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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 431

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タクヒールらがビックブリッジに到着する少し前、帝国の新領土南部を転々とし苦闘を続けていた男がいた。

彼の名は、グラート・フォー・グリフォニア、帝国の次期皇帝とされ合計三万の軍勢でスーラ公国軍と対峙したが、敗戦の痛手と共に盟友と呼ぶべき配下の多くを失った男だった。

「殿下、物見の報告ではここから半日の距離に約二万のスーラ公国軍が進出しているとのことです。

もはやここも安全圏とは言えません。早々にお引きを……」

配下にそう促された第三皇子は、苦渋の決断をしなくてはならなかった。

あの日の敗戦以降、彼は南部辺境を転々としながら、離散した味方の再集結を待っていた。

だが、一度ビックブリッジに向かった公国軍は、再び各地の支配を固めるべく動き出していたからだ。

「二万か……、その程度の敵に対し引かねばならんとは、俺も落ちぶれたものだな……。

して、どの方面に移動するのが適切だと思うか」

自嘲するかの如く、寂しげな表情でそう言った第三皇子の元には、今や八千騎の騎兵と四千名の歩兵しかいなかった。

これでも敗走当初は、直属の五千騎しか居なかったのだから、大幅に盛り返していたともいえる。

『それでもまだ新領土南部には、離散した味方が沢山いるはずだ。今は一人でも多く糾合して……』

ただ再集結した兵たちには負傷者も多く、まともに戦える戦力は一万にも満たなかった。

そのため今は、敵兵から逃げるように各地を転々とする状況に甘んじていた。

「そうですね……、北に向かいたいのはヤマヤマですが、そちらは敵軍の哨戒網も厳重で未だビックブリッジとも連絡が取れない状況です」

おそらくジークハルトは、数倍の敵軍に囲まれ孤軍奮闘しているだろう。

それを考えると、第三皇子の心は痛んだ。

「北側の狼煙台は全滅しているだろうが……、東側はどうだ?」

「我らの東軍が予定通りの行動で後退できていたのなら……、可能性はあります!

そちらから侵攻したターンコート王国軍は、追撃を重視し周辺域の攻略を後回しにしている可能性が高いと思われます」

その言葉に両眼を閉じて考え込んでいた第三皇子は、大きく目を開いた。

「では我らは、大きく東に迂回しつつビックブリッジを目指すとする。

一番の目的は我らが未だ健在であることを奴に知らせることだ!」

そう決意した第三皇子は、これまで通り隠蔽された補給拠点に次の目的地を指す符丁を残すと、負傷兵たちを引き連れて移動を開始した。

それは、これまでとは比べ物にならない移動距離であり、負傷兵を抱え常に敵軍を警戒しながら移動する、苦難に満ちた旅であった。

彼らが東に向けて移動を始め十日以上が経過したある日、物見の兵が驚くべき報告を上げてきた。

「もっ、申し上げます! これより少し先、東へと移動する軍勢が確認されております!

その数およそ一万五千!」

「くっ……、この方面にまで敵軍の手が伸びているのか。ビックブリッジはどうなっているのだ?」

悲痛な声を上げた第三皇子であったが、物見の表情は明るかった。

「申しおくれました。彼らは負傷者を抱え、まるで敗残兵の列です。周囲への警戒もおざなりで、まるで追撃に怯えるように必死になって東を目指しております」

敗残兵だと?

追撃に怯えるようにだと?

第三皇子は報告に自身の耳を疑った。

それもそのはず。彼らもまた、タクヒールの参戦も第二次包囲戦の勝利も知らないからだ。

「ふむ……、奴にだけ苦労を背負わせては俺も立つ瀬がないな。

逃亡する敗残兵であれば、少数の兵でも奇襲により勝利することが可能だろう。

この際だ、今より奴らを各個撃破し後顧の憂いを断つ!」

「ですが殿下っ! 我らは負傷兵を多く抱え、まして殿下の御身が……」

「だからこそ、だ。ここで奴らを討ち果たせば、少なくとも東一帯は安全圏となる。

南部辺境に二万もの兵を出してくるということは、スーラ公国軍は未だに健在、であれば負傷兵を連れてビックブリッジに入城することは叶わんだろう。

なので彼らが身を潜める安全圏を確保する必要がある。俺はもう兵たちを無為に死なせることは許されんのだからな。何より俺自身が……」

そう言って慌てて宥める配下を諭すと、決意を込めた表情で命を下した。

「俺は戦いに耐える騎兵のみを選抜し、五千の騎兵部隊で先ずは奴らを叩く!

残る歩兵は負傷兵を護衛しつつより東へ、以前の帝国領近辺まで後退して兵たちの回復を待て!」

そう宣言したのち、彼らは慌ただしく出発した。

一方、負傷した兵を率い故国を目指すターンコート王国軍は、恐怖に怯えながら最短距離で国境を目指しながら移動を続けていた。

卑怯な奇襲を受けたとはいえ、彼らもまた五千ものスーラ公国軍を壊滅させた。

だが彼らの新たな敵は、まだ五万以上の兵力を擁している。

それらが南から転進して追撃を受けることになれば、全滅は必至となる。

彼らに時間の猶予はなかった。

そして……。

「敵襲っ! 南よりスーラ公国軍の騎馬隊がっ!」

この報告を受け、敗残兵を率いてきた諸将は恐怖に顔を引きつらせた。

一万二千の兵は戦いと敗走に疲弊し、それに加え二千名近い負傷兵を引き連れての移動中であるため、騎兵を妨げる防塞もない今、野戦であれば一万の騎兵を相手にしても一方的に蹂躙されてしまう。

「敵の数は? およそで構わぬ故、関戦力を報告せよ」

その問いに帰ってきたのは、絶望的な回答だった。

「正確には分かり兼ねますっ。ですが……、土煙から見て優に一万騎は超えている模様!」

「い、い、一万騎以上だとっ! 話にならんわっ。これより全力で国境を目指す。

足の遅い荷駄は捨て、円陣を保ちつつ駆け抜けろ」

これは非情とも言える命令だった。

荷駄には武器糧食の他に、負傷した兵たちも乗せている。

彼らには足手まといは敵軍の餌として残し、戦える兵のみで防御陣を敷きつつ後退するより外、選択肢は残されていなかった。

敗走する敵軍を追撃するに当たり、第三皇子は数の少なさを偽装するため一計を按じていた。

五千騎の騎兵たちは、それぞれの馬に縄で結えた枯れ枝を幾本も曳かせていた。

それらにより、数に倍する濛々たる土煙を上げ、敵軍に接近していた。

「良いか、奴らが捨てた荷駄には目をくれるなっ! 敗走する敵軍に立ちはだかることなく、後衛と外縁を削ることにだけ専念せよ! 突撃っ!」

幾たびもスーラ公国との戦いに身を置いていた熟練兵である彼らは、第三皇子の指示に従い敵軍の数を削り、脱落者を増やすことにのみ専念する戦いを繰り返した。

まして、敗走しながら数の虚像に怯えて逃げる敵軍は、士気もすこぶる低かった。

こうしてついに、軍としての統制も失ったターンコート王国の兵たちは潰走した。

最後は糧食も失った僅か五千にも満たない兵たちだけが、国境に向けて逃げ散ったという惨状だった。

「これ以上の追撃は無用だ。奴らはもう、軍としての機能を失ったに等しい。我らの勝利だ!

我らはこれより西に向かい、ビックブリッジまで連絡が可能な狼煙台まで転進する」

僅か数刻の戦いで決定的な戦果を挙げた第三皇子は、麾下の兵たちを引かせた。

「殿下、これより掃討戦に移られますか?」

「無用だ、逃げ場を失い離散した兵など、負傷者の護衛に付けた歩兵でも撃退できるからな」

「敵軍の負傷兵はいかがしますか? これまででは……」

「捨てておけ、残酷なようだが我らにも捕虜を抱える余裕はない。今はマツヤマどころではない。

奴らが遺棄した糧食だけは焼き払い、敵軍の負傷兵は戦場に捨ておけ」

苦々しい表情でそう言った第三皇子に対し、意見を具申する者は誰もいなかった。

彼らですら負傷兵を伴うことを諦め、貴重な戦力の一部と共に切り離したのだから……。

糧食もなく、戦場に放置された兵たちに残された運命は過酷だった。

彼らが手を下さずとも、いずれは果てる定めにあるのだから。

戦いに勝利した第三皇子は、騎兵を率いて速やかに西進すると、小高い山の上に設けられた補給拠点兼狼煙台として運用された場所に入った。

そして、ビッグブリッジに向けて第三皇子の健在を示す狼煙を上げることになる。

これが後に新たな戦いを呼び込む呼び水となってしまうのだが、彼らにとってはやっとのことで勝ち取った戦果でもあった。

最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。

次回は3/13『新たなる希望とは』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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