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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 437

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ビックブリッジ砦を囲む水田は広大な面積を擁し、砦から1キル以上先まで広がっているため、包囲網を敷く軍勢は、常に砦から2キル近く離れた場所に陣を張っていた。

この日その包囲陣に、再び変化が訪れた。

「報告します! 北側より夥しい数の人馬がこちらに向かって来ております!」

司令部に血相を変えて駆け込んできた物見の報告に対し、報告を受けた側の首脳部の反応は落ち着いていた。むしろ全員が不敵に笑い、まるでその報告を待っていたかのように見えただろう。

「グロリアスめ、やっと重い腰を上げおったか」

「そうですね、タクヒール殿ともお迎えの準備は散々検討してきましたが、無駄にならなくてよかったです」

「ははは、皆の言う通り、これで来客が全て揃ったということですな。やっと『もてなし』に入れるというもの」

防衛の最高指揮官だった第三皇子、ジークハルト、そして俺がこんな調子だったので、逆に報告してきた物見の方が違う意味で動揺していた。

「あの……、どのように対処すべきでしょうか?」

「しばらくは彼らの好きにさせて構わないよ。どうせ彼らは、まともに攻略して消耗することは避けるだろうからね」

「はぁ……、承知しました」

物見は今一つ納得できなかったようだが、答えたジークハルトや俺にも確固たる自信があった。

今やスーラ公国軍も四万を切り、第一皇子率いる帝国軍もまた三万、互いにこれを失うと後がないのだ。

仮に一方が大きく数を減らせば、ターンコート王国の例もあるし、いつ裏切られるか分からない状況に陥ってしまう。そのため彼らは無理な力押しの攻撃を避け、包囲網を敷いて徐々に圧迫して来る。

そんなことは簡単に予想できたからだ。

「報告します! 北に現れた軍勢は急進し北側の水田に土嚢を入れておりますっ!」

その報告を受け、俺とジークハルトは互いに目を見合わせて笑った。

あまりにも予想通りの展開だったからだ。

「うん、それも放置してて構わないよ。埋め立てが砦から500メルの距離に至るまでは、臨戦態勢を維持しつつ傍観するだけでいいからね」

「到着すると同時に取り掛かるとは、予め作戦を立案して準備していた、そういうことかな?」

「タクヒール殿のご指摘通り、阿呆にも油断のならない大狸が付いていますからね。

その程度の準備はしているでしょう」

「ははは、狸には私も手を焼きましたからね。もっとも……、王国側の狸ですが。

それでは我らも帝国の狸の手腕、拝見させていただきますか?」

俺たちがこんな呑気な会話をしているのも、実のところこの事態を待ち望んでいるからであり、そのために散々議論を重ねて来ていた。

ただ……、ジークハルトにはまだ他にも隠し事があるような気がしないでもないが……。

窮地を脱した今となっては、そう感じさせる何かがあるような気がしていた。

報告を受けた俺たちは、傍から見ればまるで物見遊山気分のように望楼に上った。

そして見えた光景は……。

二万近い兵たちが一斉に土嚢を抱えて前進し、水田に土嚢を投げ込んでは安全に移動できる場所を確保し、それを凄い勢いで広げ始めていた。

「二万近い兵が動くと、なかなかの速度で埋め立てが進行するものだな。

奴らは北側の隠し通路を起点に、左右に確固たる居場所を広げているが……」

「殿下、今は我らも射程外ですし為す術がありません。タクヒール殿のアレ以外は……。

折角敵が射程距離内まで接近してくれるのです。ご厚意に甘えましょう」

「しかし水田はもったいないな。せっかくこれだけの田があると言うのに……」

これは俺の本心だ。ここまで広大な水田があれば、米の収穫量も半端なものではない。

俺たちの国土では水路の整備もまだ完全ではなく、そもそも水量が足らない。

その結果、このように大規模な水田開発はまだできていない。

「まぁ……、こればっかりは仕方ありませんが、いずれ新たに加える捕虜たちにやってもらう、戦後の事業として残しておきますよ」

「ジークハルト、新たに加える捕虜とは、当然のことながら目の前に居る者どもを指しているのだろうな?」

「はい、いずれそうなりますよ。タクヒール殿のお陰で戦局は逆転しました。なので必ず、ね」

その時ジークハルトは、凄みのある笑みを浮かべた。

ハハハ、やっぱりこっちが彼の本性だよね。みんな騙されるけど……。

「ところでジークハルト、良いのか?

奴らの動きを見て、スーラ公国側も同じように南側の埋め立てを進めているようだが?」

「はい殿下、全く問題はありません。以前にこの手を取られていたらかなり困りましたが、今の僕らは彼らが舞台の袖まで来てくれることを待ち構えているのですから。北も南もおそらく我らのカタパルトの有効射程の手前で止まりますよ。そして……、まず動くのは北です」

ジークハルトの言葉は正しい。

第一皇子はいま、友軍に対し弱みがある。なので率先して先陣を切らねばならない。

俺たちは余裕をもって彼らを見据え、『時』が来るのをただ待っていた。

彼らが埋め立て作業を始めた翌日、両軍の動きは止まった。

ジークハルトの言葉通り、埋め立て作業は南北ともに城壁から五百メルの距離まで進んでいた。

その後、これまた予想されていた通り、第一皇子側が新たな動きを見せた。

彼らが安全圏と考えた、砦から600メルの位置まで全軍を進出させたのち、『勅命』と書かれた旗指物を馬に結わえた男が、一騎で隠し通路を通り城壁の前まで進み出て来た。

「砦に立てこもる兵士たち、帝国に生まれし同胞たちよ、心して聞くがよい!」

大胆にも彼は城門前まで進むと、大音声で声を張り上げ始めた。

「私はグリフォニア帝国次期皇帝たるグロリアス殿下の命を受け、慈悲深い皇帝陛下の勅命を伝えるため参じた者である。虚しく砦に立てこもる将兵たちに皇帝陛下の勅命を伝える!」

そう言うと彼は、懐から恭しく羊皮紙を取り出すとそれを読み上げた。

『帝国は我が意を以てスーラ公国との講和を決した。故にこれ以上の交戦は無用である。

直ちに城門を開きグロリアスの指揮下に入れ。重ねて命ずる、直ちに抗戦を止めて開城せよ』

読み上げた使者は、グリフォニア皇帝の勅命が記載されていた羊皮紙を眼前に差し出すと一礼し、恭しく懐中にしまうと再び城壁に向き直った。

「皇帝陛下の意は決した。陛下のお言葉に従い、直ちに投降し帝国兵としての職責を全うせよ。

このより先、戦場で無為に命を散らすお前たちを哀れみ、皇帝陛下がわざわざお前たちに下されたお言葉である!」

その言葉を聞いた瞬間、第三皇子は腹を抱えて笑っていた。

「ははは、筋書きも三流なら役者も三流だな。奴は皇帝陛下に見えたことなどなかろう。

そもそもあの陛下が兵たちを憐れむだと? そんな姿を俺は見たことがないわっ」

だが使者には第三皇子の笑い声も届かない。

彼は更に口上を続けた。

「無用の乱を起こしたグラート皇子は戦場の露と消え、貴様らは今、誰に対して忠義を示すのか!

無為な抵抗を行い、帝国の意に添わぬ行為を止めて直ちに投降せよ。お前たちには寛大なる処分が下るよう、グロリアス殿下も奔走くださっていらっしゃる。

皇帝陛下の意に背き、次期皇帝陛下の御心を煩わせるなど、それこそが帝国に対する二重の不忠であると分からんのか!」

だが……、砦に詰める兵士たちの反応は全く違った。

使者の言葉が響き渡ると、砦からは大きな笑い声が各所で湧きあがった。

「なっ! 何を笑うかっ! 何たる無礼なっ!」

尊大に振舞っていた使者は、自身の尊厳と帝国の威厳が貶されたことに激怒し、顔を真っ赤にしていたが、哄笑が収まることはなかった。

ここでジークハルトが目くばせをすると、第三皇子は笑いを堪えた表情で北側の城壁の上に立った。

そこは、ことさら下からよく見えるように、敢えてごく最近工事を加えられた場所だった。

「では舞台の準備は整いました。ここでタクヒール殿のお力をお借りしたく思います。

どうかよろしくお願いします」

「ジークハルト殿の依頼、確かに承った。

拡散魔導砲、全基発射用意! 射程は1キル以上、絶対に手前には落とすなよ。全基、最大射程でお見舞いしてやれ!」

俺の言葉を受け、射撃指揮官に続いてヨルティア、カーリーン、リリア、カタリナの四人がそれぞれの配置に向かって走り出した。

「それでは俺も射撃管制のため、隣の望楼に移動するので、連絡は打ち合わせ通り所定の方法で」

そう言って俺も望楼を降りると、左側の若干低い望楼に移動した。

先ほどの位置からだと真下に配置された魔導砲が見えず、指揮がしにくいからだ。

さて、これからが三万の帝国軍を恫喝する戦いの始まりだ!

こちらの方は舞台も『演出』も練られた上で準備したものだ。先ほどの三流芝居とは違う!

最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。

次回は4/24『二人の皇子』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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