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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 460

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リュート王国の王都を奪還した翌日、俺たちは次の目的地であるヴィレ王国の王都を目指し進軍を開始した。

ただこれまで俺が直接率いる遠征軍の部隊は、まだ一度も敵軍と交戦していない。

なので負傷者や脱落者もなく、遠慮なく快足を維持したまま進撃を続けていた。

そもそもリュート・ヴィレ・カインの三国は、元々一国だったものを縦に三分割したような形だったので、それぞれの国土は細長く伸びた形となっており、東に向かって移動するとすぐにヴィレ王国との国境に差し掛かった。

「意外と早く国境を越えたな? この分では明日にでも王都の攻略に入れるか?

俺たちにはこの先、本命であるカイン王国での戦いも控えているしな」

三カ国に分かれる前、長年帝国と戦っていた三国の王都は、防衛を考え帝国との国境から距離を置いた位置にあった。

なので比較的に帝国の国境から近いリュート、カイン王国の王都とは異なり、国境を越えた後もずっと東へと進む必要があった。

いささか面倒ではあるが、基本戦略は分散した敵軍の各個撃破と退路を遮断した殲滅だ。

なので俺たちは一つ一つ北側から敵を追い込んでいく必要がある。

「そうですね。無理に進めば今日中にヴィレの王都に辿り着けるでしょうが、到着してもすぐに攻城戦となるでしょう。兵たちの疲労を考えると無理がありますからね」

俺の独り言だったが、隣で馬を進めていた団長が応じてくれ、更に俺が懸念していることも的確に示していた……。

「しかし……、我らの快足を以てしてもゴルパ将軍の部隊には追い付きませんな?

たとえ彼らに替え馬と地の利があるにしても、これは驚くべき進軍の速さかと」

「だよね。ただでさえ彼らは露払い(途中の補給拠点の整備)を済ませてくれていることだし、王都までには追い付かないとね。

流石に今度は三百年の歴史ある王都だ、防衛力もそれなりに高いと思うし……」

「ですね、兵数の面でもゴルパ将軍が率いる五千では厳しいでしょう。おそらく将軍も下手に攻撃して防備を固められることは避け、手前で兵を埋伏させているかと」

「では俺たちも察知されぬよう、国境から先は物見を先行させながら警戒して進むとようか」

当初は俺や団長も、そんな程度の認識でしかなかった。

だが現実は……、ゴルパ将軍が指揮する神速の用兵は、俺たちの予想を遥かに超えるものだった!

俺たちがヴィレ王国の王都まであと半日以内の距離まで迫り、万全を期して早めに宿営の準備を整えるため全軍を一時停止させた時、ゴルパ将軍が遣わしたと思しき早馬が到着した。

しかも、驚くべき内容を伴って……。

「は? 済まない、もう一度言ってくれないか?」

俺は思わず使者の報告を聞き返さずにはいられなかった。どう考えても早すぎるからだ。

ただ現実は俺や団長の想像より遥かに斜め上を行っていた。

「はい、我らは昨夜のうちに王都近くまで到着し、物見を放ったところ敵は慢心し警戒に隙がありました。

将軍は直ちに夜襲を決断されると、深夜になって王都へと突入し奪還に成功いたしました!」

「……」

聞き間違いじゃなかった。

本当にたった一晩で王都を陥落させたってことか……。

ヤバくないか?

「たった五千の兵力で……、信じ難いほどの大戦果だけど損害も大きかったのでは? それなりに守備兵もいたと思うんだけど……」

「実は……、リュート王国に侵入した時点で将軍はヴィレ国内の各地に遣いを走らせておりました。

王都奪還時には将軍の呼び掛けに呼応した二千の軍が合流し、総勢七千名で攻撃を加えました」

「ほう……、この短期間で二千もの兵を糾合されたと?」

これには団長も驚きを隠せなかったようだ。

続けて団長が使者に質問した。

「それでも寄せ手は、王都に立てこもる敵軍の三倍には届かなかったのではありませんか?

それなのにこの短期間で奪還されたと?」

「はい、敵も三千程度の兵を残しておりましたが、ゴルパ将軍は王都の構造も熟知しております。

抜け穴より密かに兵を忍び込ませ、敵兵が寝静まった深夜に城門を内から開いて王宮に突入しました。

そのため戦いは一方的なものとなり、朝までには逃げ散った敵軍の掃討も完了しております」

「それは……、見事な采配ですな。敵に倍する軍勢で内部から寝込みを襲ったとなれば、味方の損害もさしたるものではなかったことでしょう。

それにしてもゴルパ将軍の人望は並々ならぬもの、その結果でしょうな」

団長の言う通りだと思う。

俺も彼ら五千騎を先遣隊として出したつもりだったので、正直言って具体的な戦果は期待していなかった。

それにしても第一王子だけでなくゴルパ将軍も然り、結果的に俺たちの手を一切借りず自らの手で自国の王都を奪還してみせた。

これが持つ意味は非常に大きい。

「現在も将軍は国内に残っていた兵を糾合し続けており、今も続々と兵が集まっております。

そこで将軍は新たに参じた者たちを再編成し、一部を王都の治安維持に残すと、七千騎を率いてカイン王国との国境まで進出しております」

はやっ! もうそこまで対応しているのか?

『時の勝負』と言った将軍の言葉通り、俺たちより二歩も三歩も先に行かれている気がする。

「そのため公王陛下の軍を新たな合流地点までご案内するよう、将軍より申し遣って参りました」

三国の奪還は時の勝負と言っている以上、彼らもまた必死なのだ。

ただ次の敵は油断ならないとゴルパ将軍も踏んでいるのだろう。

「承知した、して合流地点の方角とこの場所からの時間的距離は?」

「はっ! これより真南に、騎馬で半日も掛からない距離にございます。その先の国境をなす山脈を越えればカイン王国の王都は目の前です」

「見事なものですな。敵となれば厄介な相手ですが、タクヒールさまの味方となった今は心強いものです」

団長も目を細めて感心していた。

人としても信頼できるゴルパ将軍が、新しく三国を束ねるリュート王国第一王子を支えてくれれば……

、この先は安泰だな。

そのためにも……。

「残るは敵の本隊、ただロングボウ兵によるダブリン戦術は厄介です。直接国境を接するリュート王国軍以外は未知の戦術である可能性も高いでしょう。

タクヒールさま、ここでの宿営は撤回し、我らもいち早く将軍に合流すべきかと」

そう、ここまでは上手くいった。

いや、うまく行き過ぎたと言っても過言ではない。

だけど問題はこれからだ。

団長の進言に応じて俺たちは進路を南へと転じ、新たな戦場に向かって先を急いだ。

転進した俺たちは日が沈む前にゴルパ将軍が部隊を展開する拠点へと辿り着き、そこで軍を合流させた。

彼が集結地点に指定した一帯は、ヴィレ王国とカイン王国の国境に沿って続く低い山脈が更に一段低くなった場所で、宿営地に定めた林を抜けた先には、カイン王国に続く小径が急な坂道を駆け上がるように伸びていた。

「なるほど、敢えて最短距離の山を越えて東側からカイン王国に入って進むより、山の傘の下に隠れてヴィレ王国内を進み王都に肉薄した訳か。

これなら山の向こうにいる敵からも察知されにくいな」

「ですな、高さはさほどもありませんが、それでも峰々が障害となっていますからね。互いに見通しのきかない地であれば、敵は我らの陣容を窺い知ることもできません。何より自国を進めば地の利は将軍側にあります」

部隊を合流させた俺と団長が話しているなか、ゴルパ将軍が駆け寄って来た。

「公王陛下、お迎えにも上がれず大変失礼いたしました。また、進軍でお手間をお掛けしたことも深くお詫び申し上げます」

「ははは、何ひとつ詫びる必要はないと思うよ。将軍の見事な采配に驚きはしたけどね。

それで……、敵軍の状況で何か分かったことは?」

「はっ、現在複数の物見を各所に放っておりますが、カイン王国の王都は抗戦虚しく陥落した模様です」

「そうか……、それで王族はどうなった?」

「どうやら王都が陥落する前に逃げ出したようですが……、残念ながら捕縛されて全ての王族は処刑されたそうです」

「そうか……、全員か。酷い話だな」

ヴィレ王国やリュート王国でも同様の蛮行が繰り返されていたので予想はしていた。

ただ王族には女子供も含まれて居ただろう、それを奴らは……。

「我らも急ぎ軍を進めて参りましたが一歩及ばず、真に申し訳ありません」

そう言って将軍は苦悶の表情を浮かべると、深く頭を下げていたが、俺の気持ちは違う。

非情な話だけど……、そもそも俺たちに敵対していた王族を救うことより、民を救うことを目的としていたからね。

「ゴルパ将軍、この件で謝罪は不要だ。俺たちは最善を尽くしたがカイン王国は滅ぶべくして滅んだ、ただそれだけのことだ」

冷徹な見方をすれば、彼らは我が身の安泰を図り王都の民と戦う兵を捨てて逃げ出した。

王たる者の責任を放棄して、ね。

「これで……、かつてのディバイド大王の血を引く王族は一人を残して全て滅んでしまった。

この先リュート・ヴィレ・カインの三国が歩む未来は、統一王として立つクラージユ殿にお任せするつもりだ」

「な、なんとっ!」

「新王の統治する未来を作るため、これから俺たちは各国の仇をとるだけさ」

「あ、ありがとうございます。感謝を、この上なき感謝を……」」

そう言うと将軍は非常に驚いた様子で顔を上げた。

あ、そうか……。まだ将軍には言ってない話もあったな。

「既に暫定ではあるが、リュート王国は捕虜から解放された新たな王と兵たちにより、国内の侵略者を掃討の上で俺たちの後方を固めるべく動いてもらっている」

「おおおおおっ!」

「新王はかつてのリュートヴィレ=カイン王国の血を引く王家の末裔として、三国を束ねてもらう予定だ。もちろん将軍たちもヴィレ王都奪還の功により戦後は解放して合流してもらう予定だからね」

「な、なんと!」

「特に将軍には、新王の右腕として統一された国内を軍事面で支えること、それを期待しているからね。

これにより三国は新たな未来を歩めるはずだ。自分たちの力によって、ね」

「あ、ありがたく! この命に代えましても!」

将軍は勢いよく平伏したが、万感の思いが溢れて止まらず、泣いているようだった。

歴戦の威風さえある老将の肩は、ずっと小刻みに震えていた。

「その未来を勝ち取るためにも、我らには済まさなくてはならないことがある。

あいにく我々には土地勘がないが、ここから先は将軍の知略に期待したいと思うけど?」

ここまで言うと、やっと将軍は顔を上げた。

その顔は既に戦う戦士の顔に戻っていた。

「まず前提となるカイン王国に侵攻した敵軍の数ですが、偵察により二万前後と推測しております」

「二万ですと!」

ちっ……、思ったよりも多いな。

団長が驚きの声を上げたが、それは俺も同じ気持ちだった。

本当なら敵は既に占領したリュート王国及びヴィレ王国、それぞれの王都の守りに相当数の兵を残した結果、多少の補充はあったとしても本隊は一万五千を大きく割り込んでいると思っていたからだ。

現状で俺たちは将軍が新たに糾合した兵も併せても一万七千でしかない。

「はっ、当初は撤退したイストリア正統教国の兵は二万弱でした。ですがリュート王国を落とした時点で本国からの補充もあった様です。それに加え……」

「奴らは少なくとも五千、最大で一万名近くを新たに動員したと?」

そう言って団長は警戒する様な顔になった。俺だけでなく団長も想定外だったらしい。

しかも『それに加え』何があった?

「恥ずかしながら我々からも祖国を裏切った者たちが相当数いたようです」

そう言いながら将軍は苦渋の表情を浮かべていた。

察するにヴィレ王国軍からも離反者が出ているのだろう。

カイン王国のことは知る由もないが、捕虜引見の場で醜態を晒した元ヴィレ国王や、傑物であった第一王子を排除しようと動いていたリュート王国、この二国の内情を知ればさもあらんと思ってしまう。

正しい正しくないの判断は別にして、故国の実情を憂い、国が存続することに疑問を感じる者たちが出ても無理のない話だと思う。

「旧体制に愛想を尽かしたか、それとも我が身可愛さの余り侵略者に対し尻尾を振った。そう言うことか……」

「残念ながら公王陛下の仰る通りで。ただ我らもヴィレ王国内に残った兵を引き続き糾合しております。

現状ではここに連れてきた者が二千、王宮の守りに残した者三千を含めて、五千の兵が集まっております」

なるほどね。ヴィレ王国が抱えていた病巣は深刻だが、将軍の呼び掛けによって兵たちが奮起した訳か?

この短期間でそこまで兵を集められたのは、ひとえに将軍の人望の賜物だろう。

「カイン王国の王都が陥落した今、我らは『時の勝負』から『虚実の勝負』へと方針を変更したく思います。公王陛下には申し上げることもないかも知れませんが、我らには利とすべき点があります」

そう言って将軍が提案した作戦の要旨は三点。

ひとつ、地の利。これまでただひたすら各国の王都を目指していた彼らは、戦いに地形をいかせないこと

ひとつ、人の和。新たに本国より派遣された軍や転向者を抱え、人数に応じた指揮統率が難しいこと

ひとつ、天の時。友邦となる第一皇子軍の壊滅や、遠征軍派遣の情報をまだ知らず、さらに今の彼らは自ら『足枷』を抱えていること

将軍はそれらを踏まえて作戦案を提示した。

「なるほど、面白い作戦案ですな」

団長が感じた通り、この作戦なら俺の不安は解消されるし、数の不利も補うことができる。

まして国土(地形)を味方に付けるのだから……。

「我らは彼らが擁する必殺の陣形を打ち破られた、公王陛下の戦術を聞き及んでおります。

また、遠征に際し長年に渡り彼らと対峙してきたクラージユ陛下からも話を伺って参りました」

ははは、完璧だな。歴戦の将の前では俺の心配も杞憂に過ぎなかったということか。

それに加え、俺の話が彼らに伝わっていたことが驚きだけど……。

「ではゴルパ将軍の献策に従い、我らはここで彼らを討つとしようか」

俺は提案された内容に幾つか追加事項を加え、将軍の作戦案を採用することにした。

今度こそ『闇の使徒』を根絶やしにする!

その強い覚悟を持って。

最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。

次回は9/16『略奪者の思惑』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

※※※お礼※※※

ブックマークや評価いただいた方、本当にありがとうございます。

誤字修正や感想、ご指摘などもいつもありがとうございます。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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