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Send Help, Not Corpses—My Church Is a Hero Repair Shop! – Chapter 189

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「神話の時代、勇者たちは力を合わせて魔物に立ち向かいました。そして最終的に魔王を倒したのは四人の勇者だったと伝えられています」

……おかしいな。俺は懺悔を聞いてくれと言われたはず。

しかし次の瞬間にカタリナ兄の口から出たのは誰もが知っている勇者の英雄譚であった。

俺はますます困惑する。なにがしたいのか全く分からん。っていうか誰にモノ言ってんだ。こっちは神官学校出てんだぞ。んなもん試験対策で一字一句丸覚えしたわ。もう忘れたけど。

とはいえ向こうは武器を持っていてこっちは丸腰。逃げるにも迂闊に外に出て魔物とカチ合えばそれこそ終了である。ここは素直に喋らせておいた方が良い。

「そのうちの一人が俺たちのご先祖様だって言われていて……使っていた杖がまさにコレ。暴食の杖です」

はぁ。さすがに勇者たちの使っていた武器までは俺も知らなかったけど、まぁそうなんだろうなとは思ってたよ。

で、だからなんだよ。わざわざ杖と血筋の自慢をしに戻ったのか?

カタリナ兄は厚い前髪の奥の虚ろな目を杖についた宝玉に向ける。

「これさえ手に入れば全部うまくいくと思った。それに、アイツがあんまり楽しそうにしてるからムカついて――いや、違うな。羨ましかったんだ」

俺に話しているというよりは、胸の内を言語化することで考えを整理しているようだった。

「今の生活が嫌なわけじゃないんです。友達だって多くはないけどいる。優等生ってほどじゃないけど進級に問題ないくらいには勉強もしてる。でも授業はつまらないし、テストはいつも憂鬱だし、イレギュラーな事態で休校になると飛び上がるくらいに嬉しい」

いたって普通の学校生活だ。ほとんどの学生は授業を瞑想の場と捉えて精神統一に精を出したことがあるだろうし、迫ったテストを潰す方法を一夜漬けの最中の朦朧とした頭の隅で画策したことがあるだろうし、イレギュラー休校は踊り狂うほど嬉しかったはずだ。特別な考えじゃない。みんなそんなもんだろう。

なのになんでお前はそんなに沈んだ顔をしているんだ。

「でも、卒業した先輩たちは口をそろえて言うんですよ。“学生が一番楽しいんだぞ。大人になったら大変な事ばかりだ”って。じゃあ今のこのパッとしない学校生活が俺の人生のピークで、卒業して大人になったらもっともっと嫌な事ばっかりなのか? もしそうなら俺はなんのためにこんなに必死に学校通って勉強してるんだろうって思うんです」

あぁ……

俺は心底コイツが気の毒になった。

“卒業した先輩”の言葉。そんなものになんの信憑性があるというのか。

しかし学校の中の世界しか知らない生真面目なこの少年はそんな戯言を真に受けてしまったのだ。

「ろくなスキルも経験もないのに家を飛び出して行った妹のこと馬鹿だと思ってたけど、もしかしたらあっちの道こそが正解だったんじゃないかって」

安全で退屈な日常を送っている学生の目には勇者の生活がさぞかし魅力的に映るのだろう。

……そうか。だから杖を。

別にあの杖でなくとも冒険はできるし勇者にもなれる。でもコイツにとってあの杖が刺激的で新しい生活の象徴だったのだろう。だからこうまで杖に執着して。

コイツのことはなにも知らないが、勇者なんてガラじゃないってことは分かる。すぐに戻ってきたところを見るに、魔物にビビって逃げ出したんだろう。人には向き不向きがある。勇者なんてのは特に素質が重要な職業だ。色んな意味で。

「……そういえば、名前をまだ聞いていませんでしたね」

「あ、アルフォンス」

俺はカタリナ兄、もといアルフォンスの肩を力強く掴む。

「そんなことはありませんよアルフォンス。卒業後の貴方の未来は素晴らしいものになります」

なんの根拠もないセリフだ。「学生が一番楽しいんだぞ」と言い放った先輩とやらの言葉と同じくらいに信憑性が薄い。未来のことなど誰にも分からないのだから。

でも、誰にも分からないのならせめて優しい言葉を贈ってやりたいと思った。

アルフォンスは縋るような視線をこちらに向ける。

「本当ですか? 社会に出てからの人生は楽しいですか?」

「そりゃあもう!」

俺は満面の笑みで断言し、さらに続ける。

「使える金額は増えるし――」

使う時間が無いけど。

「退屈な授業中に眠気と戦わなくて良いし――」

やってもやっても終わらない蘇生業務中に眠気と戦っているけど。

「なんでも自分の意思で自由にできるし――」

やらなくてはいけない面倒や尻拭いが増えるけど。

アルフォンスの表情が少しずつ緩んでいく。

どうやら俺の笑顔は引き攣ったりもせず上手く顔に乗ってくれているらしい。働き始めて笑顔を作るのが上手くなった。

俺は改めて言う。

「社会人はとても楽しいですよ」

学生に……戻りてぇ……

「あの」

アルフォンスが落ち着きなく杖をいじりながらこちらをチラチラ見てくる。

しばらくハニカミながらもごもごしていたが、やがて意を決したように言った。

「彼女はできますか?」

「…………」

俺はアルフォンスの肩を組み、天に向けて立てた親指を勢いよく突き出す。

「もちろんですよ!」

俺は無理矢理テンションを上げてそう言った。

勢いで自分を誤魔化さないと涙がこぼれてしまいそうだったから。

でも、俺の弱い心では感情を制御しきれない。表情を取り繕ってもアルフォンスの肩に回した腕が震えてしまう。

いや……これは俺が震えてるんじゃない。アルフォンスの肩が小刻みに震えている。こちらを見上げた。カタリナと同じ色の瞳が揺れる。

そして彼は俺の視線から逃れるように深くうつむく。

「そんなに良い未来が待ってるなら……こんなこと、しなきゃ良かったなぁ……」

森が耳をつんざく叫びを上げた。

何かから逃げるように一斉に鳥が飛び立つ。

地震か? 馬車が揺れる。断続的だ。揺れて、止まって、揺れて、止まって。追随するように地響きも。それはまるで、巨人の足音のようで。

外は尋常じゃない様子だが、馬車の中だって負けてはいない。

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

アルフォンスは膝を抱えるように体をくの字に曲げ、耳を塞いでガタガタ震えている。

なにか知ってるんだな。

俺はヤツの胸ぐらを掴み、強引に顔を上げさせる。

「一体なにをやったんですか」

ひっ、と小さく悲鳴を上げ、アルフォンスは杖を抱きながらうわごとのように呟く。

「結構大きかったけど、これがあれば倒せると思ったんだ。うちの近くでもたまに出る魔物だし、追い払ったこともある。だから、だから」

「……攻撃したけど、殺せなかったんですか」

「殺した。殺したよ。だから怒ったんだ!」

怒鳴るように言って、そして我に返ったような顔で口をつぐむ。そして声を潜めてさらに続けた。まるで何かに見つかるのを恐れているようだった。

「俺よりデカかった。でも倒してから気付いた。背中に白い線が走ってること。信じられるか? 子供だったんだよ」

なにを言っているのか分からなかったが、すぐに嫌でも分かることになった。

木々をなぎ倒しながら迫りくる茶色い塊。針金のような体毛に覆われた巨体、飛び出た二本の巨大な牙、突き出た大きな鼻、怒気を孕み爛々と輝くつぶらな瞳。一言で表すならイノシシだが、イノシシと言うにはあまりにも巨大だった。この馬車より大きいんじゃないか? まっすぐこっちへ向かってくるぞ。子供を殺されて怒ってんだ。どうすんだよ。あはは。

俺はアルフォンスの分厚い前髪を引っ掴んで揺すった。

「どうしてもっと早く言わないんですか。下らない話してないで馬車を走らせていれば逃げられたかもしれないのに!」

一息にそう捲し立てると、アルフォンスは視線を泳がしながら答える。

「だ、だってカタリナたちがここで待ってろって。アイツらまだ森に――」

「カタリナァ? 良いんですよアイツは死んでも!」

「えぇ……本当に神官かアンタ……」

うるせぇ~!! 誰のせいでこんな目に合ってると思ってんだ!

首をぐりんと曲げて強引にヤツの顔を覗き込む。おう、目ぇ逸らしてんじゃねぇぞ。今から馬車を走らせても間に合わない。あの魔物のスピードは馬車を引く馬のスピードを凌駕している。俺はヤツの杖を掴んで言った。

「その御高名な杖があればさぞかし素晴らしい魔法を使えるんでしょう? ほら、アイツ追い払ってくださいよほら早く早く!」

しかしアルフォンスは杖を掴む手を緩めてプルプルと首を横に振る。

「その杖、燃費が悪すぎる。もう魔力が」

はぁ~つっかえねぇ!!

どんな高名な杖も魔力切れが持ってるだけじゃただの鈍器にしかならない。俺は腑抜けたアルフォンスから杖を奪う。

「魔法が使えるのか……?」

アルフォンスの問いかけに、俺は吐き捨てるようにして言う。

「回復魔法と蘇生魔法しか使えませんよ」

俺の仕事を勝手に増やすな。戦うのは俺の仕事じゃない。こういうのは勇者がやるんだよ。

木々の間から音もなく飛んできたパステルカラーのマチ針が魔物の目を貫く。勢いそのままに木々をなぎ倒しながら茶色い巨体が転がった。

その隙を逃すまいとばかりに飛び出したオリヴィエが魔物に飛び掛かり剣戟を放つ。しかし浅い。魔物の針金のような毛皮が邪魔して刃が届かない。

棺桶は……よし、ないな。

「二人とも無事ですか!?」

かろうじて生きていたらしいカタリナがこちらに手を振りながら駆け寄ってくる。

まぁ魔導師が丸腰ではまともに戦えまい。俺はアルフォンスから奪った暴食の杖を振り上げる。

「ポンコツ兄貴に貴方の勇姿を見せてやりなさい!」

俺が投擲した杖をカタリナは大きく飛び上がってその手に掴んだ。勢いを殺さず、流れるように魔物へ杖の先を向ける。

「オリヴィエ、離れて! 私が仕留める」

カタリナは疑っていたが、どうやら杖の修理は完璧だったようだ。

砕け散ったのが嘘のように暴食の杖の先端についた宝玉が眩い光を放つ。

俺の隣で、アルフォンスが眩しそうに目を細めながら呟いた。

「な、なんでだよ。なんであんなのに立ち向かえるんだよ」

あれがカタリナの良いところだ。目の前の敵に物怖じしない。失敗を恐れない。死を厭わない。今もほら、詠唱が間に合わずイノシシ魔物に轢き殺されてカタリナが死んだ。

「楽しい仕事はあっても、楽な仕事などないですねぇ」

神官の仕事は想像以上にキツいが、だからといって勇者になりたいなんて俺は全く思わないね。

死んだカタリナの棺桶を引きずりながらも、オリヴィエとリエールは手を休めることなくチクチクと魔物を攻撃している。あの分なら二人だけでも大丈夫そうだな。本人もパーティメンバーもカタリナの死に慣れてやがる。これは誰にでもできることじゃないぞ。ある意味勇者の才能がある。お前にアレができるのか?

俺は顔についたカタリナの血飛沫を拭いながらアルフォンスを見る。

が、妹の死に衝撃を受けたらしいアルフォンスは白目を剥いてぶっ倒れていやがった。俺の言葉が届いているかは怪しいが。

「……まぁ正直言えばあなたの未来のことなんて知りませんが、勇者なんて学校卒業してからでもなれるので今は普通に勉強した方が良いと思いますよ」

俺は無難なアドバイスで懺悔を〆た。

早くもコミカライズ第2巻が10月7日発売です。

目印は這い寄るパステルカラーの表紙。予約してね!

また発売日前日にタナカ先生とのコラボSS投稿予定です! なに書こうかな……

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Send Help, Not Corpses—My Church Is a Hero Repair Shop!

I'm a priest working at a church, but please stop sending me the bodies of heroes who have been brutally murdered., I'm Working at the Church as a Priest, but I Want to Be Cut Some Slack from the Mutilated Bodies of the Heroes that Keep Getting Sent to Me, Kyōkai tsutome no shinkandesuga, yūsha no zansatsu shitai tensō sa rete kuru no kanben shite hoshīdesu, Kyōkai tsutome no shinken desu ga, yūsha no zansatsu shitai tensō sa rete kuru no kanben shite hoshīdesu, 教会務めの神官ですが、勇者の惨殺死体転送されてくるの勘弁して欲しいです
Score 6.6
Status: Ongoing Type: Author: , Released: 2019 Native Language: Japanese
Monsters roaming? The bravest heroes charging into battle? That means someone’s working overtime at the church—me. Every time an adventuring party falls, their mangled bodies land on my altar. My job? Stitch their bits back together, slap on a revival spell, and pray the church gets paid this month. Swords and sorcery are tough—but try arguing fees with dead heroes, wild mages, and coffin stalkers. Welcome to a fantasy world where the real grind isn’t on the battlefield, but right behind the sanctuary doors. Sharp humor, absurd obstacles, and a fresh take on classic fantasy resurrection. If you thought dying was dramatic, you haven’t seen what I go through bringing heroes back—one limb at a time.

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