと悔やんでいた。

ウエストライツ魔境公国軍は、最も激戦を戦い抜いたゴーマン侯爵軍率いる第一軍と、少数で敵の攻撃を支え続けた第三軍が大きな痛手を受け、その他の軍も合わせて合計3,500名もが死傷して戦線離脱を余儀なくされていた。

そのうち戦死者は500名、残る3,000名は負傷により戦線離脱し後送される者たちだ。

激戦の割に戦死者が少なかったのは、乱戦の中でも聖魔法士たちが危険を押して戦場を駆け巡り、重傷を負った兵たちを都度救っていたからであった。

今の時点では、この先の戦いに参加可能な兵力は16,600名から13,100名へと減少し、それに王都騎士団の5,000騎を加えた18,100名が、彼らの総兵力であった。

◇第一軍 5000名

・健在 3,500名

・戦死  200名

・負傷 1,300名

◇第二軍 5000名

・健在 4,200名

・戦死  100名

・負傷  700名

◇第三軍 4,500名

・健在 3,100名(うち900名はクサナギより帰還)

・戦死  200名

・負傷 1,000名

・移動中 100名

◇特火兵団 2,100名

※健在

◇王都騎士団派遣部隊 5,000騎

※健在

更に帝国軍は、魔境公国軍を遥かに上回る損害を受けていた。

特にカーミーン子爵が率いた軍は、子爵の指示を無視して突出した兵たちを中心に敵軍の餌食となっていたため、総兵力の約半数が戦線離脱を余儀なくされていた。

結果として帝国軍は全体の戦力は大きく減らし、現時点での稼働兵力は当初の13,000名から8,000名にまで落ち込んでいた。

◇ドゥルール軍 8,000名

・健在 5,500名

・戦死  700名(ローレライ北の戦いを含む)

・負傷 1,800名(ローレライ北の戦いを含む)

◇カーミーン軍 5,000名

・健在 2,500名

・戦死 1,000名

・負傷 1,500名

片や侵攻軍側では、実質的に全滅したカイン王国軍を除き、大きく目立った変化はなかった。

これはゴルパ将軍の作戦指揮による貢献が非常に大きかったといえる。

そしてもう一つ。

マルス率いる第三軍が奮戦したことにより、倍以上の優勢で包囲していたにも拘わらず、リュグナー軍だけは割に合わない痛手を被っていた。

◇ヴィレ王国軍 15,000名

・健在 12,000名

・死傷 2,000名(ローレライ北の戦いにて うち捕虜1,000名)

・戦死  500名

・負傷  500名

◇リュート王国軍 10,000名

・健在 9,000名

・戦死  300名

・負傷  700名

◇カイン王国軍 10,000名

・不明 1,000名

・死傷 7,000名(前哨戦にて うち捕虜2,500名、不明2,000名)

・戦死 1,000名

・負傷 1,000名(戦いののち捕虜として捕縛)

◇イストリア正統教国軍 20,000名

・健在 18,000名

・戦死  800名(リュグナー軍)

・負傷 1,200名(リュグナー軍)

アレクシスからすれば、正式な数こそ掴めていないものの、侵攻軍はそれなりの数が健在であり、未だ倍近い勢力を誇っているように見えた。

「それにしても未だ敵軍は四万程度は健在、対する味方は二万六千、まだまだ厳しい戦いが続きますな」

報告を取りまとめ、最新の戦力比を見てもグレンも思わずため息を吐かずにはいられなかった。

もちろんそれは絶望的な差という訳でもなく、彼らなら何とかできる範囲内という前提だ。

まだまだ兵力面で苦労しますな……、そんな思いの言葉だったが、一方のアレクシスの表情は暗かった。

「これも全て僕の責任だ。敵の策を見破ったつもりで見誤り、味方の配置を誤った」

アレクシスは沈痛な面持ちでグレンに向き直ると、そのように答えるのが精いっぱいだった。

「総司令官、少しだけ長く兵を率いる立場にあった者として、ここは敢えて言わせていただきます。

戦に犠牲はつきものです。兵を率いる者にとって、味方の犠牲を覚悟の上で勝利する道を選ばざるを得ないこともあります。

そんな情けのない表情はお止めなさい」

その言葉にアレクシスは、はっとなった。

そんなアレクシスをグレンは真っすぐ見つめて続けた。

「敵もただ我らの餌になるためにここまで来ている訳ではありません。彼らも必死であり、我らの予想に反して優秀な指揮官が敵側にもいた。

ただそれだけのことです。そんな中で総司令は最善を尽くされ、敵の一軍を撃破して味方の窮地を救ったのです」

グレンの言葉は事実だった。

通常の敵手と対峙していたなら、自分たちは当初の目論見通り、前面に押し出されたカタパルト部隊を完全に無力化し、攻勢を掛けていた三カ国の軍勢にも相当の被害を与えることができていただろう。

「確かに……、ね。機をみたバリスタの運用だけでなく、あの局面でバリスタ部隊に後退を指示し、あまつさえ撤退の際には遺棄する物を我らが使用できないように手を打っていたからね。

こんな指揮はそうそうできるものではない」

「そうです。我らが新たな攻勢に出る前に、敵右翼と左翼の軍が不自然に引いたのも、それを指示した男が後ろで糸を引いていると考えるべきでしょう。

それと……」

グレンはそこまで言うとアレクシスの前に出ると深く頭を下げて跪いた。

「この際だから総司令官には敢えて申し上げます。総司令官や亡きゲイル閣下を始め公国の皆様が、我ら及び故国である皇王国の者に対し、特別にご配慮くださっていること、改めて深く御礼申し上げます」

礼を述べながら大地に擦り付けるほどに頭を下げていたグレンは、ここで顔を上げてアレクシスを真っ直ぐ見た。

「ですが我らは今、ウエストライツ公国の民です。

我らにとって同胞とは、共に公国を守ろうとする方々であり、敵軍に対する遠慮は何もありません。

かつての故国や同胞であっても今は侵略者に過ぎず、我々は敵軍に対し容赦なく矢を放ちます」

「…………」

口にこそ出さなかったが、どこかで遠慮が心にあったということか……

自身の心を見透かされたようで、アレクシスはただ無言だった。

「次は我らにこそ、敵を撃つ先陣を賜りたく思います」

「グレンさん、ありがとう。タクヒールさまより分不相応の大任を与えられたものの、僕はまだ経験の少ない若造、どうかこれからも気付いた点は遠慮なく言ってほしい」

アレクシスもまた、グレンに礼をいうと深く頭を下げた。

その時にはもう、いつもの彼の表情に戻っていた。

「お話中失礼いたします! クサナギの内務卿様より急使が参っております」

「急使だと? 何かあったか?

構わないから使者を本営に通してくれ。僕たちもそちらで聞く」

そう言うとアレクシスはグレンを伴い、本営の陣幕に移り、跪いて待っていた使者に声を掛けた。

「待たせたね。ここで聞いて差し支えない話かい?」

「は、特に内々にお伝えするようにと指示は受けておりません。

一点目の報告は既に解決済みのことですが、クサナギに向かった皇王国の民たちの中に不逞の輩が紛れ込んでおりました」

「なっ、何だと! それでクサナギはどうなっている!」

傍に居たグレンは血相を変えて詰め寄ったが、アレクシスはただ黙って目をつむり報告を受けていた。

使者の話振りから、事態は収拾していると思ったからだ。

「奴らは、たまたま民を労うために街を出られた王妃様のお命を狙い騒ぎを起こしました。

ですがそれは鎮圧に成功して王妃様を始め皆様はご無事です」

それを聞いたグレンは安堵のため息を吐き、アレクシスは目を開いて使者に話し掛ける。

「そうか……、ユーカさまには改めて私からお詫びの使者をお送りする。それでは、クサナギで不逞を働いた輩は一掃されたのだな?」

「はい、駆け付けたハストブルグ辺境公のお力により、鎮圧が完了しました。

二点目の報告は、それに関わることになります。

公は王都より騎士団一万騎を率い、先遣隊は既にクサナギに到着されています」

「辺境公自らがか、ありがたいな。

これでやっと……、我らは数で対抗できるな」

「はい、そのため援軍の到着まで、今少しの辛抱を願うとのお言葉です。

そして三点目は、その辺境公よりアレクシス様への危急の言伝手をお預かりしております」

そう言って使者は、大切に懐中にしまっていた書簡を取り出し、アレクシスに手渡した。

『今回のイストリア正統教国の部隊に、闇の氏族が紛れ込んでいるようだ。前線でも彼らの残党にはくれぐれも注意されたし。

王妃のお命を狙ったのも皆、闇の住人である』

「なんと!」

驚きのあまりアレクシスは思わず立ち上がった。

ここに至り、彼らの行動に感じた一連の不自然さに合点がいったからだ。

・イストリア正統教国の不自然なまでの急速な勃興

・ヴィレ、リュート、カイン王国の不自然な出兵

・神の尖兵を称する者たちの狂信的とも思える行進

それら全ての解が、この言葉にあるように思えた。

全てに関わり暗躍していたのが闇の氏族、これまでもタクヒールを目の敵として暗躍してきた、闇の住人と呼ばれていた者たちだった。

彼らはこれまでも幾重にも策を巡らし、タクヒールらを窮地に陥れてきた。

そして今もなお、戦乱の影に蠢動していると理解した。

「であれば……、我らも色々と考え直さねばなりませんな」

「うん……、相手が闇となれば、光魔法士の存在が強みになるけど、敵は二万、それも二か所に分散しているうえ今の我が軍には……」

アレクシスは瞼を閉じ考えた。

そもそも光魔法士はカイル王国内でも非常に数が少ない。

12氏族の血統を受け継ぐ公爵家でも血統魔法としての光魔法は途絶え、傍系の家が僅かに血統を受け継いではいたが、その多くは既に途絶えてしまっている。

市井の光魔法士は、勅令魔法士として国内に数名ほど存在することを、かつては同じ勅令魔法士であったアレクシスも知っていた。

しかし彼らはみな、クライン大公爵の指示により匿われ、人知れず王都に保護されている。

現在タクヒールの抱える光魔法士は僅かに二人。

これは最重要機密である重力魔法士を除けば最も、そして飛び抜けて数が少ない。

その一人であるレイアは、主君に付き従い敵国領の彼方にあり、もう一人は今年になって儀式を受けたばかりで、戦場に出る訓練や戦術として光魔法を行使する訓練を始めた程度でしかない。

危険な最前線を転戦させるには厳しいと思われた。

「光魔法士はいるにはいるが……、数の上でも練度の上でも、まだ実戦投入は厳しいな……」

「確かに、嬢ちゃんは御使い様のなかでも最年少、あの時は例外で投入されたと伺っていますし……」

グレンが言った嬢ちゃんとは、レイアの年の離れた妹だった。

同じ孤児院出身のララアはまだ15歳でしかない。

そして例外とは、アウラが民たちに語り掛けるときに『安全な後方で』と重々言い聞かせたうえ、アレクシスが念のため送り出したことを指していた。

「そもそも彼女の乗馬能力では、まだ騎兵の動きに付いていくことも覚束ないし……、だけど他に光魔法士がいる訳もなく……。

これは結構難しい選択だよね」

アレクシスがそう呟いた時だった。

本営に各貴族家より派遣された従卒として詰め、連絡要員も兼ねていた兵の一人が、何かを言いたげに手を上げようとした。

「お話し中失礼します! たった今、供回りの方々のみでハストブルグ辺境公が到着されました!

それともうひとつ……」

この報告が重なり、その従卒はそこで動作を止めた。

アレクシスらもその報告に驚き、従卒への注意がおなざりになったことは否めない。

更にもうひとつの報告の内容に驚き、アレクシスとグレンは慌てて外に飛び出した。

ハストブルグ辺境公と、公が連れてきた者たちを迎えるために。

最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。

次回は1/13『陣中閑話』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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