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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 434

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グリフォニア帝国の次期皇帝たるグラートは、この日が今まで生きて来た日々の中で最も驚愕させられた、そして一生忘れられない日となった。

まず第一の驚きは、敵軍に包囲されて覚悟を決めたときに現れた、予想すらしなかった援軍の登場であった。

味方が攻勢に移った中、援軍のなかから数名の見知った顔が彼の下に走り寄りると、その傍で崩れ落ちた。

「殿下っ、グラート殿下ぁっ!」

「殿下……、よくぞ、よくぞご無事で……」

「よかった、本当によろしゅうございましたっ!」

彼らは一様に涙を流し、主君の無事と再会を喜んでいた。

「お前たち……、本当によくやってくれた……。一敗地にまみれ敗残の身だが、俺は無事だ。

これもみな、兵たちのお陰……、だ、ぁ?」

グラートは彼らに応えている際、少し先から騎馬に乗って歩み寄る、ここに居るはずのない人物の姿に気付くと、驚きのあまり声が裏返ってしまった。

これが第二の驚きであった。

「グラート殿下、先ずはご無事でなによりです。

我らも新しき帝国との友誼に応じ参上いたしました」

一瞬息を詰まらせたグラートは、にこやかに微笑む盟友に慌てて向き直り言葉を発した。

「タ、タクヒール殿が何故ここに?

いや……、先ずはご助勢いただいたことを深く感謝すると共に、私と帝国の民はこの恩を胸に刻み終生忘れ……」

その途中でタクヒールは敢えて言葉を重ねた。

まるでそんな重たいものは要らない、そう言いたげな様子で……

「ここからが俺たちの戦いですよ!

ビックブリッジにてジークハルト殿も首を長くして待っている故、先ずは凱旋といたしましょう」

『皇帝となる身で、迂闊にそのようなことを言うべからず』、と言うことか……

グラートは兵たちの前で気を遣ってくれたのだと勘違いし、慌てて話題を切り替えた。

「だがビッグブリッジも大軍に包囲されていることと思うが……」

そう言うと改めて考え込まされた。

『ジークハルトの配下であるこの者たちも、砦に詰めていたはず。一体どうやって砦を出たのだ?

ましてタクヒール殿はどうやって此処に辿り着いた?』

冷静になるとその点も疑問に感じていた。

「あ、そうですね。我らが到着した時に砦を囲んでいた三万は蹴散らしましたが、多分今頃は各地から引き返して来たスーラ公国の軍勢に再包囲されているだろうし……」

「さもあらん、そうそう簡単には……。いや! タクヒール殿、今何と仰った!

三万を蹴散らして入城されたと聞こえたが……」

(いや、俺の聞き間違いか? そんなことあり得ん話しだしな)

「あ、そう言いましたが……、確かにそうですね。

正確には直接蹴散らしたのは一万でした。三倍の敵だったので自壊するよう一計を按じたら、たまたまそれが上手くいっただけですしね」

「なっ……」

(やはり事実なのか! 信じられん話ではあるが。一万で三万の敵を撃破とは……、戦局を左右する武勲ではないか!)

グラートは驚きの余り絶句していた。

これが第三の驚き、そしてそれは更に続いた、

「ただ帰りは、四万程度のスーラ公国軍もおそらく引き返して砦を包囲しているでしょうね。なので、簡単に入城できないかもしれませんが、我が軍だけでも多分何とかなるかな?

まぁ……、ちょっと騒々しい入城にはなるでしょうが……」

(まぁ入城するだけなら、他にも幾つか作戦はあるけど……。アレを使うのが一番だろうな)

「……」

(いや、敵軍は四万だぞ! 何故公王はにこやかに笑っているのだ?

一万の軍勢でそれを破って入城するだと? 絶対に有り得ん、敵兵が彼を指し魔王と呼んで恐れるわけだな……)

この日4度目の驚きに、グラートの口は半開きのまま、暫く閉じることを忘れていたかのようだった。

「さて殿下、これより再び我らは雲隠れするといたしましょう。今夜の……、いや、明日はきちんとした寝台でお休みいただけることでしょう。なのでそれまで、いま暫くご辛抱ください」

タクヒールの言葉通り、敵軍を完全に打ち破ったヴァイス率いる魔境騎士団が戻ると、総勢一万七千騎となった一行は、夕暮れ迫る中一路ビッグブリッジを目指し出発した。

未だ半信半疑のグラートを伴って。

ガイテーの西方面で合流した魔境騎士団と帝国軍は、日が落ちて辺りが暗くなり始めた頃も速度を落とすことなく西へと急ぎ、完全に日が落ち暗闇となっても灯火を燈し、道を知る帝国軍を先導に帰路を急いでいた。

そして夜も更けた明け方前になってやっと、ビッグブリッジ砦の北側に出ると、随伴した帝国兵たちに奇妙な依頼を出した。

「申し訳ないですが、殿下を始め帝国軍の皆さまには、我らの合図があるまで我が軍の本隊とここでお待ちください。これより我らは二千の精鋭を率いて、殿下が帰還するための花道を整えて参ります。

少々賑やかな帰還となりますため皆様は馬を降り、徒歩にて待機の上しっかりと手綱を握り馬たちを落ち着かせるよう努めてください。初めての馬はきっと驚いて暴れることになりますので……」

グラートはその説明の意味することが全く理解できなかった。

・たった二千の軍勢軍勢で露払いを行うだと?

・しかもこの暗闇の中、どうやって敵国軍を蹴散らすというのだ?

・馬が暴れるとは、一体どういうことだ?

『くそっ! 俺としたことが何もかもが理解できんわ』

そう思うと、出立しようとしたタクヒールに声を掛けずにはいられなかった。

「我らのためにご足労をお掛けして申し訳ない。ところで公王は、一体何をされるおつもりかな?」

確かに夜襲を行うなら、少人数のほうが露見しにくく敵軍を攪乱しやすい。

だが……、敵軍に対しこの人数は余りにも少なすぎる。

恐ろしい戦術を次から次へと生み出すこの王は、もっと違う『何か』を行うつもりなのだろう。

グラートはその『何か』が知りたくなった。

「いえね、門の外で待ち構えている招かれざる客には一度ご退席いただくだけです。

追い出すため盛大な花道をご用意しますので、殿下はそれを合図に堂々とご帰還いただければよろしいかと」

何かを意図的に隠すような物言いが気になったグラートは、再びタクヒールに食い下がった。

「図々しいお願いなのは百も承知なのだが……、私も公王に同行し傍らで作戦を拝見させてもらえないだろうか? 決して邪魔はしないと約束する」

「うーん……、そうだなぁ。しかしなぁ……」

グラートの申し出にタクヒールは下を向いてしばし考え込んだ。

彼の悩み、その大前提は二つあった。

第一に、今回の遠征派遣軍はできる限り犠牲を出さないように戦いたい。

結果的に魔境公国の防衛戦略に繋がる行動だが、祖国防衛戦でもないのに徒に多くの将兵の犠牲を出したくなかった。数倍の敵に囲まれながら、その考えがいかに傲慢なものだと分かっていても。

ならば楽をして勝てる戦術、切り札である秘匿兵器の使用はやぶさかではない。

第二に、使うのであっても、秘匿兵器の存在は可能な限り秘匿しておきたかった。

兵器はひとたび使用すれば戦術が露見し、人の英知により必ず模倣されて今度は自身に牙を剥く。

カタパルトを使用した制圧弾ですらそうだ。イストリア皇王国軍はきっちり模倣して次の戦いでは王国に向けて使用してきた。

そして『初見殺し』の戦術は、一度使用してしまえば次はない。

『だけど……、こちらの帝国軍の目はふさいでも、砦からジークハルトは見ているだろう。

ならばここで、最高権力者から言質を取り、一切の詮索を禁じるほうが利口か?』

そう結論に至り、タクヒールはグラートに向き直った。

「承知しました。ですが殿下、同行いただくのに条件が三点ございます。

ひとつ、ご同行いただくのは殿下と限られた供回りのみで、作戦行動に従っていただきます。

ひとつ、この先ご覧になられたことへのご質問には、一切お答えできかねます。

ひとつ、我らの戦術に関し、今後帝国側で詮索することを禁じると明言いただきたく思います。

これらに同意いただけるのであれば、ご意向に沿うようにいたします」

「あ、ああ、もちろんだとも。

公王の条件はもっともな話だ。グリフォニア帝国の名誉にかけて、魔境公国の秘儀を尊重し守ること、我が名にかけて約束させてもらおう」

『ふふふ、言質は取りましたからね』

タクヒールはグラートに聞こえないほどの小さな声でそう言うと、僅かに口角を上げた。

目立たぬよう僅かに灯された灯火の光は、その表情を不敵に彩った。

まるで、数万の命を容易く刈り取る、魔王のごとく……。

グラートは味方ながらこの時、タクヒールを見て得体の知れない恐怖を感じずにはいられなかった。

かくして、二千余名の兵たちは馬を降り、2キル先に展開してビックブリッジ砦の北側に布陣した敵軍の背後へと、暗闇のなか密かに忍び寄った。

この後、グラートが日をまたぎ五回目、最も驚愕し魔王の神髄を思い知らされる出来事が今、まさに始まろうとしていた。

最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。

次回は4/3『旗印の帰還』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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