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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 459

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補給拠点を築いた四か国の国境を早朝に進発した俺たちは、そのまま強行軍でリュート王国領を駆け抜けた。

目指すは最も近い位置にあるリュート王国の王都だ。

まぁ……、近い以外にも大きな理由があるけどね。

移動距離にしておよそ80キル(≒km)、1日で向かうには正直言って非常識な長距離移動だが、既に帝国への遠征で俺たちはこのレベルの移動を経験している。

リュート王国兵の捕虜の中から替え馬を伴った先遣隊を組織し、彼らを先行して送り込んでいた。

彼らの役目は二つ、敵情を偵察すること、本隊の進路を確保し休憩と補給の拠点を準備することだ。

俺達にとっては見慣れぬ土地でも、リュート王国兵たちには慣れ親しんだ土地であり、しかも彼らの祖国を奪還するための戦いだ。

そのため鬼気迫る勢いで先遣隊は進み、後に続いた本隊も遅滞なく進軍することができていた。

そして夕闇が迫る前に、俺たち本隊はリュート王国の王都が見渡せる場所まで進出していた。

そこまで俺たちが進出したと言うのに、イストリア正統教国の防衛部隊は油断していたのか、それとも予想だにしない敵軍の存在に驚愕していたのか、まともな迎撃体勢すら整えることができず混乱している様子だった。

「どうか我らに先鋒をお任せください。

馬を降り歩兵となった五千名で王都を奪還してご覧にいれます」

先遣隊からの情報を得た第一王子が願い出てきたが……、攻城戦となると五千では寄せ手の数が少な過ぎやしないか?

「ここは我らの王都、奴らの知らぬ侵入路も熟知しており、弱点も掌の上です。そのため五千の方が動きやすく……」

ははは、俺の不安を見透かされたか?

第一王子は言葉を補足したあと、自信があると思わせるような不敵な笑みを浮かべた。

「彼らに自らの手で王都を奪還する機会を与え、先ずは攻め口の反対側にゴルパ将軍の率いる五千騎を展開させましょう。そうすれば敵兵の注意は騎兵部隊に向き、突入部隊の支援にもなるでしょう。

我らは後詰めとして包囲網を敷き戦況次第で動く、それでよろしいかと」

団長の言葉で俺も心は決まった。

王都奪還に燃える彼らの思いを察してやる必要もあるだろうしね。

「ではクラージュ殿に先鋒を任せ王都の奪還をお願いする! リュート王国の意地、是非我らにも見せてほしい」

「はっ! 寛大なるお言葉に心より感謝いたします。

我らの意地、とくとご覧くださいませ!」

そう言って第一王子は自らが陣頭に立つと、眦を上げて攻撃部隊を突入させた。

「全軍、騎兵の動きに呼応して我らは王都を奪還する!

これまでの諜報によれば守備軍は五千名程度、同数ならば我らが負ける理由はない、一撃で蹴散らせっ!」

「応っ! 我らに勝利を!」

「国土を取り戻すぞっ!」

「卑怯者たちを討てっ!」

「クラージユ陛下のためにっ!」

第一王子の号令一下、彼に従い突入したのは多くがリュート王国出身の捕虜たちであり、その士気は極めて高かった。

一方、王都内でも攻め寄せる第一王子の旗印を見た者たちが次々と呼応し、鬨の声を上げ始めた。

たちまち王都各所に火の手が上がったかと思うと、本来なら固く閉ざされているはずの城門は次々と内側から開かれていった。

「勝機である! このまま王宮に突入し侵略者を一掃せよ!」

陣頭に立って血刀を振るい奮戦する第一王子と共に、兵たちは雪崩打って王宮内へと突入していった。

王都奪還に向けた彼らの攻勢は尋常なものではなく、次々と拠点を制圧して橋頭保を築くと、より勢いを増して更に内部へと進み続けた。

彼らが奮戦し優位に進む戦場の推移を、俺と団長は王都が一望できる丘の上でじっと見据えていた。

今の時点では率いてきた魔境騎士団は前線に投入せず、周辺域を包囲するに留めている。

「さて、この先で俺たちはどう動くべきかな」

リュート王国の王都は一国の王都にしては規模も小さく、彼らだけでも十分対処できると思えたからだ。

逆に全軍で突入すれば、地理不案内な俺たちは却って戦況を混乱させてしまう恐れもある。

そう考えた俺は、隣で戦況を見据えていた頼れる師匠に向き直った。

「団長、王都奪還は俺たちが傍観しているだけでも決着がつきそうですね。

一国の王都といっても、カイラールと比べると予想以上に規模は小さいようですし」

そう、リュート王国の王都はどう見ても王宮には相応しくない。規模だけでなく雰囲気も何となく……。

「私も聞いた話ですが、かつて三国に分かれる前の王都はヴィレ王国にあり、今のリュート王国とカイン王国の王都は要塞都市として前線に配置されたものだそうです。万が一帝国軍がヴィレの王都を目指した際には、後方を扼する役割を担っていたと」

なるほど……、規模の割に防衛力は高い。でも王都としての体裁は追いついていないということか?

先代の王と亡くなった当代の国王、王都としてはまだ二代分の治世しか経過していないもんな。

独立国となったあとに積み上げた歴史も短く、王都を拡張する時間と余力も十分ではなかったのだろう。

「なるほど……、では団長、今の戦況を鑑み俺たちは次の準備に入った方が良いと思うのですが?」

「ふふふ、私も同じことを考えておりましたよ。

誰か、ゴルパ将軍をここに!」

伝令の者が走り出ると、暫くして攻撃軍の支援に当たっていたゴルパ将軍がやって来た。

そして馬を降り、俺たちの前に跪いた。

「将軍、悪いね急に呼び出して」

「なんの、私も意見具申したき事柄がございましたゆえ、丁度良い折でした」

ほう、将軍も何か考えていたということか?

面白いな。

「では先ずは将軍の意見を聞かせてほしいな」

「ではお言葉に甘えて申し上げます。

既にリュート王国の奪還は確定したものと見てよろしいかと。なれば早々に次の手立てに移られるべきかと」

「次の手立てとは?」

「初戦で我らは『時の勝負』に勝ちましたが、今後も勝ち続ける必要がございます。

そうなれば敵軍は時世の変化に付いていくことができず混乱し、同様のことを繰り返すでしょう」

『時の勝負』か……、言いえて妙だな。

・敵は帝国の内乱終結と南部戦線の勝利を知らない

・帝国に遠征した一万の余剰戦力があったのを知らない

・その戦力がほぼ無傷で凱旋したことを知らない

・とどめは、俺たちが捕虜を解放して敵国であった三国を救うため遠征軍を派遣したことをまだ知らない

だからこそ奴らは安心して三国の攻略に勤しみ、後方(リュート王国及びヴィレ王国)にはそれなりの数の守備兵しか残していない。

敵軍が新たな事実を知って兵を再集結させて反撃に出るのが早いか、俺たちの奪還作戦が早いか、まさにこれからも『時の勝負』となるだろう。

「ちなみにヴィレ王国の王都は守りが固いと聞いたが、将軍はどう思う?」

その問いに対し、将軍は今まさに陥落(再奪還)されつつあるリュート王国の王都に視線を向けると、俺に向き直って笑った。

「たとえ防壁の守りは固くとも、運用するのは人にございます。備え(情報)と力(兵)がなければ、リュート王国の王都と同様です」

確かにな。今の敵はカイン王国の攻略に動いているらしいが、これまでと違い簡単にはいかないだろう。

敵軍も不意を衝いてヴィレ王国の王都、リュート王国の王都を矢継ぎ早に落とした。

だが、カイン王国は少し事情が違う。

幾ら上層部の思考が『お花畑』でも、兄弟国二国の惨状を知る時間的余裕はあったはずだ。

そうなれば今度は我が身と思い、多少は備えるだろうからね。

そのため侵攻軍も奇襲ではなく強襲にならざるを得ないはずで、ほぼ全軍を率いて攻略に出ていることだろう。

「次もまた、今の所は空き家も同然、そう言ってるのかな?」

「はい、ご賢察のとおりです。

カイン王国が持ち堪えている間に、我らはヴィレ王国の王都を奪還した上で後方を安泰とし、カイン王国の救援に向かうべきです。

そう言う意味でも『時の勝負』となるかと……」

ふふふ、同じ事を考えていたということだな。俺と団長もそれを考えて将軍を呼び寄せたのだからね。

横を見ると団長も大きく頷いていた。

「ゴルパ将軍の仰る通りですな。想定の域を出ない話ですが、最も南でカイン王国の攻略にあたっている敵本隊は、既に一万五千名を割り込んでいるでしょう。

ヴィレ王国の王都を空にする訳にもいきませんからね。

ならば各個撃破で順次敵の戦力を減らし、最後に本隊を殲滅する好機かと思われます」

確かにそうだ。そもそも彼らが三国を支配するには兵力が足らない。

それに俺たちが帝国領を超えて三国に介入するとは考えていないだろう。

政治的な拠り所もなく、ましてそんな余力もないと踏んでいるからこそ、今回の侵攻を決断したのだろうし。

本国であるイストリア正統教国から多少は増援が出されているとはいえ、リュート王国は縦に長く実効支配を進めるには兵を分散して進撃するしかない。

そして本隊は一国を占領するごとに維持するための兵を残し、軍の規模を落として次の国へと攻略を進めている。

であれば、敵本隊がカイン王国の攻略を進めている今こそ、後方のヴィレ王国を奪還する好機に他ならない。

「では将軍に依頼したい。これより将軍は麾下の五千騎を率いて先発し、我らが転進する前に進路を整えてもらえるかな?

攻城戦を進めている歩兵部隊が残していった騎馬は替え馬として与えるので、今のうちに我らがヴィレ王国の王都に至る道を拓いてほしい」

「はっ! 承知いたしました。我らは直ちに出立いたします」

彼もまた故国を思い、逸る気持ちもあるのだろう。

嬉しそうに返事をすると、直ちに出立の用意を整えて動き始めた。

そして日が沈み辺りが暗闇に包まれる前に、ゴルパ将軍率いる五千騎は案内人を残してヴィレ王国方面に出立し、そのあと間もなくしてリュート王国の王城は凱歌に包まれた。

第一王子に招かれた俺たちは、制圧が完了した王都に入り王宮へと進んだ。

宮殿内はそれなりに戦禍によって荒れていたものの、既に最低限の体裁は整えられていた。

「公王陛下をお招きするにあたって至らぬ部分が多く、誠にもって恐縮ですが……」

そう言って第一王子は、俺を玉座に座るよう勧めてきたが……。

だが俺にはそんなつもりはない。

「俺は貴国に助力を申し出た友邦、玉座には然るべき者が座るべきであろう?」

「ですが……、全ての王族は既に処刑され、私は虜囚の身です。民の解放がなった今、この国はウエストライツ魔境公国の一部として……」

そこまで言いかけたところで、俺は手を前に出して第一王子を制した。

これまでの彼の態度、そして手腕はもう十分に手応えを感じていたからだ。

「クラージユ王よ、兵たちの声は聴いていたかな?」

「???」

そう、本人には自覚はないかもしれないが、兵たちは既に彼を王と認めているのだ。

だからこそ彼の命には一糸乱れず戦い、今日の錚々たる戦果を残している。

「今この時点で貴方を自由な立場として解放し、今の指揮下にある五千の兵を預けたい。

これからはリュート・ヴィレ・カインの三国を統べるクラージユ国王として、先ずはリュート王国の残兵を糾合して北進し、旧領の全てを奪還のうえ侵攻したイストリア正統教国軍を駆逐してほしい」

そう言った瞬間、第一王子は仰天して震えていたし、彼の兵たちもまた戸惑いつつも歓喜の声を上げ始めていた。

「で、ですがそれでは、余りにも我らに都合の良いお話では……」

「先日の捕虜引見にて、元ヴィレ国王を庇おうとしたゴルパ将軍に対し、俺が罰を与えるといった言葉を覚えているかな? これは貴方に与える相応の罰だよ」

この俺の言葉に対し、傍らに居た団長は鼻を鳴らして軽く笑った。

この対処が俺のテレ隠しだと気付いたのかもしれない。

「これから貴方の歩む道は平坦ではない。荒らされた三国を再建するだけでなく、帝国と我が国に対し相応の戦後賠償を行わねばならない。

せっかく統一しても領土の一部は割譲しなければならないかもしれない。

俺は貴方にその業を背負わせようとしているのだからね」

そう、これは俺にとっても利益のある選択なのだ。

戦争責任を問い、かつての三国の国王は全て廃する。

ただそれをして更に三国を併合でもすれば、未来に大きな禍根を残す。

帝国の意向は不明だが、第三皇子から『北の仕置きはお任せする』との言葉ももらっている。

加えてそもそも俺たちに三国を併合する人的余力はない。

そんなことをすれば、安土桃山時代にあった秀吉の奥州仕置で、分不相応の大領を与えられた木村吉清・清久親子の二の舞になりかねない。

無理にかき集めた『にわか』の人材たちで領内の内政や治安維持ができるはずもなく、反乱や離反の温床となって逆に国力を損なうことになる。

史実でも件の木村親子は、諸説はあるが十倍から数十倍となった新領地を治めることができず、領地は乱れ、せっかく拝領した三十万石を後日に没収されているのだからね。

結果として俺たちは信用できる者に国を預け、必要な『清算』を済ませた後は盟友として共存する。

これが一番の選択だと考えていた。

「俺たちは遠征軍を率いて明日よりヴィレ王国の奪還に向かう。ゴルパ将軍はそのために先発しているが、新王はリュート王国内から敵勢力を一掃して我らの後方を固め、奴らの逃げ場を絶って包囲網を完成させる役目をお願いしたい」

「はっ、温情ある陛下のお気遣いに心より感謝し、ありがたく大命を拝します」

いや……、温情とか気遣いとか、まして大命とかではないからね。

これは罰……、だよ? その点は忘れずにね。

「ただ貴国とイストリア正統教国との国境は長大だ。王都は奇襲により簡単に奪還できたが、全ての敵軍を国境線の向こうに押し返すことは簡単ではないことだろう。故にゴルド将軍率いる三千騎を支援のため残していく」

ここまでに収集した情報によると、新たに正統教国側より進出した軍により最低三か所は橋頭保を築かれており、今なお国土を侵食されているからね。

それにゴルドの部隊は俺たちにとっても保険となる。

新王に異心がなければ、ゴルドは味方として存在感を示すはずだ。

「ゴルド、リュート王国の国土は縦に長く守りにくい、なので万が一に備えて『手段』を残していく。

運用は一任するが、アレの統制指揮官としてマークも預けておくので戦況に応じて使用を許可する」

「はっ、ありがとうございます。

我らはリュート国王陛下を支え、侵攻した敵軍を掃討して後方を固めさせていただきます」

「公王陛下、お気遣いありがとうございます。我が国の恩人たる陛下には感謝を、感謝を申し上げます。

この身が虜囚であったことを終生忘れず、この恩をお返しするまで公国のお力になるとお約束します」

「まぁ……、多少の負い目はあるかもしれないけど、今後は友邦として、ね。

俺たちにとって帝国も、かつては敵として戦った相手だったしさ」

まぁ……、厳密にいえば敵は第一皇子陣営だけどね。

ただ、かつては直接戦場で刃を交わした敵兵でも、今は国民として受け入れていることも大きいと思う。

この日より魔境公国は、カイル王国、フェアラート公国、グリフォニア帝国に続き、新たな盟友となる可能性のある国を得ることになった。

それはまだ小さな存在ではあったが、いずれは……。

そして俺たちの転戦はまだ続く。最大の因縁にケリをつけるために。

最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。

次回は9/09『知将の選択』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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