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Just a Rear-Guard, Arms-Crossed Reincarnator—But When I Accidentally Applauded the Hero, I Got Labeled the Mastermind. – Chapter 16

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ただの後方腕組転生者、うっかり勇者に拍手を送ったら黒幕扱いされる。

第16話 黒幕は脚本家的な側面を併せ持つもの……

「スギル殿は恐ろしい方だ」

あの御方は否定しない。在り方をただそのままに肯定してくれる。

儂の殺された娘の仇を討ってくれただけではない。意義のある悪として動くことを許容されたのだ……。

スギル殿の部下である英雄オーダーの戦力は桁違い。だが、皆どこか痛みを抱えているような印象を受ける。

スギル殿が強者であるかどうかなど、些事。

ノルディという冒険者が弱者だと言った時も、儂はどうでも良いと思った。恐らく皆がそうであろう。あの御方の人柄やカリスマに魅了されているだけなのだ。

「……あの御方が一番孤独やもしれぬ」

スギル殿は不思議な目をしている。魔眼とかそういう話ではない。この世界を俯瞰して眺めているような、生きている実感を持ち合わせていないような、孤独が宿っている。

年寄りの勘違いであるなら良いのだが……。

「勇者」

スギル殿の目が輝く瞬間がある。それが勇者の話をしている時だ。根本的に、勇者以外には興味がないのかもしれない。理由は不明だ。

ただ、幸福であってほしいから、あの御方のためなら儂は喜んでその手伝いをする。

「人殺しは罪だ。明確な悪だ。親がいるかもしれない。子がいるかもしれない。その全てが痛みに涙を流すだろう。だが、悪を殺すことは時に――“救い”となる」

「…………何だジジイ」

自身が悪であるからこそ、救えることもある。聖人である勇者が、儂を救えなかったように。悪人であるエモ・スギルが儂を救ったように。

儂はこの国の裏側である、地下街を歩いている。

若者が睨みながら、儂の胸ぐらを掴んできた。

奴の部下なのだろう。質が下がったな。

「君の上司に用がある」

「あぁ?」

「……やれやれ。君は人を殺したことはあるかね?」

「あるぜ? テメェも死にたくなかったら、金目の物だけ置いてうせろ」

「そうですか」

「あぺ……?」

若者は理解する暇もなく首が地面に転がった。下から自分の体を見て、不思議そうな顔で息絶えた。

堕天使と契約したことで、儂はAランク冒険者に匹敵する力がある。制約は色々あるが、特定の空間を切断することが可能だ。

「命の重さを知らぬから、悪なのでしょうね。己の死にすら理解が及ばない連中です。他人の痛みを慮る心など持ち合わせていない。部下には、しっかりと教育をしてやるべきでは?」

「……相変わらずだな、裏道の翁」

「貴方は変りましたね。こんな質の低い部下を従えるなど」

「質の高い奴はお前の標的が、部下にしていたからな……。しかし、死んだと思っていたぞ? あの盗賊は腐ってもSランク相当の怪物だった。殺せるとは思えん」

「えぇ、返り討ちでしたよ」

儂と話している男は、この国を裏で操る闇組織の長だ。ノーネームと名乗っていた。元Sランク冒険者であることは突き止めたが、他の情報は何もない。

昔、仇の盗賊の情報を集めていた頃に知り合った。

「……妙だな。奴は死んだと聞いたが?」

「儂の主が仇を討ってくださいました。今はしがない従者をしているところです」

「主だと? 物好きもいたもんだ。しかし納得でもあるな、お前からは怯えを感じない。以前会った時はオレを見て恐れていただろう?」

「あの頃は死ぬわけにはいきませんでしたし、貴方と争えば敗れたでしょうから」

「……おい、まるで今なら勝てるような口ぶりだな」

「さて、どうでしょう?」

「オレをそこらのごろつきと同じに考えてるのか?」

「いいえ」

「……要件を言え、内容次第だ」

「もうじき、わが主がこの都市で盛大な祭りを開催するつもりなのですよ」

「ここはオレのテリトリーだ。勝手は許さんぞ」

「ですから、前もって来たわけです」

ノーネームは苛立ちを隠しもせず、魔力を解放してくる。周囲の部下も怯んで動けない様子……。

やはり、戦いは避けられそうにありませんね。

「貴方の情報力は厄介ですから。目的の邪魔になる。最初に排除するべき障害です」

「勝てるとでも思っているのか?」

「貴方が見逃してくださるなら、その必要もないんですがね」

「……交渉決裂だ」

その言葉を合図に、周囲に潜んでいた部下たちが一斉に襲い掛かってくる。

儂の影から光が放たれ、全員が焼けながら消滅した。

「あ?」

「これはこれは……。オルトリンデさんの護衛はやはり別格ですな」

「精霊、天使……? いや、そんな次元じゃ」

「熾天使らしいですよ? 護衛にと、二体も用意してくれたようです」

「……お前の主とやらは何者だ?」

「これの契約者は主とは別なんですがね……。まぁ、あの御方を貴方が知る必要もありません。交渉は決裂したのですから」

「ま、待っ」

「さようなら」

抵抗する余地もなく、ノーネームは消え去った。残ったのは焦げ跡だけ。

本来であれば、儂などでは到底勝てない強者だった。

あの盗賊と同格レベルの存在だったはず。しかし、この有様だ。やはりSランク級ですら隔絶した差があるのですね……。

オルトリンデ・マルテーノ。魔神カーラ。英雄オーダーの中でもあの二人は別格。

儂が思うに、ラーズシャルテ・アルルガンと先生と呼ばれていた死体はノーネームと互角か少し強いくらいだろう。仮面の魔将殿もそのあたりの強さだ。

「戦闘能力で及ぶ組織などない。国家であろうと」

英雄オーダーを打倒するには、団結しかない。世界が脅威だと明確に認識して歩調を合わせなければ到底勝てない。

つまり、情報戦だけが唯一の弱点。

試練であるために、脅威と認識されるように情報を拡散するのが儂の役目。しかし、そのタイミングは今ではない。

勇者の耳に届く程度で良い。まだ世界を敵に回すタイミングではない。

「儂は、スギル殿に死んでほしくないのですよ」

大した違いにはならないだろう。この都市で引き起こす事件を知れば、世界は脅威だと認識する。タイミングが少し遅れるだけの話だ。

初代勇者の遺体を回収し、ラーズシャルテの権能で蘇生させるつもりでしょう。

「……スギル殿の計画は、果たしてそれだけなのでしょうか?」

その思惑は図れない。

一つ確かなのは、勇者にとっては不幸以外の何物でもないだろう、という事だ。

「邪魔者は消えました。初代勇者の遺体を隠される心配もこれで潰えた。あとは位置を探るだけですね」

ノルディという冒険者の言葉を信じるなら、地下にあると言っていた。

その時点でノーネームの管理下にある可能性を疑った。彼は情報力と人脈に秀でており、逃げに徹されては厄介だった。

初代勇者の遺体が目的だと発覚すれば、もう見つけられないでしょう。

「おや? 返り血などいつの間に……」

最初に若者を葬った時に返り血が服に付いていたらしい。これで地上に出たら通報されてしまうかもしれない。

いや、そう言えば、あの仮面を渡されたのでしたね。意図があってのことかはわからないが、命令通りに顔を変えて行動しますか……。

「風呂、食事、睡眠……。当たり前と思っていた事も、今では奇跡に感じる」

おっれは宿屋のベッドで寝転がっていた。

一文無しだった時と違い、今はあの美しい少女から恵んでもらった金がある。冒険者ギルドで稼ごうにも、依頼斡旋料としていくらかのお金が必要だった。

あの少女に出会わなければ本当に野垂れ死んでいたことだろう。

「そろそろ冒険者ギルドに行くか」

久々に心地の良い睡眠もとれたので、肉体的にも元気を取り戻した。元手になる金もあるし、稼いであの少女に現金を返すのだ。

そして――この思いを伝える。

「あぁ愛しの君よ」

運命の相手に巡り合った。名前すら知らないが、この都市で活動していればまた会えるかもしれない。

宿を出て、人混みの中を歩く。

「……?」

視線を感じる。おっれの美しさが原因ではない。デジャブというやつだ。

まるで不審者を見るような、あの視線。

この国ではまだ指名手配はされていないはずだ。どうして、こんな目で見られる?

「いたぞ!」

「特徴と一致する。だが、返り血はない……?」

「服を着替えたのだろう。確保するぞ」

警備兵のような男達が、複数人集まって来る。おっれを捕まえる気らしい。

訳が分からない……。おっれが何をしたというのか?

「おっれ、悪い剣聖じゃないよ!」

そんな言い訳をしてみるが、警備兵は無視して掴みかかってくる。

どうしてこうなるんだ。悪いことは何もしてないのに!

「あ」

「あ」

おっれが警備兵と取っ組み合いをしていると、通りかかった美少女がいた。

お金を恵んでくれたあの子だ。

名前は知らないが、運命を感じたあの少女が見ている。逮捕されるおっれを……。

「ち、違うのだ!」

「大人しくしろ、地下の犯罪集団を虐殺した疑いがかけられている!」

警備兵に腕を抑えられてしまう。

あの子はとても困惑したような顔でこちらを見ている。当然だろう。

「お、おっれは悪くない! 本当なんだ、信じてくれ」

「……」

運命の相手と思った美少女に誤解されてしまう……。

こんな別れなど嫌だ。

ならせめて!

「お、おっれは君を愛している! 好きだっ! 結婚してくれええええ!」

「好きな人がいますの。……ごめんなさい?」

「ぐはっ」

あの極限状態の生活よりも、圧倒的にダメージを受けた。

絶望感がおっれのハートを染めていく……。こんな理不尽が許されて良いのか!

こんなタイミングで告白したおっれが悪いけど、どうして犯罪者扱いされないといけないんだ!

「うわあああああああああああああああ!」

おっれは叫びながら走る。

警備兵の拘束を力づくで破り、全力で逃走した。捕まるのが嫌だからではない。フラれたショックからあの場を逃げ出した。

おかげで、普段以上の力が出て逃げられた。

「どうしておっれが、何が悪いんだああああああああああ!」

もう、何も分からない。

一体、何が悪かったのだろう?

人混みをかき分けて、全力で走る。悪夢なら覚めてくれ。

「いたぞ!」

「回り込め!」

「奴をにがすなぁ!」

警備兵が後ろだけでなく前からも複数人やってくる。これ以上はもう無理だろう。

どうしておっればかり……。

「こんな世界、大嫌いだああああああああああ!」

おっれのそんな叫びと共に、空から一本の片手剣が落ちて来た。地面に勢いよく突き刺さり、周囲に爆風が巻き起こる。地面には亀裂が入りとんでもない被害だ。

おっれも、警備兵も、一般人も、例外なく吹き飛んだ。

『見つけたぞ、適合者よ……。妾をその手につかむがよい! さすれば』

「今の内に逃げるか」

『お前に言っておる! 聞こえておるはずじゃ……。適正のあるお前は声が聞こえるはずなのじゃ! 世界を強く呪ったであろう!』

「へ……?」

剣から声が聞こえる。幻聴だと思いスルーしたが、おっれに話しかけている?

恐る恐る剣に近づいてみる。

「おっれ?」

『うむ、お前じゃ』

「何で剣が喋ってる!?」

『お前みたいなアホでも会話できるんじゃ、剣が話せても不思議ではないのじゃ』

「なるほど。……なるほど? …………おい」

『女にフラれて、妾を呼ぶ奴は初めてじゃ……。前代未聞の魔王よのう』

「呼んだ覚えはないが」

『純粋な強い呪いに共鳴するのがこの魔剣なのじゃ。適合者は百五十年ぶりかのう』

「話にまったくついていけないのだが……」

気絶していた警備兵が起き上がり始めた。まずい、このままだと牢屋送りだ。

『妾を手に取れば、お前は真なる“魔王の座”を継承することになるのじゃ』

「はぁ?」

『並みの者が握ると即死するが、お前ならたぶん平気なのじゃ』

「ふぇ? 遠慮したいんだが……」

もう頭がおかしくなりそうだ。理解が追いつかない。

剣が喋ることも、おっれが犯罪者扱いされることも、運命の相手にフラれたことも、全てが納得できない。いや、フラれたのは仕方ないが……。

『この警備兵を素手でお前は抜け出せるのか? 無理であろう? 妾を受け入れろ』

「偉そうな剣だな……。やっぱ置いて行こう」

『あーまって、ごめんなさいなのじゃ。妾調子乗りました。久しぶりに話せる相手がいたから興奮して……。許してほしいのじゃ』

「魔剣とか言ったか?」

『うむ、魔王が代々継承してきた魔剣――それが妾なのじゃ。ちなみに最初の魔王でもあるのだぞ? 生前はめっちゃ強かったのじゃ』

「そういう設定なのか」

『設定じゃないもん! 本当だもん!』

最初の魔王だの、継承だの聞いたこともないような話だった。正直、信じる方が難しと思う。ただ、このままではおっれに道はない。

というか、魔王って勇者が仕留めたのでは?

「そもそも、今代の魔王は剣などもっていなかったはずだが?」

『むぅ? 知らん、それはなんちゃって魔王なのじゃ。妾を継承した者だけが真なる魔王よ……。自称したか、通り名みたいなもんじゃろ』

「……おっれは人類の敵になるのか?」

『いや別に』

「は? 魔王になるのだろう?」

『妾は人間と仲良かったのじゃ。初代勇者だけは嫌いだがのう。アイツ、妾を見ると襲いかかってくるのじゃ……。うぅ怖かったよぉ』

「勇者と魔王が戦うのは普通ではないか?」

『性的に襲われるのじゃ』

「えぇ……」

正直、もう考えるのがめんどうだ。どうせボロボロの人生なんだ。掴もう。

おっれは迷わず魔剣を握った。

「中々のフィット感……」

体が軽い。魔力が、闘気が、循環していく……。

人生で一番のコンディションかもしれない。今なら誰にも負ける気がしない。

「けど、どうせおっれなんて……」

順風満帆だった人生はどこへやら、いつの間にか酷い有様だ。美しさの欠片もないような地獄の生活。どうせボロボロなんだから、全部壊そう。

善行しかしてないのに犯罪者扱いばかりされた。そんな世の中なんてぶち壊そう。

愛の告白をしたのに、フラれた。そこら辺のカップルも滅べばいい。

「おっれと一緒に地獄に堕ちようぜ。相棒」

『……いきなり馴れ馴れしいのう。妾に触れて、ハイになっておるのじゃ』

美しいだけの人生なんて脆い。

地獄のような泥臭さの中にこそ、本当の美しさがある。足搔いてやる!

「嫌だ……。おっれはもう――」

全力で魔力を解放する。警備兵達に向けて斬撃を放つ。躊躇はない。

使うのが初めてのはずなのに魔剣を手足のように扱える。

その仕組みが理解できる。

「フラれたくないいいいいいいいいいいい!」

おっれは叫ぶ。

純粋な呪いのこもった言葉が、魔力と闘気を増大させる。あの町にいた神霊――熾天使ですら一撃で葬れるだろう。

だが、警備兵を殺す気はない。斬撃よりも衝撃波を放つイメージで振るう。

「アヒャヒャヒャヒャ!」

『笑い方きもっ』

おっれはテンションマックスで笑う。もう恐れることはない。自由だ。

吹き飛んでいく警備兵。

爆風に悲鳴をあげる一般人。

なんかドン引きしている相棒の魔剣。

「おっれは弾けて生きていく! 今日から――“魔王”だっ!」

この世で一番美しいのは自由だ。

つまり、今のおっれが一番美しいっ!!!

「何事も、始まる前が一番楽しい。そう思わないかい?」

「……いよいよってわけだ」

「うん」

僕は仮面の魔将さんにお願いして、隣国への入口を用意してもらう。

後ろからラーズシャルテと先生、魔神カーラさんが歩いて来る。

「どうやら、オルトリンデと裏道の翁さんの準備が完了したらしい。僕達もそろそろ行くとしよう。きっと勇者も来てくれるはずさ。盛大に楽しもう……!」

オルトリンデと裏道の翁さんから、準備が完了したと念話がきたのだ。初代勇者のお墓参りと観光を全力で楽しむ。

英雄応援団として――”最初のイベント”。そう考えると心躍るね……!

「初代勇者は俺様の獲物だ」

「……世界が知るんだ。”私達の幸福”のために――”不幸”で満たすのを」

「うんうん」

魔神カーラさんとラーズシャルテが意気込みを話し合っているようだ。

仲良しみたいで嬉しいね!

初代勇者が死んじゃってるのは確かに不幸だけれど、僕達でそんな不幸すらも輝かせてみせたいものだ。

きっと勇者も喜んで参加してくれることだろう。ワクワクだねっ!

「僕達で――初代勇者を輝かせてあげようじゃないかっ!」

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Status: Ongoing
The protagonist—Emo Sugil—is a huge fan of the Hero. He constantly follows the Hero’s journey and observes his adventures… to the point that he’s basically a stalker. One day, after the Hero finally defeats the Demon King, Emo—who had been cheering from the shadows—can’t contain his joy and instinctively applauds. “Magnificent. Truly magnificent! You exceeded all my expectations! As expected of the Hero!” “……Who are you?” “Well, you see, I’ve been watching over your growth all this time. I’m so happy. Every battle you’ve fought so far has been in the palm of my hand (I recorded it with this magic device).” “W-What did you say…?” Through a series of coincidences upon coincidences, the protagonist is mistaken for the mastermind behind everything. By the next day, he’s wanted by the authorities, driven out by the kingdom, and—somehow—respected by villains. Criminals who unilaterally call themselves his subordinates go on rampages, only worsening his position… “I’m not getting caught thanks to these villains, but…” If it’s ever discovered that the protagonist is actually just a weak, ordinary person, he’ll be killed—or, if he’s lucky, spend the rest of his life in prison. No matter what, he has to keep up the act! This is— the story of a protagonist who has no choice but to play the role of a charismatic villain!

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