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[Villain X Marriage] From A Lazy Villainous Nobleman Like Me, The Villainess Daughter Whose Engagement Was Broken Off Has Become My Wife, And Together We Became The Most Formidable Couple – Chapter 30

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「――此度の件は失策だったわね。お前らしくもない」

「……申し訳ございません」

仮面を被った”串刺し公”はバツ悪そうに、椅子に座る淑女に謝罪する。

淑女は部屋の窓から晴天を眺め、紅茶を嗜む。

その所作にはとても気品があり、まるで彼女の階級を表しているかのようだ。

「よもやオードラン男爵がサイクロプスを倒せるほどとは、想定外だったのであります」

「そうね、それには私も驚いたわ。でも彼の実力を低く見積もったのは、お前の落ち度でしょう?」

「……はい」

「まあ、ゴロツキ共と一緒に行動しなかった抜かりのなさは褒められるわ。お陰で私まで調査の手が伸びることもない」

「お褒めに頂き、恐悦至極であります」

紅茶を飲み切った淑女は、ティーカップを真っ白なソーサーの上に置く。

「やれやれ……困ったものね。せっかく愚か者のマウロに適当な女をあてがって、綿密な計画の下でレティシア・バロウを破局させたはずだったのに」

彼女はため息交じりに言うと、少しの沈黙の後にギリッと歯軋りする。

「……このまま彼女が幸せになるなんて、絶対に認めない。失敗は許さないわよ」

「心得ております。既に――次の手も打っておりますれば」

▲ ▲ ▲

レティシア・バロウ誘拐事件が発生&解決した翌日。

放課後、Fクラスのメンバーは王立学園の中庭……それも人気のない場所にこっそりと集まっていた。

アルバンとレティシアの二人を除いて。

「――それで、わざわざこんなところに呼び出して、一体なんの用ですの?」

エステルは金髪縦ロールを優雅に払いながら、長椅子に座るマティアスに尋ねる。

Fクラスのクラスメイトに召集をかけたのは彼だった。

「……なんの用って、どうせわかってんだろ?」

「……」

「他の皆もだ。アルバン・オードラン男爵についてだよ」

マティアスはクラスメイトたちを一瞥する。

どうせここに集まっている者の”答え”は同じだろう、そう思って。

「アイツは頭のネジが外れてる。嫁さん助けるために、百人が守る場所に一人で突っ込もうとするなんざ」

「……うむ。真の強さと勇敢さを持っていなければ不可能だ」

ローエンがコクリと頷いて賛同。

Fクラスきっての武闘派である彼は、既にアルバンの強さが心技体全てにおいて自分より遥かに秀でていると認めていた。

マティアスは小さく息を吐くと、

「この場にいる全員に聞きてぇ。お前らさ、アレと同じ真似ができるか?」

「「「…………」」」

「大事な人のために、百人の敵が待つ鉄火場へ迷わず一人で飛び込む……。リスクも保身も、なんも考えずにだ。そんなことができる精神と腕前を持った奴が、他にいるか?」

「い、いない、と思います……」

シャノアが答える。

レティシアとアルバンに助けられた、他ならぬ彼女が。

シャノアは額に包帯を巻き、顔には絆創膏を貼っている。

まだ事件の傷痕が残っているが、そんなものを気にする素振りも見せない。

「あ、あのお二人ほど強い心を持った人なんて、Fクラスには……う、ううん、学園中を探したっていないと思います……!」

「だよな……」

ふぅ~、と小さくため息を吐き、肩を下げるマティアス。

「俺はガキの頃からずっと、”金で買えない物なんかない”って親父に教えられて生きて来た……。だがオードラン男爵はそういう次元じゃねぇ。アイツは根本的に違う気がする。あの精神は、絶対に金じゃ買えない」

マティアスは長椅子から立ち上がる。

そして真っ直ぐ、遠くへ目を向けた。

「……思い知らされた気がするよ。アイツには敵わない、アレこそが”王”たる者の器なんだってな。俺は――オードラン男爵をFクラスの”王”と認める」

「はーい、ウチも☆」

ラキがニコニコ笑顔で手を上げる。

やはり作ったような不気味な笑顔で。

「Fクラスの”王”はやっぱりアルくんしかいないよね、うんうん♡」

「私も……異論ない……」

「カァー!」

続いてカーラも賛同。

彼女の肩には、相変わらずカラスのダークネスアサシン丸が乗っている。

「ローエン、お前は?」

「俺は既に決闘に敗れ、ダンジョン攻略でも先を越された身だ。強い者には従う」

「エステルはどうだ?」

「まあ? この私が誰かの下に付くなんて不本意ですけれど? 仕方ないので認めて差し上げてもよろしくってよ?」

「素直じゃねぇなぁ、あの怪物と喧嘩すんのが怖いならそう言えよ」

「んなっ!? べ、べべべ別に怖くなんてありませんわ! 拳と拳で殴り合うおタイマンなら、私にだってワンチャンありましてよ!」

「へいへい、じゃあレオニールは――って、聞くまでもないよな」

「当たり前だ! オレは彼の”騎士”だからな!」

まるで忠犬のようにハキハキと答えるレオニール。

だが――すぐに少しだけ俯き、

「ただ……今回の一件で、より実感したよ。あの人はやっぱり凄い。オレはもっと、彼に追い付かなくちゃ」

口惜しそうに言う。

――平民出身であるレオニールは、ずっと幼い頃から剣の鍛錬を続けてきた。

お世辞にも裕福とは言えない家に生まれ、子供の遊びとしてできるのは木剣を振るうことくらいだった。

物心つく前から剣術ごっこに興じていた彼にとって、剣はいつしか心の支えとなっていたのだ。

権威や権力なんてなくても、剣の腕ならば誰にも負けない。

その自負が、彼の王立学園入学を達成させたのである。

しかし、アルバンに言われたあの一言。

『レオ、お前さ……生の人間を斬ったこと、あるか?』

――レオニールはハッとさせられた。

彼は剣で人を斬ったことがなかったから。

モンスターなら斬ったことがある。

木剣で人を叩いたことならある。

剣術仲間との練習中に、誤って傷付けたことならあった。

だが、斬ろうと思って誰かを斬った経験はない。

……もしかしたら、そういうところが自分とオードラン男爵との差なのかもしれない。

レオニールはそう思い始めていた。

”大事な人のために、他者を斬り殺す覚悟はあるか”――そう問われた気がしたからだ。

自分はまだまだだ――。

そんな覚悟があるなんて、やっぱりオードラン男爵は凄い人なんだ――。

レオニールの心の中で、アルバンに対する尊敬の念はどんどん大きくなっていた。

マティアスはそんなレオニールを若干呆れた目で見つつ、

「そんじゃ……最後はアンタだけだぜ、イヴァン・スコティッシュ」

「……」

最後のクラスメイトに話を振る。

その視線の先には――ボロボロのイヴァンの姿があった。

頭から顔半分に包帯を巻き、片腕にも包帯を巻いて首から下げている。

見るからに満身創痍だ。

――サイクロプスの攻撃を受けたイヴァンはあの後急いで学園に送られ、緊急の手当てを受けた。

王立学園の養護教諭は回復魔法のスペシャリストであるため、イヴァンは歩ける程度には怪我が治癒。

それでも身体のダメージは凄まじく、完治にはもうしばらくかかると言われたが。

「正直、アンタは学園を去ると思ってたよ。既にスコティッシュ家の家名に泥を塗ってる有り様だからな」

「そうだな。……だが僕にはまだやることがある。それにオードラン夫妻へ罪滅ぼしせねば、それこそスコティッシュ公爵家の恥だ」

「へえ? それじゃあ――」

「ああ……勿論だ」

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Score 5.6
Status: Ongoing Type: Author: Artist: , Released: 2023 Native Language: Japanese
Alban Odran. Arrogant, insolent, and――lazy. He condensed all the negative elements into the worst villain. He was a s*um who indulged in power and talent, but he suddenly realized that he was destined to be the ‘villainous noble who would eventually meet ruin.’ This can’t go on like this! Alban thought. To avoid ruin, he begins to put in effort――but then, talk of a marriage proposal comes his way. The one coming to marry him is none other than the discarded villainess. He hears that she’s a problem child who lost her place due to her villainous actions, and Alban is at his wit’s end―― “Huh? Isn’t she a really capable and good wife?” This is the story of what happens when the ‘lazy villainous noble’ and the ‘discarded villainess’ meet, resulting in the most dreadful couple.

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