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Just a Rear-Guard, Arms-Crossed Reincarnator—But When I Accidentally Applauded the Hero, I Got Labeled the Mastermind. – Chapter 12

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ただの後方腕組転生者、うっかり勇者に拍手を送ったら黒幕扱いされる。

第12話 黒幕は丁寧に伏線を用意する……

自身の死を悟れるのなら、大抵の者は身支度を済ませるだろう。

それは荷物の整理とか物理的な準備かもしれないし、人間関係の清算であったりするかもしれない。ともかく、死を自覚するほどに皮肉にも未来に思いを馳せて、動いてしまうのが人という生き物だ。

「もっとも、今の私は死者なわけだがね……」

私の死に様は、予想もしないくらい呆気ないものだった。

危険地帯の森に初見で挑み、強力なモンスターを次々に切り伏せ進んでみせた。だからだろうか、油断していたのだ。特別強くないが、毒性のあるモンスターに回復役だったパーティーメンバーが刺された。

そしてそのモンスターは毒ガスを吐き出して、私たちは呆気なく死んだ。通常の冒険者パーティーなら毒の対策として何らかのアイテムを用意していたことだろう。しかし、私たちは仲間の腕を過信するあまり、準備もなく挑んだ。

その結果として、些細なミスで全滅した。

八年前――最強と謳われた冒険者パーティーはそうして終わったのだ。

ただし、私にだけは続きがあった。そう、ラーズシャルテだ。支配の権能を持つ幼い少女。ネクロマンサーとして、死者と共に生きる覚悟を背負っているようだった。

「居場所ができて、良かったね」

横に立つラーズシャルテ・アルルガンを眺めながら、私は思う。

彼女が居場所と定めた英雄オーダーは、私にとっても良き場所になるだろう、と。そんな予感がした。

「……うん。先生も一緒」

エモ・スギルという男は強そうには見えない。だからこそ、恐ろしい。

他の二人は強い。圧倒的に強い。

八年前――最強の冒険者パーティーと謳われた私達が束になっても、その全盛期が万全の準備をもってしても、勝ち目がない。

「この子をよろしく」

「もちろん、君も歓迎するよ。先生と呼ばれていたけれど、師弟関係なのかな?」

「えぇ、似たようなものですよ。スギルさん」

エモ・スギルが嬉しそうに、私の言葉に返事をくれた。

不思議で恐ろしい人だ。

私は強者だ。その私だから他二人との力量差を把握できる。並みの存在では感知すらできまい。だが、エモ・スギルだけは違う。

何も感じない。魔力も、闘気も、悪意すら……。

それだけなら凡夫であると評価したかもしれない。しかし、他の二人が従っているし、慕っているように見える。

私ですら把握できないくらいの強者か、あるいはカリスマなのは確かだ。

「子供に依頼するのも気が引けたからね……。先生さんがいてくれて、嬉しく思うよ。僕はやはりラッキーだ」

「……依頼ですか?」

「うん」

「なるほど」

私とラーズシャルテの力量を試したい、ということだろう。

当然の判断だ。

しかし、他二人はあまりにも強すぎる。戦って力量を示すのは不可能だろう。どうやって我々の力を試すつもりなのか……。

「おや?」

エモ・スギルと、他の二人の意識がズレた。

念話の類だろうか?

ダンジョンマスターなどの特殊存在でなければ、使用できない高等スキルだったと記憶していたが、この八年で変化したのかもしれない。

「魔将さんからの連絡でね、敵襲らしい。帰りながら話そうか」

「……他にもお仲間が?」

「うん。この二人は――オルトリンデと魔人カーラさん。あと二人いてね、裏道の翁さんと仮面の魔将さん、合計五人の組織さ。君たちを入れたら七人になるのかな」

少数だが、信じられない戦力だ。

裏道の翁の名前は知っている。仮面の魔将も同様だ。八年前の時点で有名だった。

それに、聞き捨てならない。魔神カーラだと?

「……魔神カーラとは、初代勇者が封印していた、あの魔神ですか?」

「ほう、この俺様を知っているのか。だが案ずるな、無意味に暴れる気はない。何より、恐れるならそこの女だろう。俺様以上だからな」

「あらあら、失礼ですわ。か弱い乙女ですのに」

「は?」

強いとは思っていた。分かっていた。

しかし、英雄オーダーという組織は一体なんだ? この戦力は一体?

魔神以上の存在など、聞いたことすらない。組織も、それを従えるエモ・スギルという男も、まるで底が知れない。

「朗報だよ。敵襲だと思ったら、勇者が冒険者を引き連れて来たらしい」

「イヒッ……」

「ふん、あの小僧か」

勇者――この時代の、ということは彼か……。

あの時の少年は無事に勇者に成れたということだろう。しかし、運命は残酷だ。彼に教えた剣で、彼を斬ることになるとは思わなかった。

とはいえ、個人的にはあの時の少年がどれくらい成長したのか、楽しみでもある。

「任せてください。今代の勇者とは、縁があるので」

「へぇ」

どういうわけか、エモ・スギルの目が輝いている気がする。

勇者に特別な思い入れでもあるのだろうか?

「僕もね、勇者が好きなんだ」

「……では、命までは取らない方針だと?」

「そうだね、僕は無意味な争いは好かない。しかし、時には戦ってでも貫くべき矜持もある。勇者はその最たる例だろうね」

だから勇者が好きなのだ、と。エモ・スギルは語りだした。

心なしかテンションが高い。

両手を広げて、楽しそうに躍りながら歩いていく。さながら演奏の指揮でもするように……。

殺さず、あくまで追い払うにとどめるのが、私達の実力テストらしかった。

「少年、君が英雄オーダーに挑むなら……」

今の私はラーズシャルテと共にある。彼女が英雄オーダーを居場所に選んだなら、その敵は私にとっても斬り伏せるべき相手に過ぎない。

それが例え――かつての教え子の一人なのだとしても……。

初代勇者の話をしよう。

曰く――彼女は史上最強の戦士であり、単独で人々を救ってみせたのだと言う。

苦悩や葛藤は一切記録されていない。自身の使命を一度たりとも疑わない。そんな英雄だったらしい。

初代勇者にだけ、仲間が存在しない。彼女の英雄譚は常に一人だった。

また、彼女は生涯独身を貫き、同性の友人とのみ親しかったとされる……。恋愛に溺れることもなく、ただひたすらに英雄であり続けたそうだ。

「俺は、英雄の器ではなかった……」

「ヴルム……」

俺は全てがどうでもよくなっていた。宿屋の一室で、仲間である魔法使いの少女に泣き言をこぼしてる姿は、誰も勇者とは思わないだろう。

初代勇者のように、俺は強くなかった……。

「貴方はもう頑張ったじゃない! ゆっくり休んでて……大丈夫だから」

「まってくれ、どこへ?」

「私達だけで戦うわ」

「……っ」

正しい判断だ。

今の俺は勇者どころか、戦士ですらない。戦う覚悟など無いのだから。

「実はね、英雄オーダーのアジトは突き止めてるの」

「なん、だと?」

「……アウロラが、貴方の体に精霊をつけてたでしょう? 仮面の魔将と接触した時に移ってたみたい」

「そうか」

アウロラ――勇者パーティの一人。精霊使いのエルフだ。

仮面の魔将に俺が踏みつけられたあの時、居場所を特定できるように手を打っていたらしい。

頼もしい仲間で、流石の手際だ。俺と違って次を考えていたのだから。

「ねぇヴルム、どうして?」

ヴルム・クレイラー。それが俺の名前で、もう一般人には呼ばれることのない名でもあった。みんなが口をそろえて勇者と呼ぶから。

俺をヴルムと呼んでくれるのはパーティーメンバーだけだ。

「貴方をずっと見てきたわ……。どんな強敵が相手でも折れることはなかったのに、どうして今回は諦めたの?」

「俺達四人を相手に、オルトリンデ・マルテーノは手加減していたんだぞ? 仮面の魔将や魔神カーラまでいるんだ。勝てるわけがないだろう!」

「……やっぱり、らしくないわ」

分かっている。

そんなことは俺が一番自覚しているさ。

敢えて名前を出さなかった元凶にして黒幕――”アイツ”がただ恐ろしいのだ。

「英雄オーダーと戦うべきじゃない」

「私達以外に、誰が勝てるのよ!」

「この国にはS級冒険者がいる。他国に助力を願うことだって可能なはずだ」

「それこそ、足りないわ……。そこに私達が加わって初めて勝機が生まれる」

「裏切られるかもしれない」

「……剣聖のこと?」

剣聖にも裏切られた。いや、最初から味方でなかっただけか……。

王都に着いてから、剣聖は姿を消した。

そして――手配書が出回り、彼が英雄オーダーの一員であることを知ったのだ。

「俺を奮起させようとしたのは、玩具にするためだ。わかるだろ? 英雄オーダーと戦うという選択は”アイツ”の手の上で踊るってことなんだ……」

「それでも、いつものヴルムなら戦う道を選んだはずよ」

「お前にっ……。フリムラにはわからない。エモ・スギルと話していないお前には」

魔法使いの少女――フリムラは泣きそうな顔をしていた。

失望させたのだろう。

俺はフリムラ・マリネットが好きだ。仲間としてはもちろん、異性としても。そんな彼女にこんな顔をさせたくなかった。

だが、思いを告げることはもうできない。俺は戦うことを放棄したのだから……。

「俺はさ、自分の意志で戦っていると思ってた」

「……」

「でも違ったんだ。俺は魔王軍のことを深く考えず、ただ殺していただけだ」

「人類を救ったじゃない!」

「話し合いでも救えたはずなんだ。切り捨てた少数だって、救える方法はあったかもしれない。その結果が、オルトリンデ・マルテーノのような存在を生み出した」

「それ、は……」

俺達はもっと考えて、自分たちの意志で行動するべきだったのだ。

兵器ではなく、戦士として、戦うべきだったのだ。

英雄オーダーという組織は、俺達勇者パーティの問題点を追及しているような、そんな意図を感じる。

「なんで俺達なんだ? どうすれば良かった? 教えてくれ……」

人類のために八年も魔王軍と戦い。その全てが”アイツ”の用意した茶番だった。

励ましてくれた剣聖すら、俺を操るための駒。

俺は、英雄なんかじゃなかったんだ……。

「貴方の先生を探すんじゃなかったの? もう、全部を投げ出すの?」

「それは……」

八年前――俺が勇者に選ばれたばかりの頃、剣を教えてくれた冒険者がいた。始まりの町で偶然にも出会った最強の冒険者パーティー。そのリーダーが先生だ。

俺と別れてから、先生はパーティーと共に魔王軍すら寄り付かない危険区域へと足を踏み入れて死んだと聞いている。厳密には確認されていないが、一人も生還していないことからも、全滅は確実だろう。

その事件が由来になり、そこは”帰らずの森”と呼ばれるようになった。

「俺には信じられない。あの人達は――今の俺達よりも強い。それでも帰っては来なかった。あの森には何かがあるんだ」

「……魔王軍との戦いが終わったら、探しに行く約束だったはずよ?」

「だが、英雄オーダーが現れた」

魔王軍との戦いは終わったが、それは始まりに過ぎなかった。

英雄オーダーという本当の脅威が、利用していた戦争でしかなかった……。

「ねぇヴルム」

「……」

「せめて、その先生だけでも探しなさい!」

「っ」

「英雄オーダーとの戦いは、私達だけで良いから」

行かないでほしい。

ついてきてほしい。

そんな言葉しか浮かばないような軟弱者だから、俺は失敗ばかりするのだろう。

「それと、これは個人的なお願い」

「なんだ……?」

「貴方に、その……。だ、抱いてほしいの」

「え?」

「だから! 好きなの、貴方がっ!」

顔を真っ赤にしながら、フリムラはそんなことを言った。

突然のことで、理解が追いつかない。

「……なんだって?」

「難聴なの? 女に恥かかせるつもり?」

「いや、どうして。なんで今なんだ?」

「今夜が最後かもしれないからよ。明日、英雄オーダーに挑むわ」

「そう、か」

俺だってフリムラが好きだ。本当はこちらから思いを伝えたかった。

この八年の旅の中で、意識しなかった日はない。

「……すまない」

「そう」

俺の言葉を聞いて、フリムラは寂しそうに後ろを向いた。

その震える背中を見て、後悔と自分の情けなさを痛感する。愛している人が涙を我慢するのは、俺のため。

俺はバカ野郎だ。

「お前を抱くことはできない。今はまだ」

「……?」

「明日の戦いに勝ったら、結婚してくれないか?」

言った。言ってしまった。

自分でも信じられない言葉だ。

「ヴルム……?」

「不謹慎なのは分かってる。空気も読めてないと思う。でも言わせてくれ、俺が先に言いたいから」

「っ」

「結婚してくれ。きっと英雄オーダーに勝つから」

人類のためでも、正義のためでもなく、好きな異性のために戦うなんて勇者失格だろう。初代様には顔向けできない。

それでも良い。もう、勇者じゃなくても良いんだ。

俺は英雄の器じゃない。なら、とことん人間らしい理由で戦えば良いじゃないか!

「俺は勇者に向いてない。仲間には頼りっぱなしだし、好きな子と結婚するために戦うし、酷いもんだな……」

「ふふ、ヴルムらしくて良いじゃない。それに、どうせ私達が危険なら来るの知ってたもん。そんな貴方が大好きよ」

どうやら、俺のこの結論も計算だったらしい。

抱きついてくるフリムラは魔性の女もいいところだ。でも、そんな彼女を俺も好きだった。守りたいと思う。

「まとまった?」

「うまくいったのである」

精霊使いのエルフである――アウロラ。僧侶であるガーテエルド。

二人の仲間が部屋の扉から、ひょっこりと顔を出していた。

こちらの様子を見ていたらしい……。

「お前らな……!」

「ヴルムにはフリムラの泣き落としが一番効果的」

「しかし結婚とは驚きであったぞ」

仲間達には全てお見通しだったようだ。不思議と恐怖は消えていた。

「お前ら、俺がフリムラの要求を受け入れていたらどうするつもりだったんだ」

「ヴルムにそんな度胸はない。私達の水浴びを覗いたことないから」

「うむ、ありえんな」

信頼されているというより、チキンだと罵られた気がした。

だというのに、嬉しくて涙が止まらない。

あんなに絶望していたのに、まだ世界が輝いて見えた。仲間がいれば俺は戦える!

「今夜はみんなで寝よう」

俺達は数年ぶりに、一つの狭いベッドで雑魚寝して一夜を過ごした。

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Status: Ongoing
The protagonist—Emo Sugil—is a huge fan of the Hero. He constantly follows the Hero’s journey and observes his adventures… to the point that he’s basically a stalker. One day, after the Hero finally defeats the Demon King, Emo—who had been cheering from the shadows—can’t contain his joy and instinctively applauds. “Magnificent. Truly magnificent! You exceeded all my expectations! As expected of the Hero!” “……Who are you?” “Well, you see, I’ve been watching over your growth all this time. I’m so happy. Every battle you’ve fought so far has been in the palm of my hand (I recorded it with this magic device).” “W-What did you say…?” Through a series of coincidences upon coincidences, the protagonist is mistaken for the mastermind behind everything. By the next day, he’s wanted by the authorities, driven out by the kingdom, and—somehow—respected by villains. Criminals who unilaterally call themselves his subordinates go on rampages, only worsening his position… “I’m not getting caught thanks to these villains, but…” If it’s ever discovered that the protagonist is actually just a weak, ordinary person, he’ll be killed—or, if he’s lucky, spend the rest of his life in prison. No matter what, he has to keep up the act! This is— the story of a protagonist who has no choice but to play the role of a charismatic villain!

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