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I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~ – Chapter 468

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タクヒールらがカイン王国の王都を奪還したころ、ゴルパ将軍に率いられた騎馬隊五千騎はヴィレ王国内を東へと疾走していた。

既にカイン王国側より王都を発し、東へと向かっていたイストリア正統教国軍一万三千に先回りするために……。

地形を熟知し速度をいかし駆け抜けた彼らは翌日、敵軍に先んじてヴィレ王国の王都に近いカイン王国との国境地点へと到着していた。

「良いか! 我らは数の不利を補うために祖国の大地を味方とした奇襲を敢行する。

これより部隊を分かち埋伏する!」

国境をヴィレ王国側に抜けた先には、見通しのきかない狭い森を抜ける隘路があり、そこでは大軍を展開することができない。

敢えてそこを決戦の地に選んだゴルパは、率いた隊を一千騎ずつ五隊に分かち、各方面に埋伏した。

二隊は森の出口側に、入り口側にも同じく二隊が移動し姿を隠したが、彼が敢えて編成を一千騎としたのには確固たる理由があった。

ひとつ、狭い隘路を抜け来る敵軍の頭を抑えるには、少なくとも一千騎程度の兵が必要だったこと。

ひとつ、逆に一千騎以上の集団になると、隘路を出たとはいえ自由に展開出来ず、そもそも埋伏できる場所もない。

ひとつ、二隊が左右から交互に出口(入り口)側に出た敵の先頭(最後尾)だけを攻撃することで、隘路に蓋をすること。

そして、入れ替わり攻撃することにより敵軍に味方の総数を計らせないようにし、数の不利を悟らせないためだ。

「良いか! 我らの目的は勝つことではない。

少しでも長く敵軍を押し留め、少しでも多くの戦力を削り取ることだ!」

「「「「「応っ!」」」」」

二倍以上の敵軍に対し、ゴルパは自軍を捨て石にしても構わないと覚悟を決めていた。

『祖国を蹂躙した卑怯者たちに一矢報いること』

『恩人たちに感謝し、彼らの到着までに少しでも負担を減らすこと』

『祖国を守るため、全滅してでも敵軍の動きを封じること』

これら思いは、彼が率いる兵たちも同様だった。

彼らは眦を上げて指示された配置へと散っていった。

ゴルパの指示した通り、各隊は隘路への出入口を窺える後方の森に移動すると兵を埋伏した。

だが……。

戦場全体を俯瞰した者から、状況に応じた指示が必要とされた今回の作戦は、本来なら致命的とも言える大きな欠点があった。

「ふふふ、本来ならばこれほど距離を置いた配置で、敵に悟られぬよう連携するなどとても無理な話じゃが……、ここはミゼル殿のお力をお借りしますぞ」

森を抜ける街道が一望できる高所に立ったゴルパは、彼の傍らに立つ若い戦術士官に語り掛けた。

この男は魔境騎士団の中でも公王直属の特殊部隊らしく、別働隊が先行する際に公王から預けられた者たちであった。

ゴルパがミゼルに言った通り、通常であれば狼煙でも上げない限り連携は不可能な距離に各隊は散っている。

そうなれば詳細かつ臨機応変な指示は届かず、伝令を走らせたとしても戦局に応じた対処となると間に合わない。

だが……、それを一気に解決できる手立てが有れば?

「もちろんです。我が主君の命に従い、我らが閣下の目となり耳となりましょう。

幸い今日は好天です、我らの合図は森の向こう側に潜伏する隊にも瞬時に届きますので」

自信あり気に答えたミゼルには相応の理由があった。

今回の戦いでゴルパ将軍が別働隊を率いて動くにあたり、タクヒールは敢えてミゼル指揮下の二百騎を同行させていた。

ミゼル自身も過去に子弟騎士団として従軍し、初陣でイストリア皇王国軍と戦い、その後はブルグの森殲滅戦にてタクヒールが指揮したダブリン戦術をその身で体験していた。

その後に彼は学園を卒業すると、志願して傭兵団(魔境騎士団)に入団し、ヴァイス騎士団長直属の戦術士官に抜擢されていた。

彼はヴァイスにより日々軍略を鍛えられ、その後は帝国軍との戦いも経験するに至り、彼はタクヒールの考案した広域通信を司る部隊の指揮官として栄逹し、今や二百騎の通信隊を率いている。

そんな彼の配下には、もたらされた情報を確実に中継し、独自の判断で運用できる経験豊かな五人の分隊長も預けられていた。

彼の指揮する通信隊は、常に広域に展開した味方と連携を保つため、狼煙や気球など幾つかの通信手段を備え、指揮伝達を確実に行えるよう特化した部隊だった。

「それにしても、このような手段で部隊間の連携を図るとは……、公王陛下と率いられる軍は常に我らの想像を遥かに超えておるな」

そう言って苦笑しながらゴルパは改めて身震いした。

本来ならば狼煙のような曖昧な連絡手段か、伝令を走らせる以外に戦場での広域通信手段はない。

だが彼らは、それを一瞬でできてしまうという。

「そうですね、常人ならざる叡智を備えた方ですから。もっとも……、平素はそんな素振りを一切見せられないため、我らとて学生時代は陛下の真価を知らず誤解しておりましたので……」

そう言ってミゼルもまた苦笑した。

彼もまた『反ハーレム男爵』の急先鋒として、ある時点まではタクヒールと事ある毎に対立していたのだから。

そんななか、ミゼルの配下が彼らに駆け寄って来た。

「申し上げます! 中継点より光を確認、間もなく敵軍の先頭が国境を越え森へと入るようです!」

「了解した。では閣下」

「うむ、それでは各隊に戦闘準備を告げる通信をお願いしたい。作戦は予定通り、先ずは敵軍が森を出てきたところから叩く!」

「はっ! 通信隊に下命、各隊は戦闘準備の上、指示があるまで待機するように伝えよ」

この時ミゼルは率いた二百名の通信隊を十隊に分割し、本営と各方面に散った部隊には一隊ずつ配置、二隊を分散させて偵察に出し、残った三隊を念のための中継役として森の各所に配置していた。

各隊ごとに磨き抜かれた大きな鏡を複数所持しており、その鏡が反射する光を見逃さない携帯用望遠鏡も配備されている。

彼らは光の反射パターンにより、予め定められた何通りかの符丁を発信、読み取る訓練も受けていた。

そのため直接でも数キル、中継をすれば十数キルの距離も発光信号のリレーによって即座に連絡が可能だった。

一方、歩兵が中心で財貨を満載した車列を連ねたイストリア正統教国軍の歩みは非常に遅かった。

そんな彼らもやっと、目的地であるヴィレ王国の王宮まで半日あまりの距離まで迫っていた時だった。

「なかなか歩みが進まないというのも少々もどかしいな。まだ半日も先か……」

「ははは、往路と比べ今度は更に荷が増えているのだからな。狂信者(聖教騎士団)に分け与えたとはいえ、三国に中で最も富んだカイン王国の財貨は膨大だ。歩みが遅くなるのも仕方あるまい」

アゼルの言葉に対しリュグナーは笑って答えた。

基本的に彼らはカストロ始め、彼らが配した兵たちを信用していない。

だからこそ彼らは、これまでリュート王国、ヴィレ王国と二つの国で奪った財貨を全て手放さず、率いた軍に伴って輸送していた。

しかも収穫時期であるため、立ち寄る先々の村や町で食料を徴発することができ、率いる荷駄の多くはこれまでに奪い尽くした大量の財貨であった。

「だがリュグナーよ、不安もある。各国の王都は落としたが、それでも多少の残党共は残っているだろう?

我らも各所に兵を残しており、今は一万三千五百に過ぎんからな。早急にヴィレ王国の部隊と合流せねばならん」

「たしかに……、な。念のためヴィレの王都にも遣いは走らせてあるが……。奴らめ、奪い取ることに夢中なのか何の連絡も寄越してこないからな」

彼らの知らないことだが事実は異なる。

ヴィレ王国の王都は既に奪還され、王都付近の街道沿いにはゴルパ将軍が配した兵が潜んでいたため、彼らの放った遣いは悉く捕縛されるか、使命を果たせず討ち取られていたのだから……。

「念のためだ、前衛と後衛は歩兵部隊で人垣を作り、中軍にはロングボウ兵を配して即応体制を整えようと思うが?」

これまでの勝利に驕り、楽観的なリュグナーに対しアゼルは慎重だった。

「そうだな、それが良いだろう。戦いでは最も頼りになるのが奴らだからな。まして他の兵は消耗品だが、奴らは簡単に補充がきかんからな」

彼らにとって最大の打撃戦力は二千のロングボウ兵であり、その攻撃力を以てすれば各国の残党などは簡単に対処できる。

これまでの戦いでもロングボウ兵の挙げた戦果には、彼らも絶対の信頼を置いていた。

国境を越え森の隘路に入る時点で彼らは隊形を改めながら、数キロにも及ぶ長い縦列になって進んでいった。

この隊形が後に大きな災いとなるとも知らずに……。

街道に沿って広がる森の隘路の部分は、およそ5キルほどあった。

その前後にも森は点在していたが、所々で生い茂った木々は林や草原へと変化し、部分的に兵が展開できる場所もあった。

地形を熟知するゴルパは、そういった場所の近くに分散した兵を隠し『時』を待っていた。

そして……。

長く伸びた敵軍の隊列の先頭が隘路部分を抜けようしたとき、ゴルパは決断した。

「今じゃ! 出口の東側に潜ませた隊に攻撃開始の指令を! 騎兵の利をいかし先頭部分にのみ一撃離脱攻撃を始めよ! 然る後に西側より新たな部隊が攻撃を行え! 侵略者共に鉄槌を!」

ゴルパの指示により隘路出口に潜んでいた二千騎のうち、東側に陣取った一千騎の中から五百騎が突如として姿を現すと、正統教国軍の先頭に襲い掛かった!

彼らは森が途切れた部分を全速で駆け抜けながら、長い縦列の敵兵を分断し刈り取ったのち西側に走り去った。

だが……、間髪入れず今度は西側に埋伏していた五百騎が彼らを襲って東側へと走り去り、今度は元から東にいた残る五百騎が、そして今度は西の五百騎が順に襲い掛かり、順次立場を入れ替えて延々とそれを繰り返した。

そうすることで、まるで無限とも思える敵軍が波状攻撃を掛けているように錯覚させることだった。

このような形で、隘路を抜けた先頭集団の歩兵たちは次々と削られていった。

リュグナーらは隊列の中軍にあったが、突如として前方で始まった戦闘に苛立ちを隠せなかった。

長く伸びた軍列では、彼らの位置から先頭の状況が何も見えず、ただ戦いの喧騒が潮騒のように響いていただけだったからだ。

「ど、どうなっておる! 先頭で何が起こっているのだ!」

「て、敵襲です!」

その言葉にリュグナーは更に苛立ちった。

「そんなものは分かっておるわ! 聞いているのは敵軍の総数と戦況だ!

ここからでは何も分らんではないか!」

彼の怒声が鳴り響いたころ、やっと先頭から伝令が走り寄って来た。

「この先、隘路を抜けたところで敵の騎馬隊による波状攻撃を受けております。その数、およそ五百!

息も切らさぬ勢いで一撃離脱を繰り返しております!」

「たった五百か?」

「いえ、敵は五百騎単位で攻撃を加えて来ておりますが、実数は不明! 少なくとも数千は下らないかと」

「ちっ、忌々しい奴らめ! 森の中からも兵を前へと押し進めて数で覆いつくせ!

一撃離脱を何度も繰り返せば、いずれ息切れする。歩兵を並べて盾とし、ロングボウ兵を押し出して奴らを殲滅しろ」

そう言って中軍のロングボウ兵が前方へと移動を開始した時だった。

今度は後方から戦いの喧騒が沸き起こると同時に、血相を変えた兵が駆け込んで来た。

「も、申し上げます! 森の後方からも新手です! 五百騎ほどの集団が巧みに連携し、最後尾に波状攻撃を加えております! 後続は森に潰走を始めております」

「くっ……、たかが寄せ集めの残党に過ぎんというのにか!」

「仕方あるまい、我らの軍の大部分は森に閉ざされ遊兵と化しているのだからな」

「ではアゼル、貴様はどうしろと言うのだ!」

「先ずは指揮官が落ち着くことだ。我らの圧倒的優位は変わらん」

「確かに……、な。では貴様に策があるのなら指揮を頼む」

「ああ、ロングボウ兵の活用なら任せてもらおう。伝令! 以下のことを早急に全軍に伝えよ!

ひとつ、後続の兵は森の中に下がり、敵軍を引き込む縦深陣を作り誘きよせること。

ひとつ、前に出したロングボウ兵のうち五百名を後方の縦深陣の対応に充てること。

ひとつ、歩兵を前方の隘路の先に押し出し半円状に展開、その内側からロングボウ兵に対処させる」

このアゼルの命により、奇襲によって崩れかかった正統教国軍はなんとか態勢を持ち直し、防御から攻勢に転じる動きを見せ始めた。

両軍の激闘はこれより新たな転機を迎えることになる。

最後までご覧いただき、誠にありがとうございます。

次回は11/04『覚悟の突撃』を投稿予定です。

どうぞよろしくお願いいたします。

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

I Thought It Was My Second Life, But It Was Actually My Third!~I Will Challenge Unhappy History with Historical Knowledge and Domestic Efforts~

2-Dome no jinsei, to omottara, jitsuwa 3-domedatta.~ Rekishi chishiki to naisei doryoku de fukōna rekishi no kaihen ni idomimasu ~, My Second Life... or So I Thought, but It's Actually My Third Life: Using My Knowledge of History and Domestic Policies to Change the Unfortunate History, 2度目の人生、と思ったら、実は3度目だった。~歴史知識と内政努力で不幸な歴史の改変に挑みます~
Score 7.4
Status: Ongoing Type: Author: Released: 2022 Native Language: Japanese
Born the second son of a baronial family plagued by misfortune, Takuhir became the head of the household at the age of 16 after successively losing his family to calamities. Desperately working on domestic affairs, but being an ordinary man, he was unable to prevent the continuing disasters or restore his domain. He was called incompetent and defeated by a neighboring country’s invasion at the age of 20. Pleading for the protection of his people in exchange for his own life, he awakened to magical skills at the moment of his execution and transferred himself to the past to redo everything. Returning to the time of his birth as the second son of the baronial family, he also regained the sad memories of his first life, living and dying as a Japanese person. Utilizing the historical knowledge gained in his second life in another world and the knowledge of modern Japan from his first life, he resolves to avoid disaster and save his family and companions in his third life. However, being still a child, he cannot achieve overwhelming power or sudden reversals. He starts with steady proposals for domestic reform, earns funds, increases his allies, develops the town, and gradually accumulates power. Can he change history and save his family? Is there a bright future in this world of redoing? The grand rebellion of an ordinary man, who has resolved to fight against a history that brings one disaster after another, now begins.

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