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Send Help, Not Corpses—My Church Is a Hero Repair Shop! – Chapter 232

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ドラゴンに乗り、上空から戦線を見ていたロンドが街へ戻って来た。

その顔は決して明るいものとは言えない。

「また一段と魔物たちの攻撃が激しくなってきました。足止めのつもりなのかもしれません」

大事な姉のいる王都が狙われているのだ。すぐにでも討伐隊を出したいところだろうが、そう簡単にはいかない。

討伐隊が街を出るということは、アイギスなどの主戦力を根こそぎ連れて行ってしまうということ。その隙をつかれて街へ攻め込まれでもすればフェーゲフォイアーはおしまいだ。

しかし街を守るためにいつまでも討伐隊の出発を渋っていては手遅れになるかもしれない。

つまり。

「王都を救うか、フェーゲフォイアーを守るか。神官さんならどうしますか」

なんて苦しい二択。

ロンドにとって王都は愛する家族のいる生まれ故郷だし、フェーゲフォイアーは自分の治める領地だ。天秤にかけられるようなものではない。

しかし集団のトップに立つ者は時として苦しい決断を求められる。

その小さな肩にどれだけの重圧がのしかかっているのか。俺なら耐えられない。その二択にも答えを出すことはできない。だって俺は別に集団のトップとかじゃない。部下も上司もいないワンオペ教会の神官である。

なので、俺は逃げた。

「どちらを捨てるか考えるのではなく、どっちも救う方法を探す方に時間をかけたいですね。なにかないのですか」

「……指揮官を討てば、あるいは」

ロンドが唸るように呟く。

余計な期待をしないよう自重しているようだった。

「空から見ているとよく分かります。あれだけの数がいるのに、素晴らしく統率の取れた軍隊です。どうにかして指揮系統を乱せれば」

魔族とその眷属たちのような力と数でねじ伏せる戦い方とは違う。

恐らくは指揮官がいて、戦略的に攻撃を仕掛けているのだ。そこを直接潰せれば戦線を一気に崩せる。

と、言葉で言うのは簡単だ。

しかし誰が指揮官でどこにいるかも分からないし、分かったところであんな数の敵をかいくぐって指揮官を討つなんて……

ん? 待てよ。できるかもしれない。

いるじゃないか。哀れで可愛いふわふわの捕虜が一匹。

白ウサギだ。

俺が尋ねるとせきを切ったように喋り始めた。

「指揮官の特徴ですねもちろん分かります色々知ってますなんでも話しますだからっ、だから――」

白ウサギが突如口をつぐんだ。ほぼ同時にブルブルと震えだす。まるで痙攣だ。

その腕にウサギを抱いていたユライが辺りを見回しながら、宥めるように囁く。

「大丈夫。大丈夫だから。いつも通りに」

「あ、あうっ、ううっ、ユライさぁん」

ウサギが嗚咽混じりに名前を呼ぶ。

しかし答えたのはユライではなかった。

「ん~? おかしいなぁ。今変な声が聞こえたなぁ」

どんな術を使ったのか。

突然目の前に現れたようにしか見えなかった。

ルイだ。ユライからあっけなくウサギを奪い取り、その赤い目を覗き込む。

「ロージャが喋ったみたいだったけど……なわけないよなぁ? ロージャはそんなこと言わないもんなぁ?」

ウサギがガチガチと震える。肉食獣に抱え込まれたような怯えよう。

様子に反し、可愛いへの字の口から漏れ出た言葉は非常に攻撃的だ。

「こ、ころす……ころす……」

「そうだよなぁ! ロージャはそれしか言わないもんなぁ」

ルイは細い目をますます細めながらロージャの代用品の頭を愛おしそうに撫でる。

これは完全に病気だな。だれか病名をつけてやってくれ。

まぁそれはそうとちょうど良いところにきた。

俺はルイに切り出す。こちらが本題と言ってもいい。

「敵の指揮官を暗殺していただけませんか?」

ぶっ壊れているとはいえ、ルイは元星持ちだ。

アイギスのようなストレートな強さではないが、敵の陣地へ潜入して闇討ちするような戦い方は得意分野だろう。

ルイが指揮官を討ってくれれば、俺たちも安心して街を発てる。

そしてルイは笑顔で一言。

「やらない」

「……理由を聞いても良いですか?」

ちなみにこれには人類の命運がかかっている。

勇者たちは必死に戦っているし、俺も命を懸けている。

で、お前の体にはなんで血の一滴もついていないんだ?

「だって、ロージャを放って戦いになんて出られないだろう?」

は~、予想通り。

猫の手も狂人の手も借りたいくらいの忙しさだって言うのに、お前はなにをのんびりウサギと遊んでやがる。

第一、それはロージャじゃないし、なによりロージャは――

「……ロージャは、王都で元気に暮らしていますよ。だからもう、あの女のことは忘れなさい」

俺は嘘を吐いた。

ロージャのことが戦いの妨げになっているのなら本当のことは言わない方が良いだろう。

しかし俺の心遣いも狂人には届かなかった。

「はぁ? なに言ってんだ神官さん。ロージャはここにいるじゃないか」

ルイがウサギを撫でながら首を傾げる。

俺は辟易した。

ユライの心労が察せられるな。

「余計なことしなきゃ良かった。俺がなにかやるたびルイの精神が壊れていく」

ユライもいよいよキてるな。

いや、ここまでルイを支えられていたのが奇跡か。

しかし今はメンタルケアなんぞやっている余裕はない。

俺はルイの肩に腕を回した。

「じゃあルイ君、ちょっとついてきてくださいね~」

「どこへ?」

どこにしようかぁ。

マッドの研究所でイジってもらうか。

白装束共の集会所でイジってもらうか。

いや、逆にウサギを人質にとって……だとすると秘密警察辺りに頼むのが……

試案の最中、俺はバランスを崩した。

腕の支えにしていたルイが消えたからだ。

「なにか悪しきことを考えているな」

瞬間移動? あるいは幻術の一種か。

すぐ横にいたはずのルイが、噴水のてっぺんから俺を見下ろしている。

そうだ。ルイにはこういうことができる。だから暗殺に向いているのだ。

アイツならきっと指揮官の首を取れる。街を魔物の手から守ることができる。

俺が説得できれば、の話だが。

「ルイ! 目を覚ましなさい。それはロージャじゃない。ロージャはもういないんですよ」

「だから、いるだろここに」

「よく見てください、それはウサギです。耳が長いでしょう」

「ほんとだ!」

今気づいた、とばかりにルイが目を剥く。

ようやく分かってくれた。よかったよかった。とはならない。

ルイがナイフを取り出した。

余計なこと言わなきゃ良かったと後悔した。

「伸びた耳を切ってあげよう」

ウサギの赤い目が見開かれる。白い体がブルブルと震える。

か弱いウサギになんてことを。

「や、やめなさい!」

血飛沫が視界を覆う。噴水の水が赤く染まる。ウサギの白い体に赤い斑ができる。

しかしまったく心が痛まないのが不思議だ。千切れ飛んだのがウサギの耳だったらこうはいかなかったろう。

「ぐっ……!」

ルイが苦痛に顔を歪めた。

ナイフごと飛ばされた右腕が噴水の中へと落下。水飛沫と血飛沫が周囲を濡らす。

その視線の先にあるのは、血に濡れたパステルカラーのハサミ。そして周囲を囲むぬいぐるみたち。

「狂人のカウンセリングは専門外なんだけどな」

リエールだ。

なぜ街にいる? 前線で戦っていたはず。……いや。

ユライが息を切らしてリエールの隣にいる。まさか呼んできたのか。なんのために?

ルイは無事な左手でウサギを抱えなおし、噴水から飛び降りる。

リエールと真正面から対峙した。

「説教をする気か? 人類のために戦え、とでも?」

「まさか。ただ、ウサギなんかと遊んでいたら彼女が嫉妬しちゃうかも」

ルイの緩んだ左腕からウサギが落ちる。たくましい後ろ足から繰り出されるジャンプ。ウサギがユライの腕の中へと飛び込んだ。

しかしそれを気にする様子はない。ルイの目はリエールの取り出したぬいぐるみに釘付けだ。

「ロ、ロージャ……」

既にロージャをぬいぐるみに加工していたか。

予想通りではあるが、しかしタイミングがよくない。

ルイはロージャを放って戦いに出られない、と言っていた。

そこで本物のロージャなんか出したら、ルイはますます戦いに出たくなくなる。

リエールが振り返った。

俺の考えを見透かしたようにパステルカラーの目を細める。

「大丈夫よ、ユリウス。守りたいものがあるから人は頑張れるの。そうでしょう?」

ルイが目を見開く。その視線はおしゃべりキツネぬいぐるみに釘付けだ。

いや……おしゃべりキツネぬいぐるみ“達”と言った方がいいか。

「どうして」

俺もぜひ聞きたいもんだな。

リエールが取り出したのはおしゃべりキツネぬいぐるみと、それから二回りほど小さなキツネぬいぐるみが二体。

「家族が幸せに暮らしていくには穏やかな環境が必要だよ。魔物はそれを壊そうとしている」

「か、家族!? まさかそれは……その子ギツネは……!」

リエールが薄く笑ったのが分かった。

子ギツネ二体を顔の前へと持ち上げる。それを小刻みに揺らしながら、裏声で言う。

『パパがんばって~』

「双子……!」

分からん。

その人形劇のどこにルイが感動をしているのか。あまつさえ涙までながしているのか。

なにも分からん。

ただ、どうやら上手くいったらしい。

「あの子たちを頼む」

ユライに告げながら、ルイはその腕からウサギをかすめ取った。

ロージャの代用品として愛でるためではない。

「案内してくれ。共に行こう。世界を守るために」

その目は狂気に満ちている。しかし強く前を見据えていた。

千切れ飛んだ腕の修復を済ませてやると、ルイは意気揚々と街を出た。

ルイならば、きっとやれるだろう。そう思わせるだけの覇気があった。

“人類のため”だなんて大きなくくりで人は動けないんだ。理由になるのはとても個人的で小さなこと。でもその小さなことのために人は命を懸けられる。

ウサギの喚き声が遠ざかっていく。

残されたユライが子ギツネとロージャを手に呆然と呟く。

「あの……これは一体……?」

「ひき肉が余ったからちゃちゃっとね」

「そんなハンバーグみたいに……」

そんなことより、とばかりにリエールがこちらを向いた。

「教えてあげる。コツはね、相手を否定しないこと」

なるほど、見事なカウンセリングだった。

リエールが俺の手を取る。パステルカラーの瞳がこちらを覗き込む。

「ねぇユリウス。私も討伐隊に参加するよ。世界なんてどうでも良いけど、あなたと楽しく暮らすにはそれが必要だから」

リエールが顔を上げる。

パステルカラーの瞳を遠くへ向けた。

「この街でも、色々なことがあったね」

リエールの冷たい指が頬を撫でる。

脳裏に記憶が浮かび上がる。そう。本当に。色々なことがあった。

俺は閑散とした街に目を向ける。

市場散策のあとは噴水前のベンチで休憩するのが定番だった。リエールが靴擦れを起こして手当したのもあそこだったな。

街の外れの草原へはよくピクニックに行った。リエールの持ってきてくれた弁当には俺の好物しか入っていなかった。

防具屋でリエールのドレスを選んだこともあった。なかなか一着に絞ることができず遅くまで付き合わされて……あれ? 俺にそんな暇あったか?

違和感に気付く。

途端に背筋が寒くなる。

俺はリエールの指を払いのけた。

また訳の分からない能力使いやがったな。

「記憶の捏造はやめなさい!」

リエールはイタズラがバレた子供のように笑う。

そして夫を窘める妻のような顔をして言った。

「さっきも言ったでしょ。コツは相手を否定しないこと」

なぜ狂人に狂人の扱い方のレクチャーをされなきゃならないんだ……

しかしヤツのカウンセリングの結果はつい先ほど目の当たりにしている。

俺は観念して言った。

「貴方がいれば心強い。頼りにしています」

その言葉に嘘はない。

イカれた女だが、きっと強力な戦力になってくれるだろう。

リエールはパステルカラーの目を細め、嬉しそうに笑った。

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Send Help, Not Corpses—My Church Is a Hero Repair Shop!

I'm a priest working at a church, but please stop sending me the bodies of heroes who have been brutally murdered., I'm Working at the Church as a Priest, but I Want to Be Cut Some Slack from the Mutilated Bodies of the Heroes that Keep Getting Sent to Me, Kyōkai tsutome no shinkandesuga, yūsha no zansatsu shitai tensō sa rete kuru no kanben shite hoshīdesu, Kyōkai tsutome no shinken desu ga, yūsha no zansatsu shitai tensō sa rete kuru no kanben shite hoshīdesu, 教会務めの神官ですが、勇者の惨殺死体転送されてくるの勘弁して欲しいです
Score 6.6
Status: Ongoing Type: Author: , Released: 2019 Native Language: Japanese
Monsters roaming? The bravest heroes charging into battle? That means someone’s working overtime at the church—me. Every time an adventuring party falls, their mangled bodies land on my altar. My job? Stitch their bits back together, slap on a revival spell, and pray the church gets paid this month. Swords and sorcery are tough—but try arguing fees with dead heroes, wild mages, and coffin stalkers. Welcome to a fantasy world where the real grind isn’t on the battlefield, but right behind the sanctuary doors. Sharp humor, absurd obstacles, and a fresh take on classic fantasy resurrection. If you thought dying was dramatic, you haven’t seen what I go through bringing heroes back—one limb at a time.

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